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「新興株ウィークリー」特選の「8月優待銘柄」はコレ!?

2019/7/31
投資情報部 長谷川 稔

暑中お見舞い申し上げます。7月も月末となり、関東地方もようやく梅雨明け、気温が急上昇してきました。各地で花火大会なども開催され、夏らしくなってきました。東京五輪開催まであと1年を切りましたが、あらためて屋外競技の選手たちの健康が心配です。

天気とは裏腹に東京株式市場は、相変わらず薄商いにあえいでいます。これから夏休みの期間で、閑散相場がしばらく続く可能性もありそうです。ただし、閑散相場は配当や株主優待の権利を確保しつつ、中長期的なスタンスで株式相場に臨む投資家にとっては、高値掴みを避けながら投資できるチャンスという側面もありそうです。特に8月は、小売・外食など消費者にとっては身近な企業の多くで、株主優待の権利確定月となります。

そこで今回の「新興株ウィークリー」では、「8月優待銘柄」で第1四半期または第3四半期累計の決算が好調で、今後に上方修正の可能性がありそうな企業をスクリーニングしてみました。皆様の銘柄選択のご参考にしていただければ幸いです。

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1投資家の関心が高い8月優待銘柄は!?

表1は当社WEBサイト上の「国内株式」内に設置されている「株主優待検索」ページから、8月に株主優待の権利が確定する銘柄を「閲覧回数順」にソートし、その回数の多い銘柄について新興市場(東証マザーズおよびJASDAQ)の上場銘柄だけを抜き出して並べたものです。それらの銘柄について株価(7/30現在)と最低投資単位(100株)で投資した場合の株主優待内容を記載してあります。

最近、株主優待はそれを享受して生活を楽しむ著名投資家や各種メディアによる紹介もあり、多くの投資家の関心を集めているようです。しかし、「魅力ある株主優待」を考える時、投資家によって「投資余力」も「投資スタンス」も「生活スタイル」も「好み」もそれぞれ異なると思いますので、魅力を感じられる株主優待内容も「人それぞれ」であるのが現実だと思います。だとすれば、様々な投資家が数多く閲覧している銘柄には、それ相応の意味があると考えられます。

経済効率的には、なるべく少ない投資金額で権利を確保でき、優待と配当を合わせた総合利回りが高ければ、満足度は高くなると考えられます。しかし、「魅力ある株主優待」はそれだけでは決まらないとみられます。知名度や業績面で安心感のある銘柄であることや、優待内容がその投資家にとって有用性の高いものであることも重要な要素だと考えられます。例えば表1に掲載された飲食店チェーンのジェイグループホールディングス(3063)の場合、「食事券」を使い、同社の経営する店舗での飲食ができますが、同社の店舗は北海道や九州にはほとんど無いため、それらの地域の投資家には有用性が低下すると考えられます。

8月に株主優待の権利が確定する銘柄には、外食企業や小売企業が多いのが特徴です。このため、株主優待の内容としても、それらの企業の店舗等で使える食事券や買物券等が多くなります。食事券や買物券を利用して株主になった企業の商品やサービスの提供を受けることで、それらの企業をより深く知るチャンスにもなると思われます。

なお、表1をご参考頂き、8月に権利が確定する株主優待について検討する時は、おもに以下の3点にご注意ください。

(注1)表1の株主優待の内容は、最低投資金額で得られる権利の概要を示したものですので、詳細や最低投資金額を超えた投資金額での優待内容等については、各社公式サイトでご確認ください。

(注2)株主優待の権利を行使する時に条件や制限がある場合もありますので、ご注意ください。例えば夢の街創造委員会(2484)の場合は保有期間が1年を超えるたびにTポイントが毎年300円分加算されていきます(7年以上は2,000円分加算で打ち止め)。

(注3)表1に掲載した銘柄の権利付最終日はすべて8/28(水)です。権利落ち日以降に買い付けても株主優待の権利は享受できませんのでご注意ください。また、権利付最終日に向けて買い需要が増えやすい反面、権利落ち日以降はそれが剥落し、株価が下がりやすくなる面がありますので併せてご注意ください。

表1:投資家の関心が高い8月株主優待銘柄(新興銘柄)はコレ!?

取引 チャート ポート
フォリオ
コード 銘柄名 株価(円)
7月30日
8月末予想
1株配当金
(円)
最低投資単位(100株)の
株主優待内容の概要
現買信買 チャート 追加 3063 ジェイグループホールディングス(2) 787 1.5 食事券1,000円2枚
現買信買 チャート 追加 3065 ライフフーズ(2) 1,850 0.0 優待券1,000円またはグルメカード500円
現買信買 チャート 追加 6312 フロイント産業(2) 801 0.0 ※クオカード1,000円
現買信買 チャート 追加 2484 夢の街創造委員会(8) 1,679 3.6 Tポイント3,000円
現買信買 チャート 追加 2186 ソーバル(2) 1,312 15.0 クオカード500円
現買信買 チャート 追加 2669 カネ美食品(2) 3,180 30.0 3,000円相当グルメ配達便
現買信買 チャート 追加 9978 文教堂グループホールディングス(8) 198 0.0 買い物割引カード(5%)
現買信買 チャート 追加 2736 フェスタリアホールディングス(8) 1,972 20.0 自社オリジナルジュエリー
現買信買 チャート 追加 7450 サンデー(2) 1,773 0.0 東北地方特産品1,500〜2,000円相当
現買信買 チャート 追加 3189 ANAP(8) 627 6.0 優待割引券30%割引
現買信買 チャート 追加 7603 マックハウス(2) 661 0.0 優待券1,000円
現買信買 チャート 追加 7829 サマンサタバサジャパンリミテッド(2) 238 0.0 優待セール招待
現買信買 チャート 追加 3711 創通(8) 1,948 30.0 クオカード500円
現買信買 チャート 追加 3174 ハピネス・アンド・ディ(8) 1,150 26.0 10%優待割引券2枚、2,000円優待券1枚
現買信買 チャート 追加 3558 ロコンド(2) 958 0.0 2,000円相当のクーポン
現買信買 チャート 追加 3560 ほぼ日(8) 5,830 45.0 自社商品
現買信買 チャート 追加 9977 アオキスーパー(2) 2,630 30.0 株主優待券500円2枚
現買信買 チャート 追加 9778 昴(2) 4,255 0.0 青森りんご3kg
現買信買 チャート 追加 9903 カンセキ(2) 1,711 5.0 買い物割引券15%割引2枚
現買信買 チャート 追加 7035 and factory(8) 2,217 0.0 自社ポイント5,000ポイント
  • ※各社公表データ、Bloombergデータを用いてSBI証券が作成。カッコ内はその銘柄の本決算月を示しています。2月決算銘柄の「8月末予想1株配当金」は「予想中間1株配当」、8月決算銘柄の「8月末予想1株配当金」は「予想期末1株配当」で、ともに年間1株配当と異なる数字になることが多く、予想は会社予想ベースになっています。「最低投資単位での株主優待内容の概要」は、その銘柄を最低投資単位(100株)保有し、権利を確保した場合の株主優待内容の概要を示すもので、詳細については当該企業のWEBサイト等で別途ご確認ください。 ※フロイント産業の株主優待は1年以上継続保有した株主にのみ贈呈されます。

2「新興株ウィークリー」特選の「8月優待銘柄」はコレ!?

それでは表1の銘柄の一部について、四半期決算が順調で業績不安が少ないと思われる数銘柄について、チャートと注目ポイントを簡単にご紹介したいと思います。

ソーバル(2186)は、組み込み開発(ソフトウェア・ハードウェアの設計開発)の技術者派遣を行っている会社です。キヤノングループからの受託開発をテコに成長してきました。近年はソニーや富士通、日立グループなどとの取引増加が、顧客基盤の拡大につながっており成長の原動力になっています。1Q実績で年間予想利益の30%弱を達成しており、今期のスタートは好調です。2月決算ですが、株主優待は8月末の100株以上の株主に対し、クオカード500円が贈呈される予定です。1,000株以上の株主には2,000円となります(いずれも年1回)。

カネ美食品(2669)は、ユニー・ファミリーマートホールディングス(8028)の子会社です。親会社のユニーを中心に、大手スーパー、百貨店、駅ビルなど300店舗近い惣菜販売と、東海地方を中心に関東、関西等に15工場でファミマ向けの弁当、おにぎり、パスタなどの製造を手がけています。ドン・キホーテが運営するMEGA ドン・キホーテへの出店、駅ナカ、駅ビルへの出店や生協向けの夕食宅配納品開始などで、売上高の増加が期待できます。コンビニ向け不採算工場の閉鎖により収益改善も進んでいます。1Q実績で年間予想利益の42%超を達成しています。株主優待は2月末と8月末の株主に対し、100株以上保有する株主には3,000円相当、300株以上は5,000円、1,000株以上には10,000円相当の「セレクトグルメ配達便」が贈呈されます。

サンデー(7450)は、イオンの子会社で、青森を地盤とするホームセンターで、東北6県にまたがり104店舗を有しています。地域密着型の品揃えとサービスが差別化戦略となっています。1Q実績で年間予想利益の67%を達成するなど今期の業績は順調です。2月決算ですが、株主優待制度は8月末の株主に対し、100株以上が1,500〜2,000円相当、1,000株以上の株主には4,000〜5,000円相当の東北地方特産品が贈呈されます。昨年は100株以上の株主に青森産りんご3Kg、1,000株以上の株主にりんごの他にりんごジュース・ジャムの詰め合わせが贈呈されました(贈呈時期は12月頃)。

ほぼ日(3560)は、著名コピーライターかつマルチタレントの糸井重里氏が創業し社長を務める会社です。2017年にJASDAQに上場しました。社名は糸井氏が創設した「ほぼ日刊イトイ新聞」サイトから取ったものです。事業の主力は毎年更新される「ほぼ日(にち)手帳」や関連商品です。手帳の販売部数がコンスタントに伸びているうえ、数々のオリジナル商品の開発が業績成長の原動力となっています。株主優待制度は8月末の100株以上の株主に対し、一律でオリジナル自社商品が贈呈されます。今年は11月発売予定の新商品と関連書籍の「よくわかる百人一首(橋本治)」が贈呈される予定です。

図1:ソーバル(2186)・日足

図2:カネ美食品(2669)・日足

図3:サンデー(7450)・日足

図4:ほぼ日(3560)・日足

  • ※図1から4は当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。

3【新興市場Now】マザーズ指数は反発

東証マザーズ指数の7/30(火)終値は903.28と、7/16(火)終値891.55から1.3%の反発となりました。JASDAQ平均は0.3%の上昇でした。日経平均は0.4%の小幅上昇でしたから、マザーズ指数は日経平均に対し優位な値動きとなりました。

マザーズ市場の上昇は、時価総額の大きいそーせいグループ(4565)サンバイオ(4592)などバイオ関連銘柄が前回の大幅下落から反発したうえ、メルカリ(4385)も7/25(木)に業績の下方修正を発表しましたが、逆に悪材料出尽くしから上昇しました。その他の個別銘柄では、エルテス(3967)MTG(7806)グッドスピード(7676)などの下落が目立っています。

JASDAQ市場は、時価総額が大きい日本マクドナルドホールディングス(2702)ハーモニック・ドライブ・システムズ(6324)の株価が堅調でした。

※東証マザーズ指数について:東証マザーズ市場は近い将来東証1部へのステップアップを視野に入れた成長企業向けの市場です。マザーズ指数は、マザーズ市場に上場する全銘柄の時価総額加重平均型(浮動株調整後)の指数です。ただし、一部の時価総額の大きい銘柄の影響度が大きい点に注意を要します。ちなみに6月末のマザーズ市場の時価総額に占めるメルカリ(4385)のシェアは8.4%、そーせいグループ(4565)が6.8%、ミクシィ(2121)が4.5%、サンバイオ(4592)が4.2%、などとなっています。

図5:東証マザーズ指数(日足)

図6:JASDAQ平均(日足)

  • ※図5、図6ともに当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。

表2:主要株式指標の騰落率(7/23〜7/30)

指数

終値(7/30)

騰落率

日経平均株価

21,709.31

0.4%

東証マザーズ指数

903.28

1.3%

JASDAQ平均株価

3,471.08

0.3%

表3:主要新興市場銘柄の騰落率(7/23〜7/30)

コード

銘柄

終値(7/30)

騰落率

マザーズ市場の時価総額上位銘柄

 

4385

メルカリ

2,918

4.6%

4565

そーせいグループ

2,564

5.2%

4592

サンバイオ

3,445

6.8%

3993

PKSHA Technology

5,920

-2.6%

2121

ミクシィ

2,049

-2.3%

JASDAQ市場の時価総額上位銘柄

 

2702

日本マクドナルドホールディングス

4,910

2.6%

6324

ハーモニック・ドライブ・システムズ

4,255

1.8%

7564

ワークマン

5,060

-0.2%

6425

ユニバーサルエンターテインメント

3,465

1.3%

4816

東映アニメーション

4,635

-2.7%

直近上場銘柄・市場で話題の銘柄

 

3967

エルテス

1,730

-10.4%

4593

ヘリオス

1,449

0.6%

7676

グッドスピード

3,135

-3.7%

4384

ラクスル

3,840

2.1%

7806

MTG

1,159

-5.8%

  • ※表2・表3はBloombergデータをもとにSBI証券が作成。騰落率は7/23(火)終値と7/30(火)終値の比較による。時価総額は6月末基準。
  • ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
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