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話題豊富な「サイバーセキュリティ」関連銘柄に注目

2019/9/18
投資情報部 長谷川 稔

通勤路のセミの鳴き声が、いつの間にか鈴虫やコオロギの鳴き声に代わってきました。9月相場も半ばを過ぎ、ようやく復調の兆しを見せているようです。9/20(金)からは国際イベントとして注目しているラグビーのワールドカップが、日本vsロシア戦を皮切りに開催されます。決勝戦は11/2(土)の予定なので、1ヵ月半近く世界の一流どころの、普段日本では見ることができないようなガチンコの熱戦を毎日のように堪能できると思うと、ワクワクします。

同ワールドカップには、色々な地域からたくさんの外国人観客(チケットの1/3は外国人が購入、延べ約40万人と予想されています)が訪れてくるため、オリンピックへ向けての予行演習としても注目されています。株式相場でもワールドカップを発端に、オリンピック関連のテーマが物色される可能性があるのではないでしょうか。また、10月からは消費税の増税が予定されていますが、これに因んだテーマも要注意です。

そこで今回の「新興株ウィークリー」では、「サイバーセキュリティ」関連銘柄をご紹介したいと思います。「サイバーセキュリティ」は、世界中の注目が集まるオリンピックという舞台では重要なインフラ技術です。前回のロンドン五輪では2億回のサイバー攻撃があったとされています。また、国策となっている「キャッシュレス社会」への安全な移行のためにも、「サイバーセキュリティ」は、欠かせないインフラ技術となっています。

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1「サイバーセキュリティ」は次世代の重要基盤技術

株式の格言に、「国策に売りなし」というのがあります。「国が実行しようとしている政策によって追い風を受ける銘柄は買うべし」という意味です。国の政策ですから、税金が投入されたり、政策を行うための規制緩和が進行します。したがって、このテーマに沿った企業の行動半径が広がったり、多くの場合売上高や利益が増加するメリットを享受できるわけです。

内閣サイバーセキュリティセンターがまとめた「わが国のサイバーセキュリティ戦略」によれば、コンピューターそしてインターネットの普及により、私たちの実際の空間の他に、サイバー空間という人工空間が経済社会の活動基盤になりつつあります。今後はあらゆるモノがネットワークに連接(IoT化)され、実空間とサイバー空間との融合が高度に深化した「連接融合情報社会」が到来することが予想されます。この社会は生産性の上昇をもたらす一方、同時にサイバー攻撃の被害や社会的影響が年々拡大し、脅威の更なる深刻化が想定されるとしています。

このような背景の下、「自由かつ、公正かつ安全なサイバー空間」を創出し、「経済社会の活力の向上および持続的発展」、「国民が安全で安心して暮らせる社会の実現」、「国際社会の平和、安全および我が国の安全保障」に寄与するために、「サイバーセキュリティ基本法」が2014年に成立しています。

我が国では2020年に東京でオリンピック開催を控えていますが、世界的に注目されるイベントであることから、サイバーセキュリティの確保は喫緊の課題でもあります。ロンドン五輪では2億回のサイバー攻撃があったとされています。したがってサイバーセキュリティに関連する銘柄には、今後大きなビジネスチャンスが訪れるのではないかと思われます。

ちなみにSBI証券では、有望な投資テーマを自ら決めることができ、当該テーマに関連した最大10銘柄への分散投資を行うことができる投資サービス「テーマキラー!」をご提供しています。数多くの投資テーマの中から、アクセス数の多い投資テーマ、人気が急上昇している投資テーマ、テーマ別の運用成績が常に公開されています。また5万円からの少額資金で分散投資できるメリットも大きいと思われます。

この「テーマキラー!」の中で、「サイバーセキュリティ」はアクセスランキングで9位にランクされる人気テーマとなっています。
*アクセスランキングは9/17(火)時点。

図1:サイバーセキュリティは重要なインフラ

  • ※内閣官房、内閣サイバーセキュリティセンター「我が国のサイバーセキュリティ政策の概要」より

2新興市場の有望「サイバーセキュリティ」関連銘柄はコレ!?

それでは具体的に、銘柄をピックアップしてみましょう。「新興株ウィークリー」では、当社の銘柄検索ツールを使い、「サイバー」、「ネットセキュリティ」、「情報セキュリティ」などのキーワードを入力し、「サイバーセキュリティ」関連銘柄を抽出してみました。また、当社の「テーマキラー!」投資でも、今月の注目テーマとして「サイバーセキュリティ」を取り上げていますので、その銘柄も参考にしました。なお、範囲としては、東証マザーズ、JASDAQ銘柄に限定していますのでご注意ください。

表1が、「新興株ウィークリー」が選んだ「サイバーセキュリティ」関連銘柄です。抽出された銘柄がかなり多数になったため、業績寄与が大きいと期待されるもの、会社側が「サイバーセキュリティ」を注力分野として取り組んでいるもの、また時価総額で50億円以上の銘柄に絞り込んで「新興株ウィークリー」が選別しました。

また表1では、今期の会社側の経常利益予想で増益率の高い順に並べてみました。これらの「サイバーセキュリティ」関連銘柄が、2019年下期相場の主役の一つになる可能性は十分にあると考えられます。

表1 新興市場の有望「サイバーセキュリティ」関連銘柄はコレ!?

取引 チャート ポート
フォリオ
コード 銘柄名 株価(円)
9月17日
予想経常
増益率
4398 4398 4398 4398 ブロードバンドセキュリティ 1,521 281.4%
4441 4441 4441 4441 トビラシステムズ 6,200 64.8%
4442 4442 4442 4442 バルテス 1,510 48.4%
9758 9758 9758 9758 ジャパンシステム* 337 32.1%
3692 3692 3692 3692 FFRI 3,380 20.8%
3356 3356 3356 3356 テリロジー 734 13.2%
3857 3857 3857 3857 ラック* 1,393 4.9%
3858 3858 3858 3858 ユビキタスAIコーポレーション 679 -90.1%
3782 3782 3782 3782 ディー・ディ・エス* 390 黒字転換
4288 4288 4288 4288 アズジェント* 2,137 NA
  • ※当社検索ツール、各種資料等をもとにSBI証券が作成。銘柄名に*がついているものは、当社の「テーマキラー!」の組み入れ銘柄を示しています。予想経常増益率は会社予想です。なおアズジェント(4288)は、会社予想を公表していません。

それでは、表1で抽出した銘柄の一部について、チャートや投資ポイントを簡単にご紹介したいと思います。

ブロードバンドセキュリティ(4398)は、2018年9月にJASDAQ市場に上場しています。セキュリティ対策の可視化から運用までを支援するセキュリティサービスプロバイダーです。セキュリティ監査、脆弱性診断、情報漏洩IT対策サービスを手がけています。クレジットカード情報向けのセキュリティ監査やコンサルを得意としています。AIの活用による脆弱性診断システムの開発などで採算が改善しています。海外事業の拡大にも注力しています。

トビラシステムズ(4441)は、2019年4月にマザーズに上場した会社です。独自のアルゴリズムを用いて、迷惑情報のフィルター事業を行っています。具体的にはモバイル、固定、ビジネスフォンなどの電話にかかってくる迷惑電話を探知し、電話のユーザーに警告を発信したり自動的に拒否するシステムです。モバイルでは大手通信キャリア3社(docomo、KDDI、SoftBank)のオプションパックにアプリ形式でサービスを提供しています。固定電話ではKDDI系列2社のホームゲートウェイにシステムが内蔵されています。迷惑電話の識別には警察組織からの提供データや利用者からのフィードバック、独自調査によるデータベースが使われます。電話を使った主に高齢者への特殊詐欺防止で需要拡大が続いており、業績は順調です。

FFRI(3692)は、インターネットのサイバーセキュリティーの研究開発に特化した会社です。近年増加している標的型攻撃にも対応したサービス(「FFRI yarai」)が主力です。創業者の鵜飼社長は、米国のコンピューターセキュリティー会社にエンジニアとして4年間勤務した経験を持っています。サイバー攻撃の事象が相次いでいるため、法人ユーザーの対応策強化の動きが追い風です。大企業、官公庁でのサイバー脅威対策の動きは始まったばかりで、成長余地は十分です。日本市場だけではなく、海外への販路開拓にも取り組み始めています。

ラック(3857)は、1986年にシステム開発会社として設立されました。1995年に日本で最初に情報セキュリティ事業をスタートしたセキュリティ対策のパイオニア企業です。政府機関へのセキュリティ対策への提言や支援を行うなどの実績を持っています。2014年にはKDDIと資本提携を行い、人材招聘など関係を強化しています。システム開発とセキュリティ監視(24時間リアルタイム)業務に強みを持っています。

図2:ブロードバンドセキュリティ(4398)・日足

図3:トビラシステムズ(4441)・日足

図4:FFRI(3692)・日足

図5:ラック(3857)・日足

  • ※図2から図5は、当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。

2【新興市場Now】マザーズ指数は小幅反落

東証マザーズ指数の9/17(火)終値は849.68と、9/10(火)終値855.03から0.6%の小幅反落となりました。JASDAQ平均は0.7%の続伸でした。日経平均は2.8%の大幅上昇でしたから、マザーズ指数、JASDAQ平均共に日経平均に対して前回に引き続き、劣位な値動きとなりました。

マザーズ市場では、時価総額で最大のメルカリ(4385)が前回の大幅続伸の反動で下落したほか、ティーケーピー(3479)、そーせいグループ(4565)など8月に高値をつけた主力株の下落が、指数全体の足を引っ張りました。その他の個別銘柄では、9/2(月)付でコナカ(7494)が31.3%の株式を取得するとの発表を受け急騰したサマンサタバサジャパンリミテッド(7829)が、利食いに押され下落しました。

JASDAQ市場の時価総額の大きい銘柄では、前回好調だったハーモニック・ドライブ・システムズ(6324)が反落しました。また空調作業服の販売好調で8月の月次売上高が好調だったワークマン(7564)は、今回も大幅続伸となりました。

※東証マザーズ指数について:東証マザーズ市場は近い将来東証1部へのステップアップを視野に入れた成長企業向けの市場です。マザーズ指数は、マザーズ市場に上場する全銘柄の時価総額加重平均型(浮動株調整後)の指数です。ただし、一部の時価総額の大きい銘柄の影響度が大きい点に注意を要します。ちなみに8月末のマザーズ市場の時価総額に占めるメルカリ(4385)のシェアは7.4%、そーせいグループ(4565)が7.2%、ミクシィ(2121)が4.8%、サンバイオ(4592)が4.1%、などとなっています。

図6:東証マザーズ指数(日足)

https://sbisec.akamaized.net/sbisec/images/base/g_market_report_dom_em_weekly_190918_11.gif

図7:JASDAQ平均(日足)

https://sbisec.akamaized.net/sbisec/images/base/g_market_report_dom_em_weekly_190918_12.gif
  • ※図6、図7ともに当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。

表2:主要株式指標の騰落率(9/10〜9/17)

指数 終値(9/17) 騰落率
日経平均株価 22,001.32 2.8%
東証マザーズ指数 849.68 -0.6%
JASDAQ平均株価 3,351.99 0.7%

表3:主要新興市場銘柄の騰落率(9/10〜9/17)

コード 銘柄 終値(9/17) 騰落率
マザーズ市場の時価総額上位銘柄
4385 メルカリ 2,707 -2.6%
3479 ティーケーピー 4,880 -6.2%
4565 そーせいグループ 2,213 -3.9%
2121 ミクシィ 2,288 1.1%
4592 サンバイオ 3,410 2.4%
JASDAQ市場の時価総額上位銘柄
2702 日本マクドナルドホールディングス 5,020 -0.8%
6324 ハーモニック・ドライブ・システムズ 4,480 -3.7%
7564 ワークマン 6,920 5.0%
6425 ユニバーサルエンターテインメント 3,445 1.8%
4816 東映アニメーション 4,905 2.4%
直近上場銘柄・市場で話題の銘柄
7829 サマンサタバサジャパンリミテッド 271 -10.3%
4593 ヘリオス 1,268 -0.4%
7676 グッドスピード 3,280 0.8%
4384 ラクスル 3,830 -5.7%
7806 MTG 1,107 4.5%
  • ※表2・表3はBloombergデータをもとにSBI証券が作成。騰落率は9/10(火)終値と9/17(火)終値の比較による。時価総額は8月末基準。
  • ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
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