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マーケット > レポート > 出世株を探せ!新興株ウィークリー >  好調JASDAQ市場の割安銘柄を抽出!!

好調JASDAQ市場の割安銘柄を抽出!!

2019/12/18
投資情報部 長谷川 稔

早いもので、師走相場も立会い日数で残り10日を切りました。来年に向けて良い銘柄を仕込んでおきたいところです。既にお気づきの方も多いと思いますが、JASDAQ平均のチャートは8月末の底値から、ほぼさしたる調整もなく、一本調子で上げており、連日のように年初来高値を更新しています。マザーズ指数の伸び悩みと好対照となっています。

そこで今週の「新興株ウィークリー」では、なぜJASDAQ市場が強いのか、マザーズ指数との違いはどこにあるのか、を説明したいと思います。そのうえでJASDAQの今後の有望と思われる銘柄をピックアップしていきます。皆様の投資のご参考になれば幸いです。

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1JASDAQ市場、好調の背景は!?

図1は、過去6ヵ月のマザーズ指数とJASDAQ平均の比較チャートです。6ヵ月間でJASDAQ平均が約11%上昇しているのに対し、マザーズ指数は逆に2.5%程度下落しています。いったいこの格差はどこに原因があるのでしょうか。「新興株ウィークリー」ではその要因や背景を以下のように考えています。

(1)マザーズ指数に大きな影響を与える時価総額の大きい銘柄の不振が目立つこと。具体的にはそーせいグループ(4565)メルカリ(4385)サンバイオ(4592)ティーケーピー(3479)ミクシィ(2121)などが軒並み不振だったことが指摘されます。

(2)逆にJASADAQ平均は、大型銘柄のワークマン(7564)日本マクドナルドホールディングス(2702)ハーモニック・ドライブ・システムズ(6324)ニューフレアテクノロジー(6256)などの株価が好調でした。

(3)マザーズ市場では中規模の時価総額ながら、株価が大きく下落する銘柄が散見されました。具体的にはMTG(7806)ビープラッツ(4381)ヘリオス(4593)ジャパンインベストメントアドバイザー(7172)などがあげられます。

(4)マザーズ銘柄で大きく株価が下落した銘柄には、赤字決算ながら将来の期待感からの株価が形成されていた、あるいはバリュエーションが高い銘柄が多かった共通点があります。逆にJASDAQ銘柄は市場特性からして、きちんと利益を計上している銘柄が多いというのが特徴です。

そこで銘柄選択の条件として、JASDAQ市場に上場している好業績銘柄で、バリュエーションが比較的低位にある銘柄の抽出にトライしてみることにします。

図1:JASDAQの好調とマザーズの伸び悩み

  • ※当社WEBサイトをもとにSBI証券が作成。6ヵ月前の株価を100として指数化。

2割安JASDAQ銘柄を抽出する!!

それでは具体的にJASDAQ銘柄を抽出してみます。今回のスクリーニングの条件は以下の4点です。

(1)JASDAQ市場の上場銘柄で時価総額が50億円以上であること
(2)PERが30倍以下、PBRが3倍以下であること
(3)ROEが10%以上であること
(4)今期の会社予想が経常増益であること、かつ直近までの四半期決算が前年同期比で増益かつ、四半期累計の進捗度が標準以上であること(1Qなら25%、2Qなら50%など。四半期決算がない場合は前年度の着地が会社予想を上回ったこと)

これらの条件を満たす銘柄を掲載したものが下の表1となります。コード番号順に掲載しています。

表1 JASDAQ市場の割安銘柄はコレ!?

取引 チャート ポート
フォリオ
コード 銘柄名 株価(円)
12月17日
予想PER
(倍)
PBR
(倍)
今期予想
経常増益率
1724 1724 1724 1724 シンクレイヤ 1,452 9.5 2.64 55.4%
2480 2480 2480 2480 システム・ロケーション 1,755 20.6 2.83 22.6%
5903 5903 5903 5903 シンポ 2,070 19.3 2.59 15.5%
6629 6629 6629 6629 テクノホライゾンHLDG 843 12.6 1.83 8.1%
7638 7638 7638 7638 NEW ART HLDG 901 8.3 1.96 13.5%
8893 8893 8893 8893 新日本建物 457 6.9 1.71 10.9%
9640 9640 9640 9640 セゾン情報システムズ 2,244 17.3 2.78 6.6%
9964 9964 9964 9964 アイ・テック 1,676 5.4 0.58 9.1%
  • ※当社WEBサイトをもとにSBI証券が作成。シンクレイヤ(1724)の増益率は、前期が9ヵ月決算のため、前期の経常利益を1年分に換算した数字を比較に用いました。

抽出銘柄のポイント

それでは表1で抽出された銘柄群のうち数銘柄について、チャートとポイントを簡単にご紹介したいと思います。

シンクレイヤ(1724); ケーブルテレビ事業者向けのシステム構築を主な事業としている会社です。ケーブルテレビ加入世帯数は全世帯の52.6%になる、3,000万世帯を占める重要なインフラです。FTTH(各戸への光ファイバー引き込み)への移行やWi-Fi等の無線LANサービス導入に伴う設備投資拡大から業容を拡大しています。今後も新4K、8K衛星放送によるチャンネル数の増加、高速化するインターネットサービスへの対応から、ケーブルテレビ事業者は、より大容量で高速通信が可能なオール光ファイバーによる伝送システムへの移行を進めており、同社にとっては追い風となりそうです。

シンポ(5903); 1970年代に厨房機器の設計・施工メーカーとして設立されましたが、焼き肉用の無煙ロースターが好評を博し業容を拡大した会社です。現在は無煙ロースターの製造販売・施工に特化しています。国内のみならず中国や米国での販売にも注力中です。無煙ロースター以外にも空調設備、内装設備などの受注や、「アミ洗浄事業」にも乗り出しています。今期は一部製品・部材の値上げ実施から業績は順調な見通しです。

テクノホライゾン・ホールディングス(6629);2010年にそれぞれJASDAQ市場に上場していたエルモ社とタイテックが経営統合して誕生した会社です。光学事業と電子事業が両輪です。光学事業は書画カメラ(実物投影機)、多目的フィールドカメラ、レンズユニット等のニッチ分野において多彩な映像関連商品を手がけています。電子事業はロボット制御や高速画像インターフェースを得意とする各種FA関連機器、ドライブレコーダー、決済端末機器ならびに各種医療関連機器の開発・製販を行っています。書画カメラや教室用の電子黒板が好調で、増益予想かつ大幅増配が予想されています。自社株を36%も保有している点にも注目です。

セゾン情報システムズ(9640); 1993年にJASDAQ市場に上場しています。1970年に当時の西武流通グループの情報処理機能を統合する形で設立された会社です。クレディセゾン(8253)が46.8%の株式を所有しています。流通や金融系のシステム開発や情報処理が事業の中心です。前期より株主還元方針を変更し、大幅な増配を実施しました。この結果、現在の会社予想配当金での利回りは3.7%を超えています。業績はファイル転送ミドルウェアの好調で、2Q決算時点での経常利益の進捗率は62%に達しており、上方修正の期待が持てます。

図2:シンクレイヤ (1724)・日足

図3:シンポ(5903)・日足

図4:テクノホライゾン・ホールディングス(6629)・日足

図5:セゾン情報システムズ(9640)・日足

  • ※図2から図5は、当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。

2【新興市場Now】マザーズ指数は続落、JASDAQは年初来高値を更新中

東証マザーズ指数の12/17(火)終値は880.02と、12/10(火)終値906.21から2.9%の続落となりました。一方JASDAQ平均は0.8%の続伸で引き続き年初来高値を更新しました。日経平均は2.8%の大幅上昇でしたから、マザーズ指数は日経平均に対して、劣位な値動きとなりました。

マザーズ指数の下落は、サンバイオ(4592)の急落が指数全体の下落の6割近い寄与だったと推定されます。それ以外の時価総額の大きい銘柄では、メルカリ(4385)が上昇しましたが、ラクス(3923)そーせいグループ(4565)が下落となりました。またその他の主力銘柄でもヘリオス(4593)が堅調でした。サンバイオ(4592)の急落は、同社の再生細胞薬の日本での承認申請先送りが主因です。

JASDAQ市場の時価総額が大きい銘柄では、月次売上が好調だったワークマン(7564)が大幅続伸となったほか、ハーモニック・ドライブ・システムズ(6324)の反発が目立ちました。

※東証マザーズ指数について:東証マザーズ市場は近い将来東証1部へのステップアップを視野に入れた成長企業向けの市場です。マザーズ指数は、マザーズ市場に上場する全銘柄の時価総額加重平均型(浮動株調整後)の指数です。ただし、一部の時価総額の大きい銘柄の影響度が大きい点に注意を要します。ちなみに11月末のマザーズ市場の時価総額に占めるそーせいグループ(4565)が6.5%、メルカリ(4385)が6.4%、サンバイオ(4592)が4.8%、ミクシィ(2121)が3.6%などとなっています。

図6:東証マザーズ指数(日足)

https://sbisec.akamaized.net/sbisec/images/base/g_market_report_dom_em_weekly_191218_11.gif

図7:JASDAQ平均(日足)

https://sbisec.akamaized.net/sbisec/images/base/g_market_report_dom_em_weekly_191218_12.gif
  • ※図6、図7ともに当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。

表2:主要株式指標の騰落率(12/10〜12/17)

指数 終値(12/17) 騰落率
日経平均株価 24,066.12 2.8%
東証マザーズ指数 880.02 -2.9%
JASDAQ平均株価 3,765.28 0.8%

表3:主要新興市場銘柄の騰落率(12/10〜12/17)

コード 銘柄 終値(12/17) 騰落率
マザーズ市場の時価総額上位銘柄
4385 メルカリ 2,221 2.4%
4592 サンバイオ 2,745 -34.9%
3923 ラクス 1,853 -4.7%
3479 ティーケーピー 4,470 -0.3%
4565 そーせいグループ 2,209 -1.8%
JASDAQ市場の時価総額上位銘柄
7564 ワークマン 10,530 6.4%
2702 日本マクドナルドホールディングス 5,240 -2.1%
6324 ハーモニック・ドライブ・システムズ 5,180 6.4%
6425 ユニバーサルエンターテインメント 3,850 -0.3%
2782 セリア 2,874 -3.2%
直近上場銘柄・市場で話題の銘柄
3967 エルテス 1,874 -0.8%
4593 ヘリオス 1,448 3.4%
6027 弁護士ドットコム 5,570 -1.9%
2121 ミクシィ 2,079 -0.9%
7806 MTG 818 -1.3%
  • ※表2・表3はBloombergデータをもとにSBI証券が作成。騰落率は12/10(火)と12/17(火)終値の比較による。時価総額は11月末基準。
  • ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
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