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≪新興市場はなぜ弱いのか?≫押し目で狙われそうな高成長銘柄は?

2020/11/25
投資情報部 鈴木 英之

新興市場、特に東証マザーズ市場は、大型株市場(日経平均株価、TOPIX)に比べ弱い状況が続いています。これまで東証マザーズはリード役となり、先行して大きく上昇してきただけに、足元では、利益確定売りが目立ってきているようです。予想PERで何百倍にも買われ、割高感が強くなっている銘柄が多いことも影響していると考えられます。

ただ、上昇相場を支えている過剰流動性については、当面継続が予想され、押し目では再評価される銘柄も出てきそうです。そこで、今回の新興株ウィークリーでは、押し目で買いが入りそうな、成長期待の高い銘柄を抽出すべく、スクリーニングを行いました。

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1大型株市場に比べ、なぜ新興市場は弱いのか?

新興市場は、大型株市場(日経平均株価、TOPIX)に比べ出遅れ感が強まっています。

11/24(火)までの1ヵ月間の騰落率をみると、日経平均株価+11.3%、TOPIX(東証株価指数)+8.4%に対し、ジャスダックは+0.1%でほぼ横ばい、東証マザーズ指数は-1.8%と下落してしまいました。株式市場全般が上昇する時は、中小型株の多い新興市場の上昇率の方が大きくなるというのが一般的なイメージですが、それに反する数字になっています。

もっとも、11/24(火)までの年初来の騰落率をみると、日経平均株価の+10.6%に対し、東証マザーズは+36.5%とアウトパフォームしています。全般的な上昇相場の中で、これまで東証マザーズはリード役となり、先行して大きく上昇してきただけに、直近1ヵ月については、利益確定売りが目立ってきたということだと思います。

ちなみに同じ新興市場でも、“ジャスダック”は年初来のパフォーマンスが-5.7%ともっとも出遅れており、その分、過去1ヵ月のパフォーマンスは、東証マザーズ市場に比べれば悪くないという状況になっています。

また、東証マザーズを構成する業種で、時価総額ランキングの上位を占めているのは「情報・通信」となっています。このセクターは、新型コロナウイルスの感染拡大が加速する中、DXやテレワーク、巣ごもり消費等の需要拡大を取り込めるという追い風もあり、先行して買われてきました。したがって、新型コロナウイルス向けに有力なワクチンや治療薬が出てくることで景気回復期待が高まるという場面では、株価は逆風になる側面もありそうです。

株式市場全般では「グロース銘柄対バリュー銘柄」という対立構造もありますが、足元は大型株に多いバリュー銘柄が買い直され、新興市場に多いグロース銘柄が売られやすいという傾向もあります。また、新興市場の銘柄の中には予想PERで何百倍にも買われ、割高感が強くなっている銘柄が多いことも影響していると考えられます。

下図は東証マザーズ市場の日足チャートを示したものです。25日移動平均線にキッチリと頭を押さえられる形となっており、チャート上も調整色が強い状況になっています。

図 東証マザーズ指数(日足)と25日移動平均線かい離率

  • ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。

2押し目で買われそうな成長期待の高い新興銘柄は?

新興市場の株価上昇は終わってしまったのでしょうか。

確かに、新興銘柄の中でも特に東証マザーズの銘柄の多くが、将来の成長を十分織り込んだ水準まで買われ、割高感が強くなっている面は否めず、その意味では調整が長引く銘柄も増えそうです。ただ、上昇相場を支えている過剰流動性については、当面継続が予想され、押し目では再評価される銘柄も出てきそうです。

そこで、今回の新興株ウィークリーでは、押し目で買いが入りそうな、成長期待の高い銘柄を抽出すべく、スクリーニングを行いました。条件は以下の通りです。

(1)新興市場(東証マザーズ市場およびジャスダック市場)に上場している銘柄であること。
(2)時価総額が100億円以上の銘柄であること。
(3)業績予想を公表しているアナリストが2名以上付いている銘柄であること。
(4)今後3年、最低年10%超の営業増益率が予想(市場予想)される銘柄であること。
(5)今後3年、営業利益が累計で2倍以上に増加すると予想(市場予想)される銘柄であること。
(6)3年後の予想EPS(市場予想)から計算された予想PERが50倍未満の銘柄であること。

上記すべての条件を満たす銘柄を、今後3年間における年平均営業増益率(市場予想)が大きい順に並べたものが、下表となります。これらは「アナリストが今後3年で高い成長をとげると予想している銘柄」であり、新興市場の押し目で買われる可能性が大きい銘柄であると考えられます。

表 アナリストが今後3年間で高い成長を予想する新興銘柄

取引 チャート ポートフォリオ コード 銘柄 株価(11/25) 3年平均営業増益率 3年累計営業増益率 3年後基準予想PER
6425 6425 6425 6425 ユニバーサルエンターテインメント 2,075 294.3% 3033.8% 28.7
9270 9270 9270 9270 バリュエンスホールディングス 4,670 113.1% 486.1% 24.4
7069 7069 7069 7069 サイバー・バズ 2,741 83.0% 503.9% 11.9
7071 7071 7071 7071 アンビスホールディングス 4,325 43.2% 190.1% 28.8
7094 7094 7094 7094 ネクストーン 7,750 43.0% 191.2% 44.0
3804 3804 3804 3804 システム ディ 1,848 29.4% 113.7% 15.0
4390 4390 4390 4390 アイ・ピー・エス 2,173 27.4% 100.9% 19.2
  • ※BloombergデータをもとにSBI証券が作成。計算に用いた予想営業利益および予想EPSは、Bloombergが集計した市場コンセンサス。
  • ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
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