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2024-12-10 16:45:54

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≪2022年に活躍期待の銘柄を探る≫2021年IPO市場で10倍株となった銘柄

2021/12/15
投資情報部 鈴木 英之

新興株市場は東証マザーズ指数が12/15(水)終値で5日ぶりに小反発となったものの、1,000ポイント割れとなるなど、弱さが際立つ展開となっています。
こうした新興市場の株価が冴えない理由の1つに、IPO市場の新規上場ラッシュが挙げられます。2020年は年間で102銘柄の新規上場がありましたが、2021年は11月末時点で既に102社が新規上場し、12月にはさらに33社(前年同期は27社)の新規上場が予定されています。
そこで今回は2021年に新規上場したIPO銘柄で、高値から大きく下げた銘柄を振り返り、2022年にかけて活躍が期待される銘柄を抽出しました。

新興株ウィークリー新しいウィンドウで開きます。※YouTubeに遷移します。

執筆者のプロフィール
SBI証券 投資情報部長 鈴木 英之
・出身 東京(下町)生まれ埼玉育ち
・趣味 ハロプロ(牧野真莉愛推し)の応援と旅行(のりテツ)
・特技 どこでもいつでも寝れます
・好きな食べ物 サイゼリヤのごはん
・よくいくところ 京都
ラジオNIKKEI(月曜日)、中部経済新聞(水曜日)、ストックボイス(木曜日)、ダイヤモンドZAIなど、定期的寄稿も多数。

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1新興市場が軟調な展開に

12/7(火)〜12/7(火)の株式市場全般については前半が上昇場面、後半は売り優勢となりました。
一方、東証マザーズ指数については、12/9(木)から12/14(火)にかけて4営業日続落となるなど、弱さが目立ちました。冒頭でご説明した通り、12月の新興市場が新規上場ラッシュとなることなどが理由として考えられます。
新規上場直後の銘柄は、短期資金が流入しやすく、他の既存銘柄から資金を吸収しやすいと考えられます。
12/15(水)に後払い決済サービスを提供するネットプロテクションズホールディングス(7383)が新規上場となりましたが、同社は公開株式数が本年最大の新規上場銘柄であり、上場に向けて他の銘柄(特に新興銘柄)の換金売りを誘った側面も大きかったようです。

こうした中、会員制転職サービス「ビズリーチ」を展開するビジョナル(4194)が大幅高に。同社は12/9(木)に2022/7期の第1四半期決算と業績予想の修正を発表し、通期業績見通しで営業利益を26.7億円から60億円に大幅上方修正しました。これを好感する形で12/10(金)、12/13(月)の同社株価は大幅続伸となりました。

図表1 日経ジャスダック平均と東証マザーズ指数の推移

  • ※SBI証券チャートツールを用いてSBI証券が作成。
  • ※2020/12/30終値を1として指数化。 期間:2020/12/30〜2021/12/14

図表2 主な新興市場銘柄の値動き

コード 銘柄名 市場 株価(12/14) 週間 年初来
4385 メルカリ 東証マザーズ 6,310 -3.5% 40.4%
2702 日本マクドナルドホールディングス ジャスダックS 5,100 1.0% 2.0%
4816 東映アニメーション ジャスダックS 14,810 -8.2% 83.1%
6324 ハーモニック・ドライブ・システムズ ジャスダックS 5,000 2.9% -45.8%
7564 ワークマン ジャスダックS 5,830 -0.3% -33.7%
4194 ビジョナル 東証マザーズ 10,150 22.1% -
4478 フリー 東証マザーズ 6,170 -4.5% -30.7%
7071 アンビスホールディングス ジャスダックS 11,960 8.3% 143.3%
1407 ウエストホールディングス ジャスダックS 6,280 -0.9% 72.1%
2782 セリア ジャスダックS 3,270 -3.7% -13.7%
【ご参考】 日経平均株価 - 28,432.64 -0.1% 3.6%
  TOPIX - 1,973.81 -0.8% 9.4%
  日経ジャスダック平均 - 3,881.71 -0.6% 4.4%
  東証マザーズ指数 - 993.77 -4.4% -16.9%
  • ※Bloombergデータを用いてSBI証券が作成。
  • ※新興市場(マザーズおよびジャスダック)の前月末時価総額上位10銘柄について、12/14時点での各種騰落率を掲載。
  • ※「週間」は12/7〜12/14の騰落率。
  • ※個別銘柄の「年初来」は昨年末時価総額と12/14時点の時価総額の比較。「-」は昨年末時点で上場していない銘柄。
  • ※指数の「年初来」は株価による単純計算。
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。

図表3 12/7(火)〜12/14(火)で株価上昇が大きかった新興市場銘柄

コード 銘柄名 市場 株価(12/14) 週間 年初来
7036 イーエムネットジャパン 東証マザーズ 5,160 31.5% 366.2%
6232 ACSL 東証マザーズ 2,305 23.9% -21.5%
7826 フルヤ金属 ジャスダックS 11,960 23.8% 97.7%
4194 ビジョナル 東証マザーズ 10,150 22.1% -
4377 ワンキャリア 東証マザーズ 2,976 21.0% -
4599 ステムリム 東証マザーズ 569 14.7% -9.0%
3733 ソフトウェア・サービス ジャスダックS 7,030 11.9% -35.4%
2498 オリエンタルコンサルタンツホールディングス ジャスダックS 3,460 11.1% 58.1%
4435 カオナビ 東証マザーズ 2,877 11.0% -35.4%
4425 Kudan 東証マザーズ 3,885 9.0% 46.6%
  • ※Bloombergデータを用いてSBI証券が作成。
  • ※新興市場(マザーズおよびジャスダック・前月末時価総額100億円以上)において、週間の株価上昇率が大きい上位10銘柄を掲載。
  • ※「週間」は12/7〜12/14騰落率
  • ※「年初来」は昨年末時価総額と12/14時点の時価総額の比較。「-」は昨年末時点で上場していない銘柄。
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。

22022年に活躍が期待される銘柄とは

12/14(火)時点でのプロマーケット市場を除く、2021年の新規上場社数は94社で、公開価格に対する初値の上昇率は平均で65.4%と順調でした。その後の高値までも含めたトータルの上昇率が大きかった銘柄のベスト10が図表4です。半導体ブームが追い風になったこともあり、半導体検査装置を製造するシキノハイテック(6614)が公開価格390円に対し、6/24(木)には本年高値の5,240円まで13.4倍となって10倍株となりました。

もっとも、公募株が当選する確率は低く、多くの投資家は初値形成以降、売買に参加することになります。その意味では上記94社の初値から高値までの平均上昇率は39.1%と、なかなかの好パフォーマンスでした。
ただ、高値から現在値(12/14)の平均下落率は25.1%でした。新規上場株は初値形成後に上昇する傾向が強いものの、その強さは続かず、中期的には下落する可能性が大きいようです。そうした高値からの下落率が大きい10銘柄が図表5です。

また、図表6では2021年に新規上場した新興銘柄のうち、高値からの下落率が30%以上でありながら、業績的には堅調が見込まれる15銘柄をピックアップしました。スクリーニング条件は以下の通りです。
(1)2021年に東証マザーズ市場、またはジャスダック市場に新規上場。
(2)本年高値からの下落率が30%以上。
(3)通期会社予想業績の下方修正リスクが小さいとみられる銘柄であること。
 ・直近四半期営業増益率(累計)が通期会社予想営業増益率を上回っていること。
 ・上記条件を満たさない時、四半期累計営業利益が、通期会社予想営業利益率に対して進捗率が標準以上。
 ・直近が第4四半期決算の場合、同四半期営業利益が前期営業利益の25%以上であること。
(4)12/8(水)から12/14(火)までの直近5営業日で、出来高が1万株に満たない日が存在しないこと。

図表4 2021年の新興市場新規上場銘柄で公開価格から高値までの上昇率が大きい銘柄

コード 銘柄 公開価格 初値 初値/
公開価格
本年高値 本年高値/
公開価格
株価(12/14)
6614 シキノハイテック 390 1,221 213.1% 5,240 1243.6% 2,129
4412 サイエンスアーツ 1,710 4,545 165.8% 18,690 993.0% 9,700
4498 サイバートラスト 1,660 6,900 315.7% 11,220 575.9% 3,295
6613 QDレーザ 340 797 134.4% 2,070 508.8% 700
4068 ベイシス 2,040 5,200 154.9% 11,510 464.2% 4,860
2983 アールプランナー 2,210 5,000 126.2% 11,350 413.6% 8,850
4173 WACUL 1,050 4,645 342.4% 4,780 355.2% 1,213
7370 Enjin 1,380 2,150 55.8% 5,220 278.3% 2,038
6521 オキサイド 2,800 6,540 133.6% 10,300 267.9% 6,820
4414 フレクト 2,550 5,810 127.8% 9,310 265.1% 6,930
  • ※各社公表データ等をもとにSBI証券が作成。
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。

図表5 2021年の新興市場新規上場銘柄で高値からの下落率が大きい銘柄

コード 銘柄 公開価格 初値 本年高値 株価(12/14) 本年高値からの下落率
4179 ジーネクスト 1,230 2,851 3,145 529 -83.2%
7363 ベビーカレンダー 4,200 9,400 13,050 2773 -78.8%
4174 アピリッツ 1,180 5,600 2,560 575 -77.5%
4173 WACUL 1,050 4,645 4,780 1213 -74.6%
4198 テンダ 3,250 6,500 6,510 1653 -74.6%
7369 メイホーホールディングス 2,080 4,630 4,875 1282 -73.7%
4937 Waqoo 1,920 2,362 2,510 682 -72.8%
4175 coly 4,130 8,450 9,890 2822 -71.5%
4498 サイバートラスト 1,660 6,900 11,220 3295 -70.6%
4073 ジィ・シィ企画 1,890 2,560 3,650 1087 -70.2%
  • ※各社公表データ等をもとにSBI証券が作成。
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。

図表6 2021年の新興市場新規上場銘柄で高値からの下落率が大きいが、短期業績が堅調な銘柄

取引 チャート ポート
フォリオ
コード 銘柄 株価(12/14) 本年高値 本年高値からの下落率 事業の概要
7378 7378 7378 7378 アシロ 608 1,515 -59.9% Webサイトで法律・弁護士情報を提供
4068 4068 4068 4068 ベイシス 4,860 11,510 -57.8% 通信インフラの設計・施工・運用等を行う
9250 9250 9250 9250 GRCS 6,690 13,000 -48.5% 企業のリスク管理プロダクト
9246 9246 9246 9246 プロジェクトカンパニー 3,900 7,270 -46.4% DX実現に向けたコンサルティング
4069 4069 4069 4069 BlueMeme 2,009 3,730 -46.1% アジャイル手法他活用。システムの受託開発
7367 7367 7367 7367 セルム 833 1,545 -46.1% 人材・組織開発を手掛ける
4371 4371 4371 4371 コアコンセプト・テクノロジー 7,000 12,740 -45.1% 製造業・建設業のDX実現を支援
4374 4374 4374 4374 ROBOT PAYMENT 2,722 4,795 -43.2% ネット決済代行サービスを提供
4372 4372 4372 4372 ユミルリンク 1,067 1,847 -42.2% 大量メールを高速配信するシステム等を提供
9253 9253 9253 9253 スローガン 1,273 2,140 -40.5% ベンチャー企業向けに就活プラットフォームを提供
7371 7371 7371 7371 全研本社 998 1,566 -36.3% Web集客メディアのコンサル・制作・運用
7096 7096 7096 7096 ステムセル研究所 4,610 7,220 -36.1% 民間のさい帯血バンクで市場シェア9割
6521 6521 6521 6521 オキサイド 6,820 10,300 -33.8% 半導体ウエハ検査装置メーカー向けの事業他
9240 9240 9240 9240 デリバリーコンサルティング 1,144 1,723 -33.6% ITコンサル・システム開発両面でDXを支援
7379 7379 7379 7379 サーキュレーション 3,780 5,540 -31.8% プロシェアリングコンサルティング
  • ※各社株価データ、報道等をもとにSBI証券が作成。
  • ※「事業の概要」は当該企業の事業のポイント、または代表的事業の内容を紹介したもので、その企業の事業を全て説明したものではありません。
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。

以下、一部の銘柄について、ポイントをご紹介します。

アシロ(7378) Webサイトで法律・弁護士情報を提供

  • ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。
  • 期間:2021/7/20〜2021/12/15(日足)

■リーガルメディア関連事業が主力
7/20(火)に東証マザーズに新規上場。インターネット上で法律情報や弁護士情報などを提供する「リーガルメディア関連事業」が主力です。
弁護士を主な顧客とする「リーガルメディア」と、弁護士以外の広告主を顧客とする「派生メディア」に分類され、収益の大部分は前者が占めています。「リーガルメディア」の収益は月額定額の掲載料収入で、掲載枠数の増加に比例して収益が伸長するストック型の収益構造となっています。
弁護士ナビシリーズとして、「離婚弁護士ナビ」や「交通事故弁護士ナビ」「相続弁護士ナビ」といった9つの分野特化型法律メディアサイトを運営。総合ポータル型法律メディアサイト「あなたの弁護士」も手掛けています。

■好決算を受けてストップ高に
株価は12/2(木)まで下落基調をたどったのち、12/15(水)にはストップ高と急上昇に転じました。
12/14(火)に決算発表を行い、2021/10期は営業利益3.6億円(前期比8.5%増)を確保。2022/10期は営業利益4.06億円(同12.4%増)を目指すとし、それが好感されました。
なお、直近の2021/10期・第4四半期(2021/8〜10期)の営業利益は0.96億円と前期実績の26.6%に達しています。

プロジェクトカンパニー(9246) DX実現に向けたコンサルティング

  • ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。
  • 期間:2021/9/29〜2021/12/15(日足)

■デジタルサービスのデザインを支援
9/29(水)に東証マザーズに上場。DX(デジタルトランスフォーメーション)実現をサポートするビジネス支援、マーケティング支援サービスを提供しています。
セグメントとしては「デジタルトランスフォーメーション事業」単一。その内訳として、コンサルティング(前期売上構成比60%)、マーケティング(同27%)、UI/UX(同13%)と、コンサルティングが主力となっています。
コンサルは、DXを通じた新規事業開発支援が主力で、デジタルを活用した事業変革支援やRPA(ロボットによる業務自動化)ツールの導入支援、組織変革支援といった業務改善支援も行います。

■第3四半期累計で営業利益進捗率が77%超
2021/12期の会社予想業績は、売上高21億円(前期比90.2%増)、営業利益4.68億円(同165.9%増)。それに対し、第3四半期累計の営業利益は3.62億円で、会社予想に対する進捗率は77.4%と「標準」の75%を超えています。

  • ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
  • ※NISA口座で上場株式等の配当金を非課税で受け取るためには、配当金の受領方法を「株式数比例配分方式」に事前にご登録いただく必要があります。

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