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2024-12-15 04:04:12

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≪2022年新興市場のけん引役は?≫高成長&割安感強い9銘柄

2022/1/5
投資情報部 鈴木 英之

改めて年間パフォーマンスを整理すると、2021年の指数別騰落率(2020年末〜2021年末)は、日経平均株価が+4.9%、TOPIXが+10.4%、日経ジャスダック平均が+4.3%、東証マザーズ指数が-17.4%と、東証マザーズ指数だけが大きく下落しました。

そして年が替わりました。2022/1/4(火)の取引では、日経平均株価が前年末比510円08銭(1.8%)高、日経ジャスダック平均が同21円11銭(0.5%)高、東証マザーズ指数が同11.20ポイント(1.1%)安。明暗分かれるスタートとなり、特にマザーズ市場は11月下旬以降の下落基調から抜け出せないでいます。

このことは何を示唆するのでしょうか。2022年の新興市場ではどのような銘柄がけん引役になるのでしょうか。

なお、当ページにつきましてはSBI証券 投資情報部長 鈴木による動画での詳しい解説も行っております。ぜひ、ご視聴ください

新興株ウィークリー新しいウィンドウで開きます。※YouTubeに遷移します。

執筆者のプロフィール
SBI証券 投資情報部長 鈴木 英之
・出身 東京(下町)生まれ埼玉育ち
・趣味 ハロプロ(牧野真莉愛推し)の応援と旅行(のりテツ)
・特技 どこでもいつでも寝れます
・好きな食べ物 サイゼリヤのごはん
・よくいくところ 京都
ラジオNIKKEI(月曜日)、中部経済新聞(水曜日)、ストックボイス(木曜日)、ダイヤモンドZAIなど、定期的寄稿も多数。

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1割高感から東証マザーズが冴えない

2022年最初の営業日となった1/4(火)の東京株式市場では、日経平均株価が昨年末比510円08銭高と大幅高しました。

株高の背景としては、休み中にNY株式市場をはじめ、海外株式市場が堅調に推移したことが中心と考えられます。米国では新型コロナウイルスの変異株「オミクロン株」に対してワクチンや飲み薬等の効果が期待されていることや、政府が無症状の感染者について隔離期間を短縮(10日→5日)すると決めたこともあり、経済への悪影響は限定的と考えられ、米経済の回復期待が継続しました。

一方、米国の経済回復期待が継続したことで、米10年国債利回りの上昇基調が鮮明になりました。同利回りは12/3(金)の1.35%を当面のボトムとし、1/4(火)には1.65%まで上昇してきました。これを受けて外為市場では円安・ドル高が進展。12/3(金)には1ドル112円80銭台でしたが、1/4(火)には一時116円30銭台まで、およそ5年ぶりの円安・ドル高水準となりました。

一般的に、金利が上昇する局面では、PERが高く、相対的に割高感の強い銘柄に買いが入りにくくなる傾向があります。米国市場(1/4)では、NYダウが過去最高値を更新する一方で、ハイテク株の多いナスダック指数は、昨年11/19(金)に付けた過去最高値から2.7%安い水準にとどまっています。東京株式市場では、東証マザーズ市場の情報通信関連株の中に、予想PERで数百倍まで買われ、割高感の強い銘柄が多く、同市場が出遅れる大きな要因となっています。

こうした中、医薬品開発のステラファーマ(4888)の上昇が目立ちました。12/8(水)に「事業計画及び成長可能性に関する事項について」を発表。同社が世界で初めて薬事承認を受けた「BNCT領域」の有望性や、再発脳腫瘍を対象にした開発等の説明があり、期待が高まっていたところに、短期資金の流入で急騰した可能性がありそうです。ただ、資金の出入りは激しいようで、1/4(火)まで9連騰の後、1/5(水)は26.3%安と急落するなど、荒っぽい展開になっています。

図表1 日経ジャスダック平均と東証マザーズ指数の推移

  • ※SBI証券チャートツールを用いてSBI証券が作成。
  • ※2021/6/30終値を1として指数化。
  • 期間:2021/6/30〜2022/1/4

図表2 主な新興市場銘柄の値動き

コード 銘柄名 市場 株価(1/4) 週間 年初来
4385 メルカリ 東証マザーズ 5,800 -3.3% -1.0%
2702 日本マクドナルドホールディングス ジャスダックS 5,070 -4.2% -0.4%
4816 東映アニメーション ジャスダックS 11,300 -3.8% -1.3%
6324 ハーモニック・ドライブ・システムズ ジャスダックS 4,915 -1.2% 1.1%
7564 ワークマン ジャスダックS 5,510 1.8% 0.2%
4478 フリー 東証マザーズ 6,200 -3.7% -2.5%
4194 ビジョナル 東証マザーズ 9,400 -6.0% -3.2%
7071 アンビスホールディングス ジャスダックS 5,290 -4.4% 0.0%
1407 ウエストホールディングス ジャスダックS 5,580 -3.1% -2.6%
2782 セリア ジャスダックS 3,365 3.9% 0.9%
【ご参考】 日経平均株価 - 29,301.79 0.8% 1.8%
  TOPIX - 2,030.22 1.3% 1.9%
  日経ジャスダック平均 - 3,899.57 1.4% 0.5%
  東証マザーズ指数 - 976.74 -1.3% -1.1%

  • ※Bloombergデータを用いてSBI証券が作成。
  • ※新興市場(マザーズおよびジャスダック)の時価総額上位10銘柄について、1/4時点での各種騰落率を掲載。
  • ※「週間」は2021/12/28〜2022/1/4の騰落率。
  • ※個別銘柄の「年初来」は昨年末株価と1/4時点の株価比較。
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。

図表3 12/28(火)〜1/4(火)で株価上昇が大きかった新興市場銘柄

コード 銘柄名 市場 株価(1/4) 週間 年初来
4888 ステラファーマ 東証マザーズ 1,047 24.1% 13.8%
2484 出前館 ジャスダックS 946 20.2% 2.8%
6149 小田原エンジニアリング ジャスダックS 2,968 19.8% 5.9%
4080 田中化学研究所 ジャスダックS 2,448 18.7% 4.4%
5759 日本電解 東証マザーズ 5,620 15.9% 2.4%
6182 メタリアル 東証マザーズ 1,499 14.3% 0.3%
7777 スリー・ディー・マトリックス ジャスダックG 556 14.2% 6.1%
4563 アンジェス 東証マザーズ 376 13.9% -2.1%
7826 フルヤ金属 ジャスダックS 12,960 13.8% 7.4%
3906 ALBERT 東証マザーズ 4,570 12.7% 9.3%
  • ※Bloombergデータを用いてSBI証券が作成。
  • ※新興市場(マザーズおよびジャスダック・前月末時価総額100億円以上)において、週間の株価上昇率が大きい上位10銘柄を掲載。
  • ※「週間」は2021/12/28〜2022/1/4の騰落率。
  • ※個別銘柄の「年初来」は昨年末株価と1/4時点の株価比較。
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。

2高成長&割安感強い9銘柄

2022年の新興市場ではどのような銘柄がけん引役になるのでしょうか。

2022年は、米国において量的緩和が3月までに終了し、その後は政策金利の引き上げ局面になるというのが市場コンセンサスです。米政策金利(上限)は、2021年末の0.25%から2022年末には0.75%に、米長期金利は2021年末の1.51%から、2022年末に2.0%前後まで上昇するというのが市場予想(Bloombergコンセンサス)です。インフレ圧力を抑えるべく、世界的にも金利は上昇しやすく、前項で述べたように、PERが高く割高感の強い銘柄は買われにくい状態が続きそうです。

そこで、今回の「新興株ウィークリー」では、以下のようなスクリーニングを行ってみました。

(1)東証マザーズ、またはジャスダック市場に上場。

(2)時価総額100億円以上1,000億円未満。

(3)予想EPS(1株利益)を公表しているアナリストが2名以上。

(4)今期・来期ともに市場予想営業増益率が10%超。

(5)来期予想PER50倍未満。

(6)1月中に決算発表を予定している銘柄は除く。

図表4の銘柄は、上記の条件をすべて満たす9銘柄で、来期市場予想増益率の高い順に掲載しています。

図表4 高成長&割安感強い9銘柄

取引 チャート ポートフォリオ コード 銘柄 株価(1/4) 来期市場予想PER 今期市場予想営業増益率 来期市場予想営業増益率
7379 7379 7379 7379 サーキュレーション 3,555 42.2 23.8% 83.3%
4436 4436 4436 4436 ミンカブ・ジ・インフォノイド 2,750 38.8 39.5% 46.3%
6145 6145 6145 6145 NITTOKU(J) 3,995 24.0 112.1% 39.1%
5759 5759 5759 5759 日本電解 5,620 33.9 102.1% 36.2%
7320 7320 7320 7320 日本リビング保証 2,350 20.2 15.0% 28.8%
4293 4293 4293 4293 セプテーニ・ホールディングス 496 14.9 33.6% 22.8%
4934 4934 4934 4934 プレミアアンチエイジング 9,090 18.9 33.5% 18.4%
6597 6597 6597 6597 HPCシステムズ 2,810 20.5 10.1% 18.1%
3798 3798 3798 3798 ULSグループ(J) 4,610 24.1 24.6% 16.7%
  • ※Bloombergデータを用いてSBI証券が作成。
  • ※銘柄名右に“(J)”とある銘柄はジャスダック銘柄で、他は東証マザーズ銘柄。
  • ※市場予想はBloombergが集計した市場コンセンサスです。
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。

以下、一部の銘柄について、ポイントをご紹介します。

サーキュレーション(7379)〜新型コロナウイルス感染拡大は「プロシェアリング」の市場拡大を後押しか

  • ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。
  • 期間:2021/7/27〜2022/1/5(日足)

■「プロシェアリング」を提供

当社は2021/7/27(火)付で東証マザーズ市場に新規上場し、顧客に「プロシェアリング」を提供しています。プロシェアリングとは、企業が、雇用でも派遣でもなく、外部プロ人材の経験・知見をプロジェクト単位で活用し、自社の経営課題を解決する新しい人材活用モデルを指しています。各経営テーマにおけるプロ人材と協業し、法人企業向けに(1)プロ人材の経験・知見を活用した経営課題解決支援サービス「プロシェアリングコンサルティング」、(2)CTO(最高技術責任者)経験者/エンジニア/デザイナー支援サービス「FLEXY(フレキシー)」、(3)新規事業起ち上げ支援サービス「Open Idea(オープンアイデア)」、(4)人と組織、成長戦略に着目した事業承継支援サービス「人が繋ぐ事業承継」の、4つのサービスを提供しています。

■高値から41%下落し、下値リスクは後退か

今期(2022年7月期)の会社計画は、売上高73億円(前期比32.6%増)、営業利益5.1億円(同5.8%増)となっています。これに対し、市場予想営業利益は今期6億円(前期比23.8%増)、来期11億円(同83.3%増)と上振れが見込まれています。

新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、企業が問題解決のすべてを「自前」で行うのではなく、社外にも求めようとしている動きが広がっており、当社事業に追い風が吹いています。

市場の予想増益率が高い割には、来期予想PER(1/4)は42倍台で、極端な割高感はないように思われます。12/21(火)の安値3,265円は、11/15(月)高値5,540円から41%下落した水準に達しており、下値リスクは限定的になりつつあると考えられます。

NITTOKU(6145)〜ジャスダックの老舗企業。EV化が追い風に

  • ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。
  • 期間:2021/7/9〜2022/1/5(日足)

■コイル用巻き線機で高シェア〜グローバル・ニッチ・トップ

電気を利用するあらゆる製品に欠かせない部品であるコイル。当社はそうしたコイル用巻き線機で世界シェア約4割を握るグローバル・ニッチ・トップ企業です。非接触ICタグ・カードやカード用インレットなどの製造販売も行います。

アジアを中心に海外売上高が53%(前期)を占めるグローバル企業です。当社製品はおもに、自動車や情報通信分野、OA機器、AV機器等の生産現場で使われます。

巻き線機単体を販売するビジネスが技術流出で行き詰まった経緯もあり、最近は巻き線機前後のライン全体で販売するなど、収益の安定化に取り組んできました。自動車業界が急速にEV(電気自動車)にシフトする中、コイルを用いるモーターの使用が増える方向にあり、当社の活躍領域も広がりつつあります。

■短期的には新型コロナ感染拡大の影響が残る可能性も

今期(2022/3期)の会社計画は売上高268億円(前期21.6%増)、営業利益26億円(同91.7%増)。これに対し、上半期の営業利益は6.29億円(前年同期比14.0%増)と、やや伸び悩んでいる印象。新型コロナウイルス感染拡大の影響は今期くらいまで残る可能性もありそうです。当面、決算発表の前後では注意も必要そうです。

ただ、自動車業界等の回復が本格化してくれば、同業界のEV化の流れが強まると期待されます。

日本電解(5759)〜電解銅箔の製造販売。生産体制強化に注力

  • ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。
  • 期間:2021/7/9〜2022/1/5(日足)

■電解銅箔の製造販売

当社はプリント配線板や半導体パッケージ、リチウムイオン電池などに使う「電解銅箔」の専業メーカーです。

電解銅箔とは、電気で溶液中の金属イオンを還元させる「電気めっき」の原理を用いて作成する薄い銅のシートです。自動車向けに強く、車載電池で世界大手のパナソニック(6752)向けの販売が多くなっています。また、通信分野では5Gネットワークの拡大が追い風とみられます。

当社は各国のEV化推進政策を背景とする車載電池の需要増を背景に、電解銅箔の競争力と生産体制の強化に取り組んでいます。2021年には2019年に買収した米国子会社の設備の一部を車載電池向け銅箔製造ラインへ転用し、2022年に同子会社の生産プロセスを最適化する見通し。24年には同国に新工場の設立を予定しています。

■2023年3月期は増益見通し

11/10(水)に発表された2022年3月期第2四半期累計(21年4〜9月)の連結業績は、売上高が101億円、営業利益が6.2億円となりました。前年同期は四半期財務諸表を作成していませんが、参考値ベースの比較では売上高が59.7%増、営業利益が2.2倍となりました。

自動車のEVシフトが加速し、電解銅の使用量が拡大した恩恵を受けました。原材料の銅価格の上昇で調達コストが膨らんだものの、コストダウンや販管費の削減でカバーしました。


2022年3月期の連結業績予想は、売上高を189億円から203億円に上方修正する一方、営業利益は13.0億円から10.5億円に引き下げさげられた。営業利益の減額は、自動車メーカーの減産やスマートフォン向け需要の低迷が影響しました。

市場コンセンサスでは2023年3月期に営業利益は14.5億円に拡大する見通しです。

  • ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
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  • 本資料は投資判断の参考となる情報提供のみを目的として作成されたもので、個々の投資家の特定の投資目的、または要望を考慮しているものではありません。投資に関する最終決定は投資家ご自身の判断と責任でなされるようお願いします。万一、本資料に基づいてお客さまが損害を被ったとしても当社及び情報発信元は一切その責任を負うものではありません。本資料は著作権によって保護されており、無断で転用、複製又は販売等を行うことは固く禁じます。
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