東証1部への市場変更は買い要因?!
成長に伴って、名前の変わる出世魚のように、株式市場でも、上場市場を変更して出世していく銘柄があります。
関東 ワカシ → イナダ → ワラサ → ブリ
関西 ツバス → ハマチ → メジロ → ブリ
最近では、今年最大規模で新規公開したサントリー食品インターナショナル(東証1部 2587)のように、いきなり東証1部に上場する銘柄もありますが、東証2部や、東証マザーズを経由して東証1部に上場する銘柄もあります。
東証1部に市場変更すると、知名度などが向上するとともに、外国人投資家や、機関投資家の投資対象になる可能性があります。機関投資家の場合、投資成果を検証するための指標であるベンチマークとして、東証株価指数(TOPIX)が使われるケースが多い傾向があります。その場合、組入れ候補銘柄である対象としては、東証1部上場銘柄になるからです。元々、東証1部以外の上場銘柄については投資対象としていないファンド、投資家も多く、東証1部に市場変更されると、組入れ候補銘柄に入ることになり、投資可能な投資家が増えることになります。
また、東証1部に上場すると、東証株価指数(TOPIX)の構成銘柄になることから、機械的なインデックス買いの対象となります。
インデックス買いについては、2013年8月23日の福の神レポート「旧大証銘柄のパフォーマンスに注目!!コバンザメ投資法とは!? 」で詳細に説明していますので、ぜひご参照ください
豆蔵ホールディングスのストップ高にみる市場変更のインパクトとは?
2013年10月21日(月)にシステム情報コンサルティングの豆蔵ホールディングス(3756)が、18日(金)終値353円から初値415円、高値・終値433円と急騰しストップ高となりました。出来高も、18日の52,800株から、21日は1,362,900株と20倍以上膨らみ大商いとなっています。
この急騰の原因としては、東京証券取引所が18日引け後、豆蔵ホールディングス(3756)を25日付でマザーズ市場から市場1部銘柄に指定すると発表したことが考えられます。東証1部市場への上場に伴って上場翌月末にはTOPIXに組み入れられるため、指数連動型の運用を目指すパッシブファンドなどからの買い需要が見込まれるからです。
グラフ1:豆蔵ホールディングス日足チャート
- ※SBI証券WEBから、投資調査部作成。
9月、10月に東証1部へ市場変更した銘柄の検証
東証1部市場変更銘柄の株価動向を検証するために、2013年9月・10月に東証1部への市場変更を発表した11銘柄の株価動向を調べてみました。すべて引け後に市場変更が発表されています。発表日の終値と、発表日から5営業日間の高値の騰落率を示したものが、表1です。11銘柄すべてが値上がりし、最高はエムアップの37.6%、最低は三洋貿易の3.0%、平均15,4%の高い投資成果となっています。(※騰落率等の実績は過去のものであり、将来の運用成果等を保証するものではありません。)
表1:2013年9月・10月に東証1部への市場変更を発表した11銘柄の株価動向
銘柄 |
銘柄名 |
市場変更日 |
備考 |
発表日終値 |
5営業日間 |
騰落率 |
---|---|---|---|---|---|---|
3658 |
2013/10/28 |
マザーズ→1部 |
2,302 |
2,630 |
14.2% | |
3756 |
2013/10/25 |
マザーズ→1部 |
353 |
433 |
22.7% | |
3387 |
2013/10/22 |
マザーズ→1部 |
2,664 |
2,846 |
6.8% | |
3661 |
2013/9/27 |
マザーズ→1部 |
963 |
1,325 |
37.6% | |
3175 |
2013/9/25 |
マザーズ→1部 |
2,127 |
2,387 |
12.2% | |
4809 |
2013/9/12 |
マザーズ→1部 |
715 |
865 |
21.0% | |
3254 |
2013/10/29 |
2部→1部 |
3,095 |
3,335 |
7.8% | |
6055 |
2013/10/25 |
2部→1部 |
2,297 |
2,697 |
17.4% | |
3176 |
2013/10/23 |
2部→1部 |
878 |
904 |
3.0% | |
8935 |
2013/10/22 |
2部→1部 |
633 |
701 |
10.7% | |
6284 |
2013/6/26 |
2部→1部 |
1,756 |
2,031 |
15.7% | |
平均 |
15.4% |
- ※各種公表データをもとにSBI証券が作成。
11月・12月は東証1部市場変更銘柄のピーク!
上記で検証したように、東証1部市場変更銘柄における発表後のパフォーマンスは良いので、出来れば発表前に「半歩先読み」して、先回り買いをしたいところですが、ある一定の基準で機械的に市場変更されるものではないので、確実に当てる手法はありません。
例えば、サイバーエージェント(東証マザーズ 4751)などは、時価総額2,000億円弱と大きく、株主数などの基準もクリアしているのですが、長らく東証マザーズに留まったままです。会社が自ら東京証券取引所に市場変更の申請を行い、東証が審査してOKになった企業だけが、市場変更されるからです。
したがって、東証1部の上場基準を満たした銘柄を機械的に選択しても、その会社自らが東証1部に上場する意欲がなければ、東証1部に指定されないのです。
しかしながら、絞り込む方法はあります。それは、「1年ルール」を利用して、銘柄を絞りこむことです。東証マザーズや、2部に上場してから、1年間経つと、市場変更の可能性があるようです。上記の11銘柄の中では、エー・ピーカンパニーと三洋貿易の2社が新規上場して、ほぼ1年後に東証1部に市場変更されています。
実は、東証1部への市場変更については、11月・12月が狙い目です。年末にかけて東証1部への市場変更が増えやすい傾向があります。昨年2012年も、東証マザーズから東証1部に市場変更となった11銘柄中5銘柄が、東証2部から東証1部に市場変更となった36銘柄中11銘柄が、11月・12月に市場変更されています。
決算期や、審査スケジュールのほか、年末に掛けて新規上場が多く、その1年後に当たるので年末に掛けての東証1部への市場変更が多いのでしょう。
表2が、昨年2012年の11月・12月に東証マザーズ・東証2部に新規上場または市場変更した20銘柄です。備考欄に新規とあるのは新規上場、JASDAQとあるのは市場変更前の市場です。市場欄は、上場時の市場及び市場変更後の市場です。(キャリアリンクのみ、その後今年の8月に東証マザーズから東証2部に市場変更を行っています。)
今年の11月・12月、この20銘柄の中に、東証1部へ市場変更される可能性があると思われます。今回の福の神のヒントはココまでです。この20銘柄をじっくりと研究してみてはいかがでしょうか。
表2:2012年11月・12月に東証2部・東証マザーズに上場した銘柄
上場日 |
銘柄コード |
銘柄名 |
市場 |
備考 |
---|---|---|---|---|
2012/12/26 |
3361 |
2部 |
JASDAQ |
|
2012/12/21 |
6072 |
マザーズ |
新規 |
|
2012/12/20 |
3179 |
マザーズ |
新規 |
|
2012/12/20 |
6165 |
2部 |
新規 |
|
2012/12/20 |
2931 |
マザーズ |
新規 |
|
2012/12/19 |
3669 |
マザーズ |
新規 |
|
2012/12/14 |
3178 |
2部 |
新規 |
|
2012/12/14 |
2384 |
2部 |
JASDAQ |
|
2012/12/13 |
4929 |
2部 |
新規 |
|
2012/12/13 |
3668 |
マザーズ |
新規 |
|
2012/12/11 |
4585 |
マザーズ |
新規 |
|
2012/12/11 |
3667 |
マザーズ |
新規 |
|
2012/12/11 |
4290 |
2部 |
JASDAQ |
|
2012/12/7 |
6879 |
2部 |
JASDAQ |
|
2012/12/7 |
3276 |
2部 |
JASDAQ |
|
2012/11/30 |
4584 |
マザーズ |
新規 |
|
2012/11/27 |
2882 |
2部 |
JASDAQ |
|
2012/11/21 |
3280 |
マザーズ |
新規 |
|
2012/11/16 |
3844 |
2部 |
JASDAQ |
|
2012/11/15 |
6070 |
マザーズ |
新規 |
- ※各種公表データをもとにSBI証券が作成。
- ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。