日経平均株価は、黒田バズーカ第二弾と言われる日銀の追加緩和により急騰して、17,000円の大台を超えています。この急騰は、同時に一気に進んだ円安に後押しされた輸出関連株を中心とした大型株の外国人投資家の買いによるものです。11月1週・2週の東京証券取引所が発表する株式、大阪取引所の発表する日経平均先物のそれぞれの投資部門別売買動向を合算した株式・先物合計の投資部門別売買動向では、外国人投資家が1週目2兆2,263億円、2週目9,490億円、合計で3兆1,753億円と、歴史的な買い越し幅でした。逆に、売却しているのが、それまで買い越し主体であった信託銀行(年金資金など)と個人投資家です。特に、個人投資家は、1週目8,939億円、2週目6,950億円、合計で1兆5,889億円と非常に大きな売り越しとなっています。
この上昇相場にあまり乗らなかった個人投資家は、配当などのインカムゲインに注目した投資に着目しているようです。
今回の「福の神レポート」では、直近の大きな売り越しで大きな待機資金を保有している個人投資家の年末にかけての買いに期待して、配当などのインカムゲインに注目した20万円以下で投資できる好配当銘柄をご紹介いたします。
20万円以下で買える好配当株はコレ!? 丸ごと買うならETFもあり! |
2014年11月22日(土)の日本経済新聞のマーケット総合面に、「高配当銘柄に資金流入」の記事が掲載されています。記事によると、株式市場で配当利回りの高い銘柄に資金が向かっており、高配当の銘柄を集めて算出する「東証配当フォーカス100指数」が11月21日に算出以来の高値を付けたそうです。
記事内にもありますが、少額投資非課税制度(NISA)の2014年非課税投資枠の利用期限が迫っていることもあり、個人投資家の注目は再び配当金などのインカムゲインに集まっているようです。
高配当銘柄で注目される銘柄として、東証配当フォーカス100指数の構成銘柄に注目しました。その中でも、2014年の少額投資非課税制度(NISA)の非課税投資枠の利用期限が年末に迫ることを考慮し、個人投資家にとって買いやすい投資金額20万円以下の銘柄を選定しました。
東証配当フォーカス100指数構成銘柄:100銘柄(個別銘柄:90銘柄、REIT:10銘柄)
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投資金額20万円以下:43銘柄(個別銘柄39:銘柄、REIT:4銘柄)
上記の基準で選別された銘柄をユニバース(候補銘柄)として、(1)高配当利回り銘柄上位5銘柄、(2)株主優待魅力上位5銘柄、(3)割安・高配当上位5銘柄(4)高配当不動産投信(REIT)の4つのランキングをご紹介するとともに、高配当利回り銘柄全体に投資できる上場投信(ETF)を2銘柄ご紹介いたします。
【1】高配当利回り
今回の最大の注目ポイントである予想配当利回りに着目し、5銘柄を選定いたしました。
業種の偏りを防ぐため、同業種では高配当の1銘柄のみを選定するようにしています。
表1:高配当利回り上位5銘柄
項目 | チャート | 銘柄 コード |
銘柄名 | 株価 | 最低投資 金額 |
業種 | 予想配当 利回り |
一株当たり 予想配当額 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
8053 | 住友商事 | 1,258.5 | 125,850 | 卸売業 | 3.97% | 50 | ||
5002 | 昭和シェル石油 | 998.0 | 99,800 | 石油・石炭製品 | 3.81% | 38 | ||
9437 | NTTドコモ | 1,847.0 | 184,700 | 情報・通信業 | 3.52% | 65 | ||
7262 | ダイハツ工業 | 1,629.0 | 162,900 | 輸送用機器 | 3.44% | 56 | ||
8411 | みずほフィナンシャルグループ | 204.2 | 20,420 | 銀行業 | 3.43% | 7 |
- ※会社公表データ、BloombergをもとにSBI証券が作成。予想配当額は、東洋経済新報社予想。
- ※データは2014/11/21現在。
【2】株主優待魅力
配当とともに、個人投資家の注目度の高い株主優待に着目し、5銘柄を選定いたしました。
表2:株主優待魅力 上位5銘柄
項目 | チャート | 銘柄 コード |
銘柄名 | 株価 | 最低投資 金額 |
業種 | 予想配当 利回り |
一株当たり 予想配当額 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
2503 | キリンホールディングス | 1,495.5 | 149,550 | 商品詰め合わせなど | 2.54% | 38 | ||
2579 | コカ・コーラウエスト | 1,635.0 | 163,500 | 株主優待ポイント | 2.51% | 41 | ||
3028 | アルペン | 1,641.0 | 164,100 | 株主特別優待券 | 2.44% | 40 | ||
3863 | 日本製紙 | 1,759.0 | 175,900 | 家庭用品詰め合わせ | 2.84% | 50 | ||
5959 | 岡部 | 1,076.0 | 107,600 | クオカード | 2.04% | 22 |
- ※会社公表データ、BloombergをもとにSBI証券が作成。予想配当額は、東洋経済新報社予想。
- ※データは2014/11/21現在。
【3】割安・高配当銘柄
高配当利回り銘柄の場合、中・長期的な保有を目的として投資するケースが多いため、収益面から割安度の指標である予想PER(株価収益率)と、資産面から割安度の指標であるPBR(株価純資産倍率)の2つの指標を組み合わせて総合的に割安な銘柄を選定しました。
業種の偏りを防ぐため、同業種では1銘柄のみを選定するようにしています。
表3:割安・高配当上位5銘柄
項目 | チャート | 銘柄 コード |
銘柄名 | 株価 | 最低 投資 金額 |
業種 | 予想 PER (倍) |
実績 PBR (倍) |
予想配当 利回り |
一株 当たり 予想配当額 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
5563 | 新日本電工 | 301.0 | 30,100 | 鉄鋼 | 4.0 | 0.57 | 1.66% | 5 | ||
2768 | 双日 | 171.0 | 17,100 | 卸売業 | 6.5 | 0.43 | 2.92% | 5 | ||
1663 | K&Oエナジーグループ | 1,450.0 | 145,000 | 鉱業 | 5.5 | 0.62 | 1.93% | 28 | ||
3863 | 日本製紙 | 1,759.0 | 175,900 | パルプ・紙 | 7.9 | 0.46 | 2.84% | 50 | ||
7972 | イトーキ | 566.0 | 72,660 | その他製品 | 8.0 | 0.68 | 2.30% | 13 |
- ※会社公表データ、BloombergをもとにSBI証券が作成。予想配当額は、東洋経済新報社予想。
- ※予想PER、実績PBRを低い順に並べ、総合順位が高い銘柄を選定。
- ※データは2014/11/21現在。
【4】高配当 不動産投信(REIT)
東証配当フォーカス100指数の構成銘柄には、10社の上場不動産投信(REIT)が含まれています。投資金額20万円以下で買える4銘柄を予想分配金利回りの高い順に選定いたしました。
表4:高配当 不動産投信(REIT) 4銘柄
項目 | チャート | 銘柄 コード |
銘柄名 | 株価 | 最低投資 金額 |
予想分配金 利回り |
予想分配金 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
8986 | 日本賃貸住宅投資法人 投資証券 | 80,000 | 80,000 | 4.04% | 3,230 | ||
8973 | 積水ハウス・SI レジデンシャル投資法人 投資証券 | 117,300 | 117,300 | 3.63% | 4,260 | ||
8987 | ジャパンエクセレント投資法人 投資証券 | 147,600 | 147,600 | 3.33% | 4,915 | ||
8985 | ジャパン・ホテル・リート投資法人 投資証券 | 75,100 | 75,100 | 2.74% | 2,058 |
- ※会社公表データ、BloombergをもとにSBI証券が作成。予想分配金は、JAPAN-REIT.COM。
- ※データは2014/11/21現在。
【5】高配当 上場投信(ETF)
高配当の日本株に投資する上場投資信託(ETF)は、現在2銘柄上場しています。東証配当フォーカス100指数への連動を目指した上場インデックスファンド日本高配当(東証配当フォーカス100) (1698) と、野村日本株高配当70への連動を目指したNEXT FUNDS 野村日本株高配当70連動型上場投信 (1577) の2つです。個別銘柄ではなく、高配当銘柄全体に投資を考える場合、この2つのETFへの投資も良さそうです。
表5:高配当銘柄に投資する上場投信(ETF) 2銘柄
項目 | チャート | 銘柄 コード |
銘柄名 | 株価 | 最低投資 金額 |
時価総額(億円) |
---|---|---|---|---|---|---|
1698 | 上場インデックスファンド日本高配当(東証配当フォーカス100) | 1,484 | 14,840 | 40 | ||
1577 | NEXT FUNDS 野村日本株高配当70連動型上場投信 | 20,050 | 20,050 | 293 |
- ※各種市場データ、BloombergをもとにSBI証券が作成。
- ※データは2014/11/21現在。
東証配当フォーカス100指数って何? |
東証配当フォーカス100指数とは、TOPIX1000および東証REIT指数の構成銘柄のうち時価総額および予想配当利回りに着目して選定された100銘柄(株式90銘柄、REIT10銘柄)を対象とする指数です。市場の実態をより的確に反映するため、構成銘柄の定期入替を毎年2回1月・7月に行っています。
図1:東証配当フォーカス100指数の構成銘柄の選定方法とウエイトの決定
このような選定基準で選ばれた東証配当フォーカス100指数の構成銘柄は、東証によって選定された高配当利回り銘柄と言えそうです。
東証配当フォーカス100指数の直近のパフォーマンスをチェック! |
東証配当フォーカス指数のパフォーマンスを確認してみましょう。図2は、2010年3月8日の指数算出来のTOPIX(東証株価指数)との比較表です。
アベノミクス相場が始まる前の下落相場では、東証配当フォーカス100指数の方が配当利回りによる下支え効果のためか若干、パフォーマンスが良かったようですが、逆にアベノミクス相場以後の上昇相場では、TOPIXの方がアウトパフォームする傾向にあったようです。
図2:東証配当フォーカス100指数・TOPIX日足比較チャート(2010/3/8〜)
- ※BloombergをもとにSBI証券が作成。
図3は、今年10月31日以降の東証配当フォーカス100指数と、TOPIX(東証株価指数)の日足比較チャートです。
10月31日を100とした比較チャートでは、東証配当フォーカス100指数がTOPIXを小幅アウトパフォームしており、足元で高配当株の堅調さが目立っています。
年末に掛けて、大きく溜まった個人投資家の待機資金は、配当などインカムゲインに着目して株式市場に還流する可能性がありそうです。
図3:東証配当フォーカス100指数・TOPIX日足比較チャート(2014/10/31〜)
- ※BloombergをもとにSBI証券が作成。
- ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
免責事項・注意事項
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