日経平均株価の連騰記録が先週12連騰で終わってから、上値が重い展開となっています。ここまで上昇相場をけん引してきた主力・大型株は目先、調整局面に入る可能性があります。来週は久しぶりに4社の新規上場も控えており、新興市場に個人投資家の注目が集まりそうです。
今回の福の神レポートでは、新興市場特集の第二弾として前回の東証マザーズに引き続き、「20万円以下で買える高成長ジャスダック銘柄はコレ!?」と題して、東証ジャスダックについて解説し、今後高成長期待で個人投資家の買いが期待出来る銘柄をご紹介致します。また、前回の東証マザーズ銘柄の現時点での投資パフォーマンスをご紹介いたします。
先週の6月1日(月)まで日経平均株価は12連騰の記録的な堅調相場でした。その後は、利食い売りもあり、高値圏での保ち合いとなっています。上に行きそうになると下落、逆に下に行きそうになると反発。なんとも方向感がなく値幅も出ない相場展開が続いています。
それもそのはずで、5月27日(水)から6月8日(月)まで9営業日連続で、当日の始値が前営業日終値より安く始まった場合は陽線に、逆に当日の始値が前営業日終値より高く始まったら陰線になっていたのです。NY株式市場などの動向を織り込んで、朝方に動いた方向と逆の方向で終わっているのです。「売り」も「買い」もザラ場では加速せず、行ったり来たりの相場が続いていました。
その中で徐々に上値を切り下げて9日に急落、上値が非常に重そうなチャート形状となっています。(図1)
図1:日経平均株価日足チャート 3ヶ月
東証ジャスダックの主な指数であるジャスダック平均株価で同期間をチェックしてみましょう。さすがに直近は高値圏での保ち合いとはなっていますが、それほど上値の重いチャート形状とはなっていません。(図2)
図2:ジャスダック平均株価 日足チャート6ヶ月
また、日経平均株価との比較チャートでは、過去1年間、ジャスダック平均は日経平均株価に対して、かなり出遅れています。(図3)
しかし、過去3ヶ月間のチャートを見ますと、5月末近辺からは、ジャスダック平均が日経平均株価をアウトパフォームしています。
図3:ジャスダック平均・日経平均 比較チャート 1年
図4:ジャスダック平均・日経平均 比較チャート 3ヶ月
来週は久しぶりに4社の新規上場もあり、上値が重くなりそうな主力株より、新興市場に個人投資家の注目度が高まる可能性があります。前回の東証マザーズに引き続き、今回は東証ジャスダックの高成長銘柄をご紹いたしましょう。
そもそも、東証ジャスダックとはどんな市場なのでしょうか?
東証ジャスダックとは、日本初の成長・ベンチャー企業(新興企業)向けの市場です。1963年2月の店頭登録制度が源流です。その後、様々な変遷を辿り、大阪市場の「ヘラクレス」・「NEO」などと統合され、2010年10月より、「新JASDAQ市場」として一本化されました。
2013年7月に大証の現物市場が、東証に統合されたため、ジャスダックも東証の管理下に置かれることになりました。これにより東証は以前から運営していたマザーズと2つの新興企業向け市場を運営する形となっています。
ゆえに東証マザーズに比較すると、様々な業態・社歴の企業が存在しており、秩父鉄道(9012)のような上場から50年を超える企業も存在しています。
今後、高成長が期待出来る東証ジャスダック銘柄を探すには、どのようにしたらよいのでしょうか?
高成長企業の場合、足元では先行投資負担が重く、利益水準が低かったり、減益になったりする企業があります。よって、高成長企業の定義として、売上高が順調に大幅増加(年率15%以上)していることを条件に考えました。しかし、一部のバイオベンチャーなどで足元の売上高が極端に少なく、変化率が極端に大きく出る銘柄もあるので、今期の売上高が10億円以上を予想されている銘柄に絞りました。
【今回の銘柄の選定条件】
1. 東証ジャスダック銘柄であること
2. 前期・今期・来期の売上高変化率がそれぞれ15%以上(年率)
3. 今期の売上高が、10億円以上であること
4. 株価が100円以上であること
この条件で抽出されたのが、表1の11銘柄です。
この11銘柄は、年率15%以上の成長を3期連続で達成可能な高成長企業と言えるでしょう。
今後、日経平均株価が調整局面に入れば、高成長期待が出来る東証ジャスダック銘柄に、投資家の注目がより集まりそうです。
表1:高成長東証ジャスダック銘柄(今期売上高変化率の降順)
取引 | チャート | コード | 銘柄名 | 主な 業務内容 |
売上高変化率(%) | 時価 総額 (億円) |
売上高 (億円) |
最低 投資 金額(円) |
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前期 | 今期 | 来期 | ||||||||
2362 | 夢真HLD | 人材派遣・請負 | 31.5 | 45.6 | 29.2 | 617 | 240 | 82,500 | ||
7774 | JPNティッシュE | バイオベンチャー | 31.1 | 32.5 | 28.6 | 620 | 18 | 150,600 | ||
6838 | 多摩川HLD | 放送・通信機器 | 22.1 | 26.6 | 24.0 | 80 | 65 | 188,000 | ||
3858 | ユビキタス | システム開発 | 15.8 | 29.9 | 21.7 | 158 | 12 | 157,100 | ||
4978 | リプロセル | バイオベンチャー | 23.3 | 164.6 | 20.0 | 363 | 15 | 69,000 | ||
3901 | マークラインズ | 他産業サービス・製品 | 23.6 | 20.6 | 19.7 | 99 | 13 | 300,000 | ||
2471 | エスプール | 人材派遣・請負 | 23.1 | 21.1 | 18.8 | 30 | 80 | 102,600 | ||
3223 | エスエルディー | レストラン | 16.2 | 21.5 | 18.2 | 29 | 55 | 216,200 | ||
6266 | タツモ | FPD製造装置 | 24.0 | 24.0 | 16.8 | 41 | 107 | 117,600 | ||
8890 | レーサム | 投資ファンド向けビル・施設販売 | 54.4 | 34.2 | 15.7 | 599 | 415 | 126,200 | ||
4819 | デジタルガレージ | ネットインフラ構築 | 20.7 | 18.5 | 15.0 | 823 | 400 | 171,200 |
- ※各種データからSBI証券作成 株価データは6月8日終値ベース
表1の11銘柄の中から、最低投資金額が20万円以下で買えて、株価指標面から見て極端な割高感のない5銘柄の注目ポイントをご紹介いたしましょう。
銘柄コード | 2362 | 銘柄名 | |
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ポイント |
「建設工事数は今後増加していくのに対し、技術者数は減少していく」 今、建設業界は人材不足により窮地に立たされています。そんな中、夢真ホールディングスは、上場企業で唯一「建設」に特化した人材派遣会社であり、在籍している技術者数は2,000人以上。さらにその内、7割が20代という若さで、元気と将来性にあふれています。まさに今時代が求めている会社と言えそうです。 |
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図表:夢真ホールディングス |
銘柄コード | 6838 | 銘柄名 | |
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ポイント | 傘下に携帯電話など無線機器や計測器製造・販売を行う多摩川電子を保有している持ち株会社です。太陽光発電と地熱バイナリー発電の2つの再生エネルギー事業を積極的に展開しています。太陽光発電は下関など7ヶ所が既に稼動して売電中で、長崎市に2ヶ所建設中です。地熱バイナリー発電は、大分県別府市に建設していて、今夏から売電を開始する予定です。再生エネルギーを導入からサポートまでをトータルに行う「開発」の多摩川エナジーと、安定的な「運用」を行うGPエナジーの2社で業務分担を行っています。 | ||
図表:多摩川ホールディングス |
銘柄コード | 2471 | 銘柄名 | |
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ポイント | 主力事業は、(1)販売支援業務やコールセンター業務などを中心とした人材アウトソーシングサービス、(2)ネット通販商品の発送代行などを行うロジスティクスアウトソーシングサービス、(3)農業を活用して企業の障がい者雇用を支援する、障がい者雇用支援サービスの3つです。また、4本目の柱として、全国のすべての世帯(事業所)への設置を政府が決定したスマートメーター関連業務が急拡大しています。 東京電力からスマートメーターの設置業務を約24億円で受注して、5月に株価が急騰しました。 | ||
図表:エスプール |
銘柄コード | 8890 | 銘柄名 | |
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ポイント | 商業用地・オフィスビル・マンションなど様々なテナント付き建物&土地を購入し、投資家のニーズに応じた投資運用商品として証券化し、販売を行っています。富裕層向けに販売していて、地価の下げ止まりと、低金利、相続税の増税など大きなフォローの風は吹いており、足元の業績は絶好調です。既存顧客である富裕層の不動産投資拡大により、今期も売上高・利益とも大きな成長が期待出来そうです。 | ||
図表:レーサム |
銘柄コード | 4819 | 銘柄名 | |
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ポイント | 有望なスタートアップ企業への投資と事業育成、および新規メディアの創出を目的とした「インキュベーションセグメント」、消費者一人ひとりに寄り添う広告プロモーション技術やソリューションを手がける「マーケティングセグメント」、インターネットビジネスの収益化に欠かせない決済ソリューションを提供する「ペイメントセグメント」が3本柱です。日本ではカカクコム、米国ではツイッターなどに出資しており、現時点で大きな含み益を保有しています。 | ||
図表:デジタルガレージ |
- ※株価日足チャートは、2015/6/9時点のものです。
前回の、「20万円以下で買える高成長マザーズ銘柄は?」の現時点の投資パフォーマンスは?
前回の、「20万円以下で買える高成長マザーズ銘柄は?」の現時点の投資パフォーマンスをチェックしてみましょう。
前回ピックアップした5銘柄と東証マザーズ指数のレポート掲載日(5月29日)終値を100として、6月9日までの推移を表したものが、図5です。
終値ベースでの絶対収益で、3勝2敗となっています。特にディー・エル・イー(3686)が、6月8日引け後に発表した、「東京ガールズコレクション」の商標権取得、子会社設立を評価して、翌9日にストップ高となり、高パフォーマンスとなっています。
逆にAiming(3911)は、掲載直後に高値をつけましたが、利食い売りに押され大きく反落してしまいました。
図5:前回ピックアップした東証マザーズ上場の5銘柄と東証マザーズ指数のレポート掲載後の株価推移
- ※株価日足チャートは2015年5月25日時点。
- ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
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