昨年12月頃から、フィンテック関連銘柄が株式市場をにぎわせています。今回は「プラットフォーム」を軸に、銘柄を選別し、『福の神特選「まだ買える夢のフィンテック関連銘柄」はコレだ!?』としてご紹介いたします。
フィンテックは、ファイナンス(Finance)とテクノロジー(Technology)を組み合わせた造語です。金融とテクノロジー(技術)が融合したものと言えば、ネット証券やネット銀行、また電子マネーである「Suica」「nanaco」などが既にあります。
図1は、金融とITの融合のイメージです。今後さらに、様々な新しいサービスがフィンテックによって、生まれそうです。
例えば、融資においては、【クラウドファンディング(Crowd Funding)】・・・ネットで不特定多数から資金を集めるサービスです。また、資産管理については、【個人向け金融サービス(Personal Finance)】・・・資産管理などのサービスをネットで提供します。決済については、【仮想通貨(Virtual Money)】・・・オンラインサービスで経済活動を行うことができる貨幣価値のことです。「ビットコイン」が最も有名な仮想通貨でしょう。
今回、藤本がフィンテックの中で最も注目したのが、「ビットコイン」を構成するための技術である「ブロックチェーン」です。
ブロックチェーン技術は、P2P方式によるデータ処理の基盤技術のことです。複数のコンピュータが分散して合意形成して暗 号署名しながらブロック単位で複数データを処理することで改ざん不可能なセキュリティを実現できると期待されています。安価なコンピュータで稼働しながらも 非常に高い可用性を実現できるといった特徴を持っています。
たとえば、通常のデータベースではキャパシティを超えると機能が停止してしまうのに対し、ブロックチェーンでは自動的に遅延して処理されるため、サービスへの悪影響が抑えられるのです。フィンテック分野での注目技術の一つであり、決済システムとして活用されるだけでなく、ユーザー認証や権利の管理、権利の移転記録などの基盤技術としても期待が高まっているようです。
金融の世界では、システム障害によってユーザーに不利益を与えることは出来ないため、システムの多重化を行い、処理能力についても、実際の最大処理数の数倍もの容量のシステム構築が必要となります。また、情報改ざん対策などについても、多額の費用を掛けています。このことにより、非常にコスト高のシステムとなってしまっています。
しかし、このブロックチェーン技術を活用すれば、今までとは比較にならないくらいの低コストで、「落ちなく・安全なシステム」を構築できる可能性があるのです。
インターネットが世の中に最初に出たときには、専用回線でのデータのやり取りでなく、インターネット・プロトコル技術を利用してコンピュータネットワーク間の相互接続を行うことへの不安があったと思います。インターネットの発展が、世界を大きく変えたと言えるのですが、このブロックチェーンは、「第二のインターネット革命」とも言える技術になりそうです。
図1:フィンテックとは? 金融とITの融合
- ※各種資料よりSBI証券が作成
図2:ブロックチェーンのイメージ
- ※各種資料よりSBI証券が作成
昨年の12月頃からフィンテック関連銘柄が人気化しています。その中で、藤本が考える夢のあるフィンテック関連銘柄とは、ブロックチェーン技術を使ったプラットフォームを提供できる企業です。
ブロックチェーン技術を自社のサービスに活用すれば、システム費用を大幅に削減することは可能です。しかし、売上高の増加には直接的にはつながりません。もちろんコスト削減によって、価格競争力が増せば売上高が増加する可能性はあります。しかし、間接的なものですし、利益率の極端な向上にはつながりません。したがって、フィンテック関連銘柄として、株式市場で人気化して株価が高騰したとしても、一過性のものとなる可能性が高いと思われます。
ところが、ブロックチェーン技術を使って、自社サービスへの活用だけでなく、他社でも使える汎用的なサービスのプラットフォーム化が出来れば、そのサービスが広く使われ、大きな売上高を生み出す可能性があります。また、当初の開発コストは掛かりますが、売上高が損益分岐点を越えれば、売上の大部分が利益となり、利益率が大きく向上する可能性があるのです。また、日本だけでなく世界で使われるサービスとなる可能性があるのです。
ブロックチェーン技術を使った、汎用的なサービスのプラットフォーム化を行っている企業には、売上高の増加・利益率の上昇・世界展開などの大きな夢があることにもなります。
株価=EPS(1株あたり利益)×PER(株価収益率)
で表せますが、EPSは現実、PERは夢と考えることが出来ます。
ブロックチェーン技術を自社サービスに活用する企業は、EPS(現実)を増やすことができますが、PER(夢)を大きくすることは難しそうです。また、EPS(現実)の増加額も、最大値は現在のシステム費用なので限りがあることになります。しかし、プラットフォーム化して、世界中に販売した場合、PER(夢)が大きく膨らむことになるのです。
それでは、具体的にブロックチェーン技術を使って、汎用的なサービスをプラットフォーム化できそうな企業を探してみましょう。
現在日本では、IT(情報技術)ベンチャーのテックビューロ(大阪市)が、ブロックチェーン基板プラットフォーム「mijin」を持っています。昨年12月以降、このテックビューロ(大阪市)と業務提携した上場企業の株価が急騰しています。その中でも、ブロックチェーン基板プラットフォーム「mijin」を使って、汎用的なサービスのプラットフォームの提供を予定している企業を、『福の神特選 「まだ買える夢のフィンテック関連銘柄」はコレだ!?』としてご紹介いたしましょう。
ただし、どの銘柄も業務提携発表後、急騰しており株価変動性(ボラティリティ)が極端に高くなっています。信用取引などレバレッジの高い取引ではなく、現物取引で、時間・銘柄を分散させながらの取引がオススメです。
表1 IT(情報技術)ベンチャーのテックビューロ(大阪市)と業務提携を発表した上場企業(発表順)
NO. |
コード |
銘柄名 |
提携内容 |
発表日 |
---|---|---|---|---|
1 |
3853 |
インフォテリア |
インフォテリア主力製品の「ASTERIA」(異なるコンピューターシステムのデータをプログラミングなしで連携できるソフトウェア)と「mijin」を組み合わせるための専用接続アダプタを開発・販売 |
2015/12/4 |
2 |
3778 |
さくらインターネット |
「さくらのクラウド」上にて、プライベート・ブロックチェーンのクラウド化技術「mijinクラウドチェーン」の実証実験環境「mijinクラウドチェーンβ」を、2016年1月より無料で提供。7月より有料化。 |
2015/12/16 |
3 |
3917 |
アイリッジ |
「mijin」を使ったフィンテック関連スマートフォン用アプリの共同開発 |
2015/12/17 |
4 |
3690 |
ロックオン |
「mijin」を応用したECのゼロダウンタイム受注エンジン開発 |
2015/12/18 |
5 |
3808 |
オウケイウェイヴ |
「mijin」でオウケイウェイヴのシステムでの知財販売決済やユーザー認証、サポートキューの実証実験と共同開発 |
2016/1/4 |
- ※チャートは、すべて当社WEBサイトからSBI証券が作成
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