9月21日(水)には、注目であった日米の経済政策の発表がありました。日銀は「長短金利操作付き量的・質的緩和」という「新たな枠組み」の導入を決定しています。米連邦準備制度理事会(FRB)は追加利上げを見送りましたが、年内実施に意欲を示しています。これを受けて、NY株高、円高の動きとなっています。
今回注目したのは、東京株式市場の個別銘柄の需給に大きな影響を与える日銀のETF の銘柄別の買入限度について の見直しです。この見直しによって、年末相場で実質的に日銀の買いが期待できる銘柄をご紹介いたします。
日本銀行のETF(上場投信)の買いが、株式市場の大きな下支え要因となっています。7月末の日銀金融政策決定会合で、買入限度額を年間6兆円まで増額したからです。しかし、日経平均株価の採用銘柄を中心に、実質的な大株主として日銀が登場する銘柄が多くなることになり弊害も生じていたようです。今回の日銀金融政策決定会合で、銘柄別の買入限度について の見直しを行っています。10月から実施されるようです。
(見直し前)
・ 銘柄別の買入限度は、3 指数(TOPIX、日経 225、JPX 日経 400)に連動するETF を対象に、銘柄毎の時価総額に概ね比例するように設定。
(見直し後)
・ 銘柄別の買入限度は、日本銀行による買入れが以下のとおり行われるように設定。
(1) 年間買入額 5.7 兆円のうち、3 兆円については、従来どおり、3 指数に連動する ETF を対象に、銘柄毎の時価総額に概ね比例するように買入れる。
(2) 残りの 2.7 兆円については、TOPIX に連動する ETF を対象に、銘柄毎の時価総額に概ね比例するように買入れる。
図1:(参考)見直し後の年間買入額のイメージ
- ※出典:日本銀行WEBサイトより作成
7月28日・29日の日銀金融政策決定会合でETFの買入限度額の増額が決定されましたが、図2の日経平均株価・東証株価指数(TOPIX)の日足比較チャートをチェックすると、その少し前から日経平均株価が東証株価指数をアウトパフォームしています。ETFの銘柄毎の時価総額に概ね比例して購入すると、日経平均株価に連動するETFが最も多く買われるからでしょう。ETFの買入限度額増額を想定していた投資家がいた可能性がありそうです。実際に発表後もしばらく、日経平均株価が東証株価指数をアウトパフォームしていました。しかし、直近は東証株価指数が日経平均株価をアウトパフォームしています。今回の、銘柄毎の買入額の見直しを想定していた投資家がいた可能性があります。そして実際に見直しが行われたことによって、さらに東証株価指数が日経平均株価をアウトパフォームする可能性が高そうです。
図2:日経平均株価・東証株価指数(TOPIX) 日足比較チャート
- ※当社WEBサイトより作成
今回の銘柄別の買入限度について の見直しによって、日経平均株価に連動するETFの買入額が減少し、TOPIXに連動するETFの買入額が増加することになります。個別銘柄については、東証株価指数の構成比率が、日経平均株価の構成比率を上回る銘柄が、今後の日銀によるETF買入の恩恵を大きく受けることになります。表1が、その差分のベスト10です。
今回は、この10銘柄を年末相場で、日本銀行が実質的に買う銘柄として、ご紹介いたしましょう。
表1:年末相場で、日本銀行が実質的に買う銘柄はコレだ!?
No. | 取引 | チャート | コード | 銘柄名 | 東証株価指数 構成比率 |
日経平均株価 構成比率 |
差分 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 7203 | トヨタ自動車 | 3.93 | 1.41 | 2.52 | ||
2 | 8306 | 三菱UFJフィナンシャル・グループ | 2.17 | 0.13 | 2.05 | ||
3 | 9432 | 日本電信電話 | 1.80 | 0.21 | 1.58 | ||
4 | 8316 | 三井住友フィナンシャルグループ | 1.44 | 0.08 | 1.36 | ||
5 | 8411 | みずほフィナンシャルグループ | 1.31 | 0.04 | 1.26 | ||
6 | 9437 | NTTドコモ | 0.96 | 0.06 | 0.90 | ||
7 | 7974 | 任天堂 | 0.83 | 0.00 | 0.83 | ||
8 | 6861 | キーエンス | 0.83 | 0.00 | 0.83 | ||
9 | 6981 | 村田製作所 | 0.71 | 0.00 | 0.71 | ||
10 | 9020 | 東日本旅客鉄道 | 0.84 | 0.21 | 0.63 |
- ※2016/09/21終値基準で作成
- ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
- ※信用取引において必要となるその他諸費用の詳細は信用取引のサービス概要をご確認ください。
免責事項・注意事項
- 本資料は投資判断の参考となる情報提供のみを目的として作成されたもので、個々の投資家の特定の投資目的、または要望を考慮しているものではありません。投資に関する最終決定は投資家ご自身の判断と責任でなされるようお願いします。万一、本資料に基づいてお客様が損害を被ったとしても当社及び情報発信元は一切その責任を負うものではありません。本資料は著作権によって保護されており、無断で転用、複製又は販売等を行うことは固く禁じます。
重要な開示事項(利益相反関係等)について