米国株の当社顧客保有人数上位50で、1/29(火)に10-12月期決算を発表したスリーエム(MMM)、ファイザー(PFE)、ベライゾン コミュニケーションズ(VZ)、アップル(AAPL)、アドバンスト マイクロ デバイシズ(AMD)の決算速報です。
アップルは当面の悪材料出尽くしとの反応でしょうか。スリーエム、ファイザーは無難な決算、ベライゾンは減損が失望されました。AMDはCPU市場でのシェア拡大期待が持続しているようです。
銘柄名(コード) 決算発表日、株価反応日 株価、前日比、今期予想EPS、アナリスト目標株価 |
|
直近実績 |
前年同期比 |
予想乖離 |
前四半期の 前年同期比 |
スリーエム(MMM) 1/29、1/29 |
売上(億ドル) |
79.5 |
-1% |
1% |
0% |
196.95ドル、+1.9%、10.72ドル、202.44ドル |
EPS(ドル) |
2.31 |
10% |
1% |
11% |
【オーガニック売上成長率は7-9月期から改善】
- 現地通貨ベースのオーガニック成長率は前年同期比3.0%増で7-9月期の同1.3%増から改善しました。為替による売上の減少が2.3%ポイント、事業売却による影響が1.3%ポイントあり、報告ベースの売上は前年同期比0.6%減、営業利益も同0.3%減(4-6月期は同0.4%増)にとどまりました。
- 部門別売上の前年同期比伸び率は、インダストリアル+2.5%(7-9月期は+2.2%)、セーフティ&グラフィックス+3.3%(同+2.2%)、ヘルスケア+4.8%(同-1.1%)、エレクトロニクス&エネルギー+4.1%(同+2.3%)、コンシューマー+1.9%(同-2.0%)でした。地域別には(為替の影響を除くベース)、米国+4.4%(7-9月期は+0.5%)、アジア太平洋+2.0%(同+3.2%)、欧州・中東・アフリカ+1.3%(同-0.9%)、南米・カナダ+5.0%(同+2.1%)です。
- 19年の業績ガイダンスはマクロ経済環境の悪化を考慮して、昨年11月のインベスターデーで公表した数字に対してオーガニック売上成長率は2〜4%増から1〜4%増へ、EPSは10.60〜11.05ドルから10.45〜10.90ドルへ引き下げています。オーガニック売上成長については、7-9月期は米中間の関税が決まる前で様子見が強く、関税が決まった後の10-12月期には止まっていたプロジェクトが動き出したと考えられます。ただ、10-12月期のマクロ環境の悪化は想定以上で、19年のガイダンスが引き下げられたと整理できるでしょう。
|
ファイザー(PFE) 1/29、1/29 |
売上(億ドル) |
140 |
2% |
1% |
1% |
40.77ドル、+3.1%、3.03ドル、45.31ドル |
EPS(ドル) |
0.64 |
3% |
1% |
16% |
【19年のガイダンスは市場予想を大きく下回った】
- 10-12月期のオーガニック成長率(事業買収や売却および為替の影響を除いた成長率)は前年同期比5%増と4-6月期の2%増から大きく改善しました。「イノベーティブ・ヘルス分野」が前年同期比10%伸びて、「エッセンシャル・ヘルス分野」の同3%減をカバーしています。乳がん治療薬の「イブランス」、血栓塞栓症治療薬「エリキュース」、関節リウマチ治療薬の「ゼルヤンツ」などが売上を牽引しています。
- 19年12月期の業績ガイダンスは、520〜540億ドル(前年比3%減〜1%増)、EPSは2.82〜2.92ドル(前年比8%減〜5%減)で、それぞれ市場予想の548億ドル、3.04ドルを大きく下回りました。ガイダンス中央値は、一時的要因を除くと、18年12月期との比較で横ばい相当としています。
- 業績ガイダンスは市場予想を下回ったものの、年初来株価が調整していたこと、また、米国の処方箋枚数の低調が懸念されていた「イブランス」は欧州、日本の売上が好調であったことから、1/29(火)株価はプラスの反応となったようです。
|
ベライゾン コミュニケーションズ(VZ) 1/29、1/29 |
売上(億ドル) |
343 |
1% |
0% |
3% |
53.28ドル、-3.3%、4.71ドル、59.46ドル |
EPS(ドル) |
1.12 |
30% |
3% |
24% |
【ワイヤレスは堅調ながら、ワイヤラインが不振、メディア事業は減損損失を計上】
- 10-12月期の調整後EPS(Non-GAAPのEPS)は上表の通り市場予想を上回りましたが、GAAPベースのEPSは0.47ドルで市場予想の1.02ドルを大きく下回りました。買収した「Oath」(旧ヤフー事業)ののれん代の償却が1.09ドル分計上され、これが嫌気されたと見られます。
- 主力のワイヤレス部門の売上は前年同期比3%増、部門EBITDA(利払い、償却、税金前利益)は同10%増と堅調でした。後払いリテールの契約純増は122万件(うち65万件が携帯電話契約)と順調です。一方、ワイヤライン部門は、売上が前年同期比3%減、部門EBITDAが同18%減と不振です。「Fios」事業は、ブロードバンド接続が5.4万件増の一方、ビデオは4.6万件減でした。「Oath」の売上は、検索やデスクトップからの収入減で前年同期比6%減少しました。
- 19年のガイダンスは、売上が前年比1桁台前半の伸び、EPSは4.71ドルで市場予想の4.73ドルを下回りました。
|
アップル(AAPL) 1/29、1/29(時間外) |
売上(億ドル) |
843 |
-5% |
0% |
20% |
163.48ドル、+5.7%、11.98ドル、176.39ドル |
EPS(ドル) |
4.18 |
7% |
0% |
41% |
【iPhone売上、中華圏売上が急減速】
- 10-12月期決算は1/2(水)のプロフィットウォーニングで引き下げられた市場予想に沿う結果でした。iPhoneの販売不振で売上が前年同期比5%減、営業利益が同11%減でした。減税による恩恵と発行済株式が前年同期比7%減少していることにより、EPSは同7%の増加となっています。
- 品目別売上は、iPhoneが前年同期比15%減(7-9月期は同29%増)、iPadが同17%増(同15%減)、Macが同9%増(同3%増)、サービスが同19%増(同17%増)、その他製品(「Apple Watch」「AirPods」「Beats」「HomePod」など)が同33%増(同31%増)でした。地域別には中華圏の売上が前年同期比27%減(7-9月期は同16%増)と急減したほか、欧州、日本もそれぞれ同3%減、同5%減と減少しました。
- 今四半期より、製品の販売台数の開示はなくなりました。一方、製品とサービスの売上減価が新たに開示され、サービス事業の粗利率は62.8%で、全体の粗利額に占める比率は21%と判明しました。1-3月期の売上ガイダンスは550〜590億ドルで、中央値は市場予想の590億ドルを3%下回りました。ただ、悪材料出尽くしと捉えられたと見られ、株価は上昇で反応しています。
|
アドバンスト マイクロ デバイシズ(AMD) 1/29、1/29(時間外) |
売上(億ドル) |
14.2 |
6% |
-2% |
1% |
21.00ドル、+9.1%、0.62ドル、21.93ドル |
EPS(ドル) |
0.08 |
8倍 |
-2% |
30% |
【19年12月の売上見通しが好感された】
- 1-3月期の売上ガイダンス12.0〜13.0億ドルは前年同期比27%減〜21%減相当で市場予想の14.7億ドルも大きく下回ったものの、19年12月期の売上ガイダンスを一桁台後半の増加として好感されているようです。1-3月期の売上モメンタムが急低下するのは、仮想通貨のマイニング向けの需要減に伴うGPUの在庫調整が継続しているためです。
- 10-12月期の部門別売上は、コンピューティング&グラフィックス部門がデスクトップCPUの「Ryzen」が牽引して前年同期比9%増(7-9月期は同12%増)、エンタープライズ、エンベッディッド&セミカスタム部門は同横ばい(7-9月期は同37%減)でした。後者部門のモメンタム改善には、サーバー向けプロセッサ「EPYC」の出荷が7-9月期比2倍以上に急増していることが貢献しています。
- デスクトップPC市場、サーバー市場とも対インテルでシェアを拡大するとの期待が高まっています。
|
※Bloombergデータ、各種報道をもとにSBI証券が作成
アメリカ NOW!今週の5銘柄へ戻る