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決算速報(現地7/29引け後発表)
●決算発表後の時間外取引(日本時間9:00時点):3,331.97ドル(-7.44%)
●売上高:1,130.8億ドル(予想1,150.6億ドル)×市場予想を下回った
●EPS:15.12ドル(予想12.28ドル)〇市場予想を上回った
●「AWS」純売上高:148.1億ドル(予想141.8億ドル)〇市場予想を上回った
●オンライン販売の純売上高:531.6億ドル(予想567.1億ドル)×市場予想を下回った
●7-9月期売上高見通し:1,060億〜1,120億ドル(予想1,187.0億ドル)×市場予想を下回った
●7-9月期営業利益見通し:25億〜60億ドル(予想81.1億ドル)×市場予想を下回った
4-6月期の売上高や7-9月期の売上高見通しが市場予想を下回ったことや、経営陣から慎重なコメントが出たことで株価は時間外取引で大幅安となりました。
引け後の時間外取引のチャート
決算のポイント
●4-6月期の売上高が市場予想を下回り、7-9月期の売上高見通しも市場予想を下回りました。
●売上高が市場予想を下回ったことで、新型コロナのパンデミックにより加速したオンライン販売事業の成長ペースが減速していることが示唆されました。
●経営陣からもしばらく成長ペースが減速する可能性があるとのコメントが出ました。
●AWSや広告収入を中心とする「その他」事業などは堅調でした。
経営陣の主なコメント
●前年同期比での比較は、「今後数四半期は」これまでよりも減速するだろう。
●前年同期比での比較だけでなく、(新型コロナのパンデミックで急速に成長した)前年も含めた2年間の平均成長率でみてほしい。
●昨年新型コロナのパンデミック下で需要が高まりすぎて販売する商品を制限したことがあったが、そういったことが再び起きないように対応能力を強化している。
●アンディ・ジャシー氏が新たにCEOになったことで、彼の「前向きで楽観的かつ先を見据えたユニークな姿勢」も同時にもたらされるだろうが、「顧客の体験に対して高い基準を設けることや、創造性、失敗を恐れない気持ち」など従来から社内や社外で知られていた文化は保たれる。
決算を受けたマーケットの反応
決算発表直後から時間外取引で株価は急落し、関連銘柄の下げも誘発しながら、その後も徐々に下げ幅を拡大する展開となりました。
一部マーケット関係者からは「大型ハイテク銘柄は市場予想をかろうじて上回ってもネガティブとされるのに、下回った場合はどうなることか」といった声も聞かれましたが、マーケットはAWS事業が好調だったことなどはあまり材料視せずに、4-6月期の売上高に加えて7-9月期の売上高見通しまでもが市場予想を下回ったことを嫌気しているようです。
また、アマゾンがeコマース業界などで大きな市場シェアを持っていることなどから、そのアマゾンの業績が減速していることで「新型コロナによって押し上げられた需要がいよいよ勢いを落としてきたのではないか」という懸念が広がり、幅広い銘柄に売りが出ています。それほど長く続くことはないかもしれませんが、今回のアマゾンの失望的な決算発表は同社だけではなくマーケット全体の重しとなるかもしれません。
Bloombergがまとめたアナリストの目標株価平均:4277.34ドル(7/29時点)