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決算速報(現地1/26引け後発表)
●決算発表後の時間外取引(日本時間10:00時点):929.90ドル(-0.80%)
●売上高:177.2億ドル(予想166.4億ドル)〇市場予想を上回った
●調整後EPS:2.54ドル(予想2.36ドル)〇市場予想を上回った
●通期納入台数目標:「今後複数年、平均で前年比50%増のペースで納入台数が増加する」という予想が据え置かれたものの、サプライチェーンの問題についても言及がありました。
サプライチェーンの問題が今年も生産に影響を及ぼすという見通しやサプライズのある発表がなかったことなどから、株価は時間外取引で下落しました。
引け後の時間外取引のチャート
決算のポイント
●10-12月期の売上高と調整後EPSが市場予想を上回りました。
●「今後複数年、平均で前年比50%増のペースで納入台数が増加する」という予想が据え置かれたものの、過去数四半期の間、サプライチェーンの問題を受けて自社の工場は生産能力を下回るペースで生産を行っており、2022年にかけてもこの状況は続くとしています。
●ベルリンとテキサスの新工場では生産が開始され、ベルリンは「2170セル」を用いて当初生産を行っているものの、テキサスは「4680セル」を用いて生産を行っているとしました。
●生産台数を最大化するため、新製品の投入は2022年に行わず、「サイバートラック」の生産も来年になるとしました。
経営陣の主なコメント
●ソフトウェア関連の利益が今後、利益率を押し上げるだろう。
●米国で60,000台近くの車がベータ版のFSDを利用している。
●自社開発の半導体「Dojo」は開発が成功した場合はコストを押し下げる見込みだが、FSDの完成に必須ではない。
●FSDについては今後のアップデートの予定を考えると、年内に完成しなかった場合は驚きだ。
●FSDの重要性はまだあまり理解されていないようだが、歴史上もっとも重要なソフトウェアの1つとなるかもしれない。
●テキサスで生産している「モデルY」は「4680セル」を利用している。
●1-3月期に「4680セル」を用いた「モデルY」が顧客に納車されるだろう。
●新工場の建設場所は現在検討中で、今年中に新しい工場の場所を発表できるかもしれない。
●新しい車の生産を始めると、年間の生産台数が減ってしまうため、新しい車の生産を開始することは合理的ではない。
●去年もそうした理由で新しい車の生産は行わなかったが、今年も新しい車の生産は開始しない。
●生産に向けたツールの準備や設計の見直しなど、やれることはやっておく。
●新製品に向けた準備という意味では、ロボットの「オプティマス(Optimus)」の開発が最も重要な今年の取り組みになるだろう。
●将来的に「オプティマス」はEV(電気自動車)を超えるビジネスになる可能性がある。
●現在「25,000ドルのEV」については取り組んでいない。
●保険については米国で提供範囲を拡大した後に、年末には欧州で提供を開始できるかもしれない。
●新しい半導体工場の建設状況は凄まじく、半導体不足問題については今年改善されるだろう。
決算を受けたマーケットの反応
決算発表直後は一時6%を超える下落となりましたが、最終的には1%弱の下落となり時間外取引を終えました。
当初は2022年もサプライチェーンの問題で生産に影響が出るといったコメントをマーケットが嫌気し時間外取引で大幅安となりましたが、カンファレンスコールが始まる頃にはプラス圏に戻りました。その後カンファレンスコールが始まると3%を超える上昇となる場面もありましたが、「製品ロードマップの説明」が「今年は新しい車を投入しない」という発表だったこともあり、サプライズ感に欠けるなか再度売りが優勢となりました。
もっとも、前回の決算発表でも時間外取引はさえない動きとなったものの、その後大きく上昇していったことから、サプライズ感はなかったものの業績は好調であるとマーケットが認識した場合、株価がまた上昇トレンドに入る可能性もあります。
Bloombergがまとめたアナリストの目標株価平均:953.61ドル(1/26時点)