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ゴールドとインフレ
ゴールドとインフレ
2021/4/26
ゴールドのパフォーマンスは劣後してきた
ゴールドの年初来パフォーマンスは−5.8%(4月22日現在)です。
ビットコインにお株を奪われた
これに対してビットコインの年初来パフォーマンスは+87.8%でした。
ビットコインは新しいコインの供給が数学的にコントロールされている関係でインフレ・ヘッジのツールになるのではないか? と多くの投資家から期待されています。
この新しい投資対象の登場で伝統的にインフレ・ヘッジの役割を果たしてきたゴールドの影はすっかり薄くなってしまいました。
しかしここへきて仮想通貨は材料出尽くし感から利喰われ始めています。
■仮想通貨投機ブームが一服すればゴールドが再注目される
もし仮想通貨がその時々の投機熱に振り回されるような値動きをするのであればインフレ・ヘッジの目的でそれを買った投資家にとっては迷惑な話です。(こんなことなら……目新しいものに飛びつかず、経験則的にインフレ・ヘッジの役割をちゃんと果たしてきたゴールドに乗り換えよう)とゴールドを見直す投資家も居るはずです。
米国経済は強い
足下の米国経済に目を転じると新型コロナワクチンの接種が捗り、それに呼応するカタチで消費者の財布のひもも緩んでいます。
このところ米国のマネーサプライは新型コロナに伴う経済の機能不全を回避すべく意図的に増やされていました。
そのことはひとたび景気が力強く回復し始めたら経済政策もそれに合わせて軌道修正しなければインフレを招いてしまうリスクがあることを示唆していると思います。
現状では未だ失業率は6%もあり、サービス業を中心に経済の「たるみ」が見られます。したがって直ちに手のつけられないインフレが始まると考えるのは正しくないと思います。ただ今後の舵取りはとても難しくなることだけは確かです。
確率としては高くないけれど、インフレが起こるリスクに対して準備する意味でゴールドをポートフォリオに少し組み込むのは時宜を得た戦略だと思います。
著者
広瀬 隆雄(ひろせたかお)
コンテクスチュアル・インベストメンツLLC マネージング・ディレクター
グローバル投資に精通している米国の投資顧問会社コンテクスチュアル・インベストメンツLLCでマネージング・ディレクターとして活躍中。
1982年 慶応大学法学部政治学科卒業。 三洋証券、SGウォーバーグ証券(現UBS証券)を経て、2003年からハンブレクト&クィスト証券(現JPモルガン証券)に在籍。