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連邦公開市場委員会の予想
連邦公開市場委員会の予想
2024/1/30
連邦公開市場委員会
1月31日(水)は2日にわたって開催される米国の政策金利を決定する会合、連邦公開市場委員会(FOMC)が閉会する日です。声明文が発表された後、ジェローム・パウエル議長の記者会見が予定されています。
大方のコンセンサスでは今回のFOMCでは現行の5.25〜5.50%の政策金利が維持されると見られています。アメリカの政策金利はフェデラルファンズ・レートでFFレートと略されることもあります。
過去のFFレートの推移は下のチャートのようでした。
現在の政策金利の水準は収まりがいい
現在のFFレート(5.25%)は、リーマンショック前の2006年頃の好景気、さらにその前の1995年〜2000年にかけての好景気と大体同じ水準です。それらの時期の消費者物価指数もおおまかに言えば現在の水準と同じくらいです。
すると現在の実質政策金利(約2%)は、過去の好景気の時期と大差ないことがわかります。
1995年〜2000年にかけてはインターネットのブームがあり、またアメリカ経済がめずらしくソフトランディングした事例でもありました。その時の政策金利はずっと横這いでした。2006年の好景気のときも政策金利は暫く横這いでした。
それらのことを考えると、いまFRBが慌てて利下げしないといけない理由は乏しいです。
従って今週のFOMC記者会見では3月利下げの言質が取れないシナリオに備える必要があります。
既に債券市場は2024年前半にどんどん利下げがあるという見方を後退させ、もっと緩やかな利下げペースを織り込み始めています。
株式市場は?
これは株式にとって悪いシナリオなのでしょうか?
私はそうは思いません。インターネット・ブームのときも株式市場はFRBからの援護射撃をあまり必要とせず、株価は堅調に推移しました。それはネットの普及で米国の労働生産性が普通以上に改善、GDP成長も高水準が維持できたことに負う部分が大きかったからです。
いま我々はAIによる生産性革命の入口に立っていると思います。すると景気がややオーバードライブ気味になっても景気過熱から来る賃金プレッシャーを心配する必要は無くなります。つまり連邦準備制度理事会(FRB)の仕事はラクになるということです。
言い直せば、FRBの方を向いて相場を張るのではなく、AI導入を積極的に行っているハイテク大手の動向に気を付けながら相場を張る必要があるということです。
著者
広瀬 隆雄(ひろせたかお)
コンテクスチュアル・インベストメンツLLC マネージング・ディレクター
グローバル投資に精通している米国の投資顧問会社コンテクスチュアル・インベストメンツLLCでマネージング・ディレクターとして活躍中。
1982年 慶応大学法学部政治学科卒業。 三洋証券、SGウォーバーグ証券(現UBS証券)を経て、2003年からハンブレクト&クィスト証券(現JPモルガン証券)に在籍。