今回は今週から本格的に発表が始まる、米国の7-9月期決算の注目ポイントと注目銘柄をご紹介いたします。
図表1:注目銘柄
銘柄 | 株価(10/10) | 52週高値 | 52週安値 |
---|---|---|---|
ゼネラル エレクトリック(GE) | 23.36ドル | 32.38ドル | 23.25ドル |
シュルンベルジェ(SLB) | 68.33ドル | 87.84ドル | 62.56ドル |
フィリップ モリス インターナショナル(PM) | 115.17ドル | 123.55ドル | 86.78ドル |
ウォルト ディズニー(DIS) | 99.58ドル | 116.10ドル | 90.32ドル |
アルファベット A(GOOGL) | 987.80ドル | 1008.61ドル | 743.59ドル |
- ※BloombergデータをもとにSBI証券が作成
米7-9月期決算の注目ポイントは? |
米国の7-9月期決算発表が近づいてきました。主要企業では、10/11(水)のブラックロック、デルタ航空、10/12(木)のJPモルガンチェース、シティグループから発表が本格化します。
米国株式市場では9/27(水)にトランプ政権の税制改革案が発表され、盛り込まれている法人税減税によって18年12月期の予想EPSがどの程度上方修正となるかに注目が集まっていますが、その発射台となる17年12月期決算も重要です。今回の四半期決算の注目ポイントとして、以下3つをあげることができます。
◯ポイント1・・・7-9月期の増益率は一時的に落ち込む見通し(図表2)
S&P500指数採用企業のEPSは、FACTSET社の集計(10/6時点)で、前年同期比2.8%増が予想されています。決算発表後の着地が事前予想を3%ポイント程度上回るのが通例であることを勘案しても同6%増程度と、4-6月期の同10.3%増から低下する見通しです。
鈍化の要因は、16年7-9月期の業績改善が著しかったために前年比較が厳しくなることに加え、ハリケーン被害による保険会社の保険金支払いなどの一時要因も含まれ、主にテクニカルなものと考えられます。17年10-12月期は前年同期比11.1%増、18年12月期は前年比11.4%増が予想されており、7-9月期の落ち込みは一時的と考えておいて良さそうです。
◯ポイント2・・・ドル安によって為替は米企業業績にプラスに貢献する見通し(図表3)
今年5月以降ユーロが対ドルで大幅に上昇したことから、ドル指数(ユーロ、円、ポンドなど主要通貨に対するドルの価値を指数化したもの)の前年同期比は7-9月期に2.5%安となって、米国企業の業績にプラスに貢献したとみられます。
また、ドル指数について、仮に足もとの水準が今後も続いた場合には、10-12月期は8.5%安と計算でき、為替が業績にプラスに貢献する傾向は年内一杯継続しそうです。このことは10-12月期に増益率の回復が見込まれている一つの要因と見られます。
◯ポイント3・・・業種別に伸びを牽引するとみられるのは情報技術、素材など、足を引っ張りそうなのは金融、一般消費財など(図表4)
業種別には、すべての業種のEPS増加率が4-6月期から7-9月期にかけて鈍化する見通しです。増益率が高いのは、情報技術や素材です。
一方、金融の業績悪化が目立っています。金融については、利益額が大きい大手銀行の7-9月期トレーディング収入が低調なことは判明していましたが、9/22(金)時点ではまだ1.2%の増益が見込まれていました。
しかし、その後、ハリケーン「ハービー」「イルマ」の被害による保険金の支払いが保険企業の業績に織り込まれて、前年比7.8%減へ大幅に下方修正されています。このため、金融の減益転落は保険セクターの一時要因が主因と言えます。
図表2:7-9月期の増益率は一時的な落ち込みが予想されている
- 注:S&P500指数採用企業のEPSの増加率の推移です。17年3Q(7-9月期)以降は予想です。
※FACTSET社レポート「Earnings Insight」(10/6付)をもとにSBI証券が作成
図表3:ドル安によって企業業績は押上げられる見通し
- 注:ドル指数の四半期平均値の前年同期比です。17年4Q(10-12月期)は、10/9(月)の水準が今後も継続した場合です。
※BloombergデータをもとにSBI証券が作成
図表4:増益を牽引するのは、情報技術、素材など、足を引っ張るのは金融、一般消費財など
- 注:S&P500指数採用企業の業種別EPS増加率です。
※BloombergデータをもとにSBI証券が作成
個別に注目できる銘柄は? |
米国市場の主要企業であるS&P100指数の採用企業について、4-6月期決算から7-9月期決算にかけて、売上とEPSの増加率が高まると予想されている企業を抽出しました(図表5)。
{[7-9月期の予想売上高増加率] - [4-6月期の実績売上高増加率]}、{[7-9月期の予想EPS増加率] - [4-6月期の実績EPS増加率]}を計算して、前者が1%以上、後者がプラスの企業をリストアップしています。
(1)で確認した通り、主要企業全体としては4-6月期から7-9月期に業績は減速となる予想のため、このような条件に合致する銘柄は13と比較的少数になりました。
この中から、予想PERの水準やアナリスト目標株価平均からの乖離率などを考慮の上、赤色でハイライトした5銘柄を注目銘柄としてご紹介いたします。
尚、目標株価平均からの乖離率がある程度大きい銘柄を選んでいます。S&P500指数が最高値を更新する中で相対的に割安感のある銘柄で、何らかの悪材料を抱えている銘柄群となっていますので、その点は注意ください。
図表5:4-6月期から7-9月期にかけて業績の伸び率が加速見込みの企業
銘柄(コード) |
売上高 |
売上高 |
EPS |
EPS |
売上高 |
EPS |
予想 |
目標株価 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
ダナハー(DHR) |
8.1 |
-22.0 |
9.5 |
-20.8 |
30.2 |
30.3 |
22.0 |
4.4 |
ゼネラル エレクトリック(GE) |
11.3 |
-11.8 |
55.7 |
-45.1 |
23.0 |
100.8 |
16.0 |
10.6 |
シュルンベルジェ(SLB) |
12.5 |
4.2 |
66.5 |
52.2 |
8.3 |
14.4 |
45.9 |
14.8 |
フィリップ モリス インターナショナル(PM) |
10.8 |
4.0 |
10.6 |
-0.9 |
6.8 |
11.5 |
23.1 |
13.3 |
ジョンソン & ジョンソン(JNJ) |
8.3 |
1.9 |
6.9 |
5.2 |
6.4 |
1.8 |
18.5 |
4.1 |
キャタピラー(CAT) |
15.9 |
9.6 |
43.4 |
36.7 |
6.3 |
6.7 |
24.3 |
0.8 |
アメリカン エキスプレス(AXP) |
7.0 |
0.9 |
18.9 |
-35.0 |
6.1 |
53.9 |
15.9 |
-3.3 |
ウォルト ディズニー(DIS) |
2.8 |
-0.3 |
11.1 |
-2.5 |
3.1 |
13.5 |
17.1 |
13.0 |
ファイザー(PFE) |
1.1 |
-1.9 |
5.3 |
4.7 |
3.0 |
0.6 |
14.1 |
5.4 |
ウォルグリーン ブーツ アライアンス(WBA) |
4.6 |
2.1 |
13.4 |
12.7 |
2.5 |
0.7 |
15.4 |
22.1 |
アラガン(AGN) |
10.8 |
8.8 |
22.6 |
20.0 |
2.1 |
2.6 |
12.9 |
26.6 |
アルファベット A(GOOGL) |
20.8 |
19.4 |
14.9 |
-28.4 |
1.5 |
43.3 |
25.5 |
11.0 |
アブビー(ABBV) |
9.0 |
8.0 |
13.7 |
12.7 |
1.0 |
1.0 |
16.3 |
2.2 |
- 注:母集団はS&P100指数採用企業です。
※BloombergデータをもとにSBI証券が作成
注目銘柄をご紹介 |
市場:NYSE |
|||||
---|---|---|---|---|---|
決算期 |
売上高(億ドル) |
(前年比) |
純利益(億ドル) |
(前年比) |
EPS(ドル) |
17.12予 |
1,260 |
5% |
132.9 |
44% |
1.53 |
18.12予 |
1,312 |
4% |
140.5 |
6% |
1.67 |
株価(10/9):23.43ドル |
予想PER(18.12期):14.0倍 |
||||
|
市場:NYSE |
|||||
---|---|---|---|---|---|
決算期 |
売上高(億ドル) |
(前年比) |
純利益(億ドル) |
(前年比) |
EPS(ドル) |
17.12予 |
305 |
10% |
21.2 |
174% |
1.50 |
18.12予 |
346 |
13% |
32.8 |
55% |
2.28 |
株価(10/9):68.33ドル |
予想PER(18.12期):30.0倍 |
||||
|
市場:NYSE |
|||||
---|---|---|---|---|---|
決算期 |
売上高(億ドル) |
(前年比) |
純利益(億ドル) |
(前年比) |
EPS(ドル) |
17.12予 |
287 |
7% |
75.2 |
9% |
4.84 |
18.12予 |
312 |
9% |
84.3 |
12% |
5.43 |
株価(10/9):113.37ドル |
予想PER(18.12期):20.9倍 |
||||
|
市場:NYSE |
|||||
---|---|---|---|---|---|
決算期 |
売上高(億ドル) |
(前年比) |
純利益(億ドル) |
(前年比) |
EPS(ドル) |
17.9予 |
558 |
0% |
91.63 |
-2% |
5.83 |
18.9予 |
592 |
6% |
97.42 |
6% |
6.46 |
株価(10/9):99.57ドル |
予想PER(18.12期):15.4倍 |
||||
|
市場:NASDAQ |
|||||
---|---|---|---|---|---|
決算期 |
売上高(億ドル) |
(前年比) |
純利益(億ドル) |
(前年比) |
EPS(ドル) |
17.12予 |
894 |
22% |
273 |
39% |
38.71 |
18.12予 |
1,058 |
18% |
342 |
25% |
46.62 |
株価(10/9):992.31ドル |
予想PER(18.12期):21.3倍 |
||||
|
- ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。