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貿易摩擦再燃で激変の「5G関連銘柄」!それでも注目できる銘柄は!?

2019/5/29
投資情報部 榮 聡

年初から有望な投資テーマとして注目された「5G(第5世代移動通信システム)関連銘柄」ですが、米中貿易摩擦の再燃を受けて大幅な調整となっているものが散見されます。一方、5Gは長期的な投資テーマと考えられるため、このような調整局面は投資のチャンスとなっている可能性もあるでしょう。検討してみましょう。

図表1:言及した主な「5G」関連銘柄

銘柄 株価(5/28) 52週高値 52週安値
ベライゾン コミュニケーションズ(VZ) 58.73ドル 61.58ドル 47.13ドル
AT&T(T) 31.93ドル 34.53ドル 26.80ドル
シスコ システムズ(CSCO) 53.93ドル 57.53ドル 40.25ドル
モトローラ ソリューションズ(MSI) 150.41ドル 153.59ドル 107.22ドル
中国鉄塔(00788) 1.81ドル 2.33ドル 0.99ドル
  • ※BloombergデータをもとにSBI証券が作成

15Gの普及見通し

年初から有望な投資テーマとして注目を集めた「5G(第5世代移動通信システム)関連」ですが、5月に入って米中貿易摩擦が再燃したことで様相が激変しています。

筆者は5G関連について18年11月28日掲載の「テクノロジー株の調整、「5G」関連銘柄を仕込むには良いタイミング!?」で取り上げましたが、今回は同レポートに掲載した銘柄のその後の動きをアップデートいたします。

その前に、5G市場の普及見通しに関して調査機関から予想が出ていますので、ご紹介いたします。会計事務所のデロイトが公表している18年12月付「5G: The new network arrives(5G:新しいネットワークの到来)」によると、

(1)5Gサービスの提供企業:2018年に5Gの試験を行った通信サービス企業は72社あり、2019年末までに5Gサービスを提供するのは25社、2020年に追加で26社がサービスを始めると予想する。

(2)5Gの端末:2019年中に20社が5G端末を発売して、年末までの出荷台数は百万台と予想する。5G端末の販売は2021年に離陸し、同年に販売台数は1億台に達すると予想する(ちなみに、18年のスマホ出荷台数は世界で14.2億台です)。

(3)5Gの接続シェア:移動通信接続における5Gのシェアは、2025年に15%と予想する。引き続き接続の中心は4Gで、2025年までシェアは拡大すると予想する(図表2)。
(注:デロイトのレポートではGSMアソーシエーションによる18年レポートの数字が使われていますが、ここでは19年レポートの数字をご紹介します)

これらの予想を眺めると5Gの普及はゆっくりと進み時間がかかるものだ、との印象を受けるのではないでしょうか。この予想は、5Gの普及が4Gと同様に進むとの前提で組み立てられているとのことです。

4Gのケースでは、2009年末から2010年はじめにかけてサービスが開始され、接続シェアが50%を超えたのが2019年だそうです。その後も接続数のシェアは上昇が続き2025年には59%に達すると予想されています。

同様の経路をたどるとすると、5Gの接続シェアは2021年頃から目立った上昇となり、2025年でもシェアは15%と普及は長期にわたるものと予想されています。

このため、5G関連の相場も上げ下げを繰り返しながら、今後数年は続くことが想定されます。ここ1ヵ月のような調整局面は投資のチャンスとなるのではないかとの目線で検討していけばよいのではないでしょうか。

2節以降では、5G関連銘柄を半導体銘柄、計測機器など、通信サービスなどの3つにわけて最近の株価動向とともに業績の動向、5G関連の動きなどをアップデートしています。

結論としては、貿易摩擦の影響が懸念される環境では、幅広い産業への売上がある企業への投資はしにくく、ベライゾンコミュニケーションズ、AT&Tなどの通信サービスやシスコシステムズ、モトローラソリューションズなど通信関係に特化した企業が注目できるでしょう。一方、貿易摩擦の解消が見えてきた段階では、半導体や計測機器なども再び注目できると考えられます。

図表2:移動体通信の技術別接続シェアの見通し

  • ※GSMアソシエーションの「The Mobile Economy 2019」データよりSBI証券作成

25G関連の半導体

図表3:5G関連の半導体の株価

  • ※BloombergデータをもとにSBI証券が作成

5Gに関連する半導体企業の業績は、通信向けは5G関連の需要の盛り上がりで好調が維持されているものの、他の産業向けには景気減速の影響が出ています。このため貿易摩擦の再燃は業績への懸念につながり、株価は大幅に反落となっています。

一方、クアルコムについては、景気云々、5G云々よりも個別要因のほうが影響が大きく、4/16(火)にアップルのとの特許訴訟で和解して大幅な株価の上昇となりましたが、その後ファーウェイとの取引禁止、スマホ市場での独占禁止法の判断などが悪材料となって急反落しています。

半導体の分野は貿易摩擦の影響が大きく、米中が合意に達するまではなかなか難しい状況となりそうです。ただ、5G、IoT、AIなど新技術の普及には半導体が必須であることから、中長期の成長性には引き続き注目できるでしょう。貿易摩擦が解消すれば、再び関連銘柄の中心的存在として注目されると考えられます。

ザイリンクス(XLNX)
FPGAと呼ばれる種類の半導体の世界最大手です。FPGAはfield-programmable gate arrayの略で、計算ロジックが固まっている部分は回路に作り込み、変化する可能性のある部分を「プログラマブル」にして残したもので、CPUとASICの中間的な性質をもちます。新技術が普及するときに需要が拡大する傾向があると考えられます。

1-3月期決算はEPSが市場予想を9%下回ったために、貿易摩擦の再燃前から株価が下落に転じていました。売上は同30%増(10-12月期は同34%増)で分野別には通信向けが同74%増(10-12月期は同41%増)、自動車、放送、消費者向けが同20%増(同20%増)と好調を維持する一方、データセンター向けが同7%減(同14%増)、産業、航空、防衛向けが同1%増(同17%増)と減速しています。通信向けは韓国、中国での5G展開を背景に好調を持続するものの、景気の影響を受けて売上が減速している分野が拡大していることが懸念を高めていると見られます。

アナログ デバイセズ(ADI)
米国の半導体大手の一角で、アナログ半導体を主力としている企業です。5/22(水)に発表した2-4月期決算は、売上が前年同期比2%減、調整後EPSが同9%減ですが、通信向けが牽引してガイダンスを上回りました。一方、5-7月期のガイダンス中央値は、米国のファーウェイとの取引禁止の影響が考慮されて売上で7%、EPSで12%、それぞれ市場予想を下回りました。

2-4月期の分野別売上は、インダストリアルが前年同期比6%減、自動車が同1%減、コンシューマーが同26%減、通信が同32%増でした。通信は複数の市場が好調とする一方、全般的な景気減速に加え、コンシューマーにはスマホ販売の低迷が反映されています。

テキサスインスツルメンツ(TXN)
米国の半導体大手で、アナログ半導体(18年売上の68%)と組み込み半導体(同23%)を主力としています。1-3月期の売上は、世界的な産業景気の鈍化を受けて前年同期比5%減、EPSは同7%減となるものの市場予想は上回り、4-6月期のガイダンス中央値は売上が前年同期比10%減、EPSが同14%減で、市場予想並みでした。

1-3月期の分野別売上はパーソナル・エレクトロニクスが前年同期比1桁台前半の減少、通信機器は5G関連の出荷増を受けて同約30%増、エンタープライズ・システムは同減少としています。5G関連に関しては、通信インフラ関連に関する過去の経験を考慮すると将来的に「choppy」(変動が激しい)と考えておくべきだろうとして、足もとの好調が持続的ではない可能性を示唆しています。

クアルコム(QCOM)
無線通信分野に特化した半導体メーカーです。現在の無線通信の規格は同社が考案したCDMA(Code Division Multiple Access、符号によって通信を多重化する方法)が基礎になっており、これは5Gになっても大きくは変わりません。このため、同社は引き続きスマホなどの端末から特許料収入を得ると考えられ、5Gでも技術的に中心的な企業であり続けます。

1-3月期決算は、スマホ市場の低迷を受けて売上が前年同期比6%減、EPSが同1%減でした。4-6月期はアップルとの訴訟和解に伴う支払いが45〜47億ドル想定されるため、大幅な増収増益となりますが、これを除いた部分では、売上は前年同期比2〜6%減、調整後EPSは同20〜30%減の見通しです。アップルとの訴訟和解は、アップルがクアルコムのチップセットなしでは5G端末の発売に支障をきたすことが判明し、同社の実力を知らしめました。

一方、カリフォルニア州の地方裁判所で受けた独禁法違反の判決では、そのチップセットの市場支配力を特許料の契約に不当に利用したとして、事業慣行を是正するよう命じられています。同社はこれまで海外では何回も独禁法違反の判決を受けてきましたが、本国での判断を受けて特許料の料率を見直さざるを得ないと見られています。

35G関連の計測機器など

図表4:5G関連の計測機器などの株価

  • ※BloombergデータをもとにSBI証券が作成

キーサイトテクノロジーは、顧客が幅広い産業にわたることから産業景気減速の影響を受けることが避けられず、貿易摩擦の再燃を受けて株価は反落しています。 一方、モトローラソリューションズとシスコシステムズは通信関連の設備投資は堅調が維持されていることから、景気減速の影響は限定的で株価も相対的に堅調です。 ノキアは5G基地局の商戦で苦戦しているのではないかとの懸念があり、年初から冴えない展開となっています。

計測機器・ソフトウェア

キーサイト テクノロジー(KEYS)
電子計測器メーカーです。無線通信、航空、宇宙、防衛、半導体の幅広い市場に、電子計測機やシステム及び、関連ソフトウエア、ソフトウェア設計ツール、電子機器を提供しています。分野別の売上は、コミュニケーション・ソリューションが52%、エレクトロニック・インダストリアル・ソリューションが25%、サービス・ソリューションが12%、イクシア・ソリューション(買収したネットワークの可視化、セキュリティ技術をもつ会社の事業)が11%と、通信向けが主力です。 2/21(木)発表の11-1月期決算はコミュニケーション・ソリューションズが前年同期比25%増と業績を牽引、市場予想を上回って好調でした。しかし、受注が8-10月期の前年同期比20%増から同5%増に鈍化して、景気減速の影響が見られました。5月に入って貿易摩擦の影響が懸念されて下落しています。明日5/30(木)に2-4月期決算の発表を控えています。

応用システム

モトローラ ソリューションズ(MSI)
米国の通信機器メーカーです。2011年に携帯端末はモトローラ・モビリティとして分離、携帯電話の基地局事業はノキアに売却したことで、官公庁や公共機関に通信機器、セキュリティシステムを提供するほか、企業向けに通信システム構築のサービスなどを提供する企業となっています。18年の売上は、製品が70%、サービスが30%を占めます。

1-3月期決算は、売上が前年同期比13%増と10-12月期の同15%増からの減速は限定的で、受注残が同8%増と好調が持続しました。5Gが実現すると、企業による新たなサービスの展開が活発化すると考えられ、同社のビジネスチャンスが大きく広がる可能性が高いと期待されます。

インフラ通信機器

シスコ システムズ(CSCO)
IPベースのネットワーク製品と関連通信製品を世界的に展開する米国大手です。主要製品はLANスイッチ、サービス統合型ルータ、WANルータ、セキュリティーアプライアンス・ソフトウエア、ワイヤレスを含むネットワーク製品、クラウド化製品、オンデマンドコンテンツの視聴可能なソフトウエア「Videoscape」などを含みます。ベライゾンコミュニケーションズやAT&T向けの無線通信インフラは手掛けていないものの、「5G」の実現によって企業の通信システムの更新が活性化したり、新しいサービス提供に関わる通信システムの構築など、同社事業も活性化すると期待されます。

2-4月期決算は欧州、アジアの減速を米州の加速でカバーして売上・EPSとも市場予想を上回って堅調でした。また、5-7月期の売上ガイダンスは前年同期比4.5〜6.5%増として市場予想を上回りました。米国では法人税減税を受けて企業のIT投資が活発化すると考えられてきましたが、想定通りに売上が加速しているようです。

ノキア ADR(NOK)
ノキアはフィンランドの通信機器メーカーです。かつては携帯端末で世界トップでしたが、端末事業は2014年に売却し、現在は無線技術を中心とする通信インフラ設備が主力となっています。2011年にモトローラ社の無線基地局事業を買収していることから、米国でも活躍が期待されます。グローバルの無線インフラ市場では、スウェーデンのエリクソン、中国のファーウェイ、ZTEなどと競合しています。

一方、年初来足もとの状況から、5Gのインフラ設備の契約が順調に進んでいないのでは、との懸念がもたれています。18年10-12月期決算後に発表した19年のEPSガイダンス(0.25〜0.29ユーロ)が市場予想を下回り、また、上半期の業績に関して慎重な見通しとしたためです。

さらに、1-3月期決算は市場予想を下回り、会社は5Gビジネスの盛り上がりで下半期に改善するとして通年のガイダンスを変えていませんが、株式市場には懸念が漂っているようです。米国政府が米企業にファーウェイとの取引を禁止したことは同社に恩恵をもたらすはずですが、このような背景もあって株価の反応はいまのところ限定的となっています。

45G関連の通信サービスなど

図表5:5G関連の通信サービスなどの株価

  • ※BloombergデータをもとにSBI証券が作成

通信サービスは、昨年末からの相場上昇局面ではほとんど上昇しませんでしたが、事業が景気敏感ではないことと、配当利回りが高いことから、5月からの相場調整局面では物色されて逆に上昇となっています。

鉄塔会社は、安定的な株価上昇となり、5月からの調整局面でも、配当利回りが高いREIT(不動産投資信託)という面が注目されたと見え、さらに物色されています。

ただ、米国のREITは投信法上「外国投資信託」に分類されて、個別に金融庁への届出がないものについては新規の買い付けができなくなっています。中国の中国鉄塔(00788) は、日本の個人投資家が投資できる唯一の鉄塔会社と見られ、検討の価値があるでしょう。

通信サービス

ベライゾン コミュニケーションズ(VZ)
AT&Tとともに米国で最大級の通信サービス企業で、北米のワイヤレス収入シェアは31%でトップを占めます。同社は昨年10月に「5G Home」と呼ばれる家庭限定の5Gサービスを米国の一部地域で提供を始めたほか、4/3(水)に世界初となる5Gサービスをミネアポリスとシカゴでスタートして、5Gに積極的な姿勢が目立っています。

1-3月期決算は、契約プランのアップグレードなどでワイヤレス部門が牽引して堅調で、通期のEPSガイダンスを従来の前年比横ばいから同一桁台前半の伸びに引き上げています。

AT&T(T)
米国の大手通信サービス企業です。5Gに関しては、16年から複数都市でトライアルを完了しており、18年中に米国12都市の一部地域でサービスを開始、19年前半に7都市の追加を予定しています。また、同社は警察、消防、救急医療サービスなどが使用する公的な無線ブロードバンド網「FirstNet」の構築を17年から進めているところで、これが将来的に同社の5Gネットワークの基礎になることも期待されています。

1-3月期決算は、売上が買収したメディア事業の貢献で前年同期比18%増、EPSが同1%増で、いずれも市場予想を若干ショートしました。モバイル、ワーナーメディアが好調の一方、企業向け固定サービスの不振が相殺しています。

無線通信の鉄塔会社

アメリカン タワー REIT(AMT)およびSBA コミュニケーションズ REIT(SBAC)
米国には無線通信に使われる鉄塔を所有する独立企業がREIT(不動産投資信託)として上場しています。無線通信タワー、屋上など無線通信用アンテナを支える構造物を所有、運営し、通信サービス企業にアンテナ空間のリースを行っています。

5Gでは電波の指向性が強くなるため多数のアンテナを設置する必要があり、鉄塔企業の重要性が増して事業の価値が上昇、5Gの関連投資では最も確実に恩恵が期待できる分野と考えられます。1-3月期決算は、両社とも売上・EPSを上回り堅調に推移しています。

  • ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。

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  • 本資料は投資判断の参考となる情報提供のみを目的として作成されたもので、個々の投資家の特定の投資目的、または要望を考慮しているものではありません。投資に関する最終決定は投資家ご自身の判断と責任でなされるようお願いします。万一、本資料に基づいてお客さまが損害を被ったとしても当社及び情報発信元は一切その責任を負うものではありません。本資料は著作権によって保護されており、無断で転用、複製又は販売等を行うことは固く禁じます。
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