- パウエルFRB議長は2/26の議会証言で、経済は良好だが一部で「相反する流れやシグナル」が見られると指摘。それを踏まえ、1月のFOMCでは将来の政策金利について辛抱強く待つことが正当化されると判断したと説明した。
これに対し、3/20のFOMC後の会見では「政策金利が適切な水準にあると考えている」と発言し、年内金利据え置きを明らかにし、更にバランスシート縮小の9月末停止も明言。これを受けて年内6月以降の利下げ確率予想が一気に上昇、米国債利回りの長短逆イールド現象が発生したが、市場が逆イールドを不況の前兆とみなして株式売りに走るのはFRBも想定外だろう。(増渕)
FRBは市場の想定を超えたハト派姿勢へ
- 「独自の通貨を持つ国の政府は通貨を限度なく発行できるため、デフォルトの心配なく政府債務残高がどれだけ増加しても問題ない。」というMMT理論が、債務上限が問題となっている米国で関心を集めている。トランプ政権は財政赤字を拡大中だが、2020年大統領選を睨み、国民皆保険や「グリーン・ニューディール」政策の財源を確保したい米民主党がこの理論に乗り気だ。
既に政府債務残高が200%を超えている日本では、通貨高、マイナス金利で物価も上がらない。図らずもMMT理論を実証し、世界から熱い注目を浴びているのは何とも皮肉な話だ。(笹木)
MMTへの識者の見方、および、日米の財政赤字・政府債務
- 3/18発表の3月のNAHB住宅市場指数は、前月から横ばいの62。同指数は住宅建設業者の景況感を示す。市場予想の63を下回ったものの約3年ぶりの低水準から持ち直した水準を維持。内訳では、購買見込み客足指数が落ち込んだが、一戸建て販売の現況指数と向こう6ヵ月の先行き指数が改善。3/8発表の1月住宅着工件数は、前月比18.6%増の123万戸と大幅に伸び、市場予想119.5万戸を上回った。
3/26発表の2月住宅着工件数は、1月の反動もあり前月比8.7%減だったが、住宅ローン金利低下や、堅調な雇用市場が住宅市場を支えている面は変わらず、春の住宅販売時期は堅調となろう。住宅指標は個人消費と密接に関連しているため注目したい。(増渕)
12月の減速から復調した米住宅市場〜金利低下の恩恵は続くか!?
- 経済指標は、政府機関閉鎖や寒波の影響で減速した年末からの回復を示した。3/11発表の1月の小売売上高は前月比0.2%増。同1.6%減と落ち込んだ12月から回復、市場予想の同0.03%増を上回った。3/13発表の1月の耐久財受注では、設備投資の先行指標となるコア資本財の受注が同0.8%増。2ヵ月連続の大幅減から反発。市場予想の同0.2%増を上回った。
一方、物価指標は予想外に鈍化している。2月の消費者物価指数(CPI)では、コアCPIが同0.1%上昇と市場予想0.2%上昇を下回った。2月の生産者物価指数(PPI)も同0.1%上昇と市場予想の同0.2%上昇を下回った。終焉を迎えると見られたゴルディロックス相場であるが、当面は続きそうだ。(増渕)
米経済指標が年末の減速から回復〜物価は伸びず利上げは先送りか
- 3/1発表の2月の米ISM製造業景況指数は54.2と2年3ヵ月ぶりの水準に低下し、市場予想も下回った。一方、3/5発表の2月の米ISM非製造業景況指数は59.7と3ヵ月ぶりに上昇し、市場予想も上回った。前月から3.0ptの上昇となり上昇幅は過去1年で最大。2月の米国企業のセンチメントは製造業と非製造業で対照的な様相となった。
製造業、非製造業ともに世界景気減速や貿易摩擦、投入コスト増を懸念する声が上がったが、非製造業では景気への楽観的な見方が優勢となった。3/6公表のベージュブックでも同様の傾向が示された。好調な消費マインドや2/15の予算成立が背景。米国市場では景気敏感株優位の展開が続くが、内需株へシフトする可能性も。(増渕)
2月ISM景況指数は製造業・非製造業で差が出た〜予算成立などが背景
- 日本の「働き方改革」と同様の観点から、仕事の生産効率向上に向けてクラウドサービス上で企業向けソフトウエアを活用する企業が増えている。建設・土木分野では、ナスダック上場のSaaS企業であるAutodesk社が注目され、近年は売上の大半をリカーリング収入(サブスクリプション契約による継続的売上)としている。クラウドサービスも、データセンターのAWS、Azure、GoogleCloudといったIaaSが注目されていた時代から、技術力のある新興IT企業がSaaSによって一気に成長できる時代に変わってきているのは要注目だ。
米中冷戦時代の不確実な経営環境において業績予測可能性の高さもあり、SaaS企業のリカーリング収入への注目度は高まっていくだろう。(笹木)
クラウドサービスのSaaS企業〜米国でも時価総額を伸ばす!
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