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国際通貨基金(IMF)は4/9に公表した世界経済見通し(WEO)で、2019年の世界成長率見通しを1月時点の予想から下方修正。先進国の大半で見通しに陰りが出ていることや、通商問題が貿易を圧迫する兆候が背景。予想通りなら、2019年は2009年以来の低成長となる。下方修正は過去6ヵ月で3回目。
IMFによると、世界の経済成長率は年後半に回復し、2020年は2018年と同水準になる見込み。FRBの利上げ停止や中国の景気刺激策の効果が世界的に波及すると見ている。また、政策面でのミスを防ぐことを優先すべきと提言。目先は6/28-29のG20大阪サミットに向けた動きが焦点となろう。(増渕)
IMFは2019年の世界の経済成長率見通しを下方修正〜今年後半に回復
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3月のISM製造業景況指数は、2ヵ月ぶりに上昇し市場予想も上回った。指数を構成する5つの個別項目のうち3項目が上昇。雇用指数が前月比5.2pt上昇と伸びを牽引。一方、ISM非製造業景況指数は、2ヵ月ぶりに低下し1年7ヵ月ぶりの低水準に落ち込んだ。個別項目では、新規受注指数が同7.3pt低下、事業活動・生産指数が同6.2pt低下と下げを主導。前月とは対照的だ。
ISMによると、サービス部門の企業は景気に対して楽観的な見方を維持するが、人的資源などに対する懸念が燻っている。非製造業では、2月は春節や関税引き上げ前の駆け込み需要で異常な受注数量だったとのコメントもあり、悲観する必要はなさそうだ。(増渕)
ISM景況指数は製造業・非製造業で対照的〜製造業は2ヵ月ぶり上昇
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4/17に中国第1四半期GDP、3月小売売上高、3月鉱工業生産、1-3月固定資産投資が発表された。1-3月実質GDPは前年同期比6.4%増。伸び率は10-12月と変わらず、減速に歯止めがかかった。その他の経済指標では、固定資産投資が昨年8月以降の回復傾向が明確である一方で、社会消費品小売総額や鉱工業生産は3月だけの結果では回復傾向を判断し難い。
習主席は2020年の「小康社会」(小康とは”幾らかゆとりのある“の意)の実現を目指しており、2016-2020年の年平均成長率6.5%を最低ラインとしている。来年に向けてなり振り構わない景気対策が必要となる事情も察せられる。(笹木)
中国実質GDP横ばい維持だが、固定資産投資中心の回復で予断許さず?
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3月下旬に米国10年国債利回りが米財務省証券3か月物金利を下回る「(長短)逆イールド」現象が発生し、「不況の前兆」と警戒された。しかし、逆イールドが発生した時期を遡ると、@1998年9月発生の後にITバブル発生(2000年3月がS&P500高値)、A2006年2月の時は同高値が2007年9月まで後ずれした。
@の時は折しも「デジタル革命」の急速なIT技術普及と重なり、ロシア危機後の利下げによる低金利がIT企業への期待値を過度に高めてITバブルが発生した。Aの時は信用不安と重なってリーマンショックが発生した。現在は金融システム不安が小さい一方で、5G通信やIoTなどのIT技術の急速な普及が目前にある。低金利が続けば@と類似の状況が再現する可能性もあろう。(笹木)
逆イールド発生後の金利と景気〜過去には不況の前にバブル発生も
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米国の大手金融機関の1-3月期決算が出揃った。税制改革の影響で軒並み大幅増益となった10-12月期からは鈍化したものの、昨年4回の利上げと堅調な経済を背景に商業銀行業務が好調に推移。JPモルガン・チェース&カンパニー(JPM)などは金利収益を伸ばした。一方、各社とも金融商品の売買を仲介するトレーディング収益は落ち込んだ。市場依存度の高いゴールドマン・サックスG(GS)は5四半期ぶりの減益。
各社は政府機関閉鎖の影響で株式引受を中心に投資銀行業務が妨げられ、複数のIPOに遅れが出たと指摘。今後数ヵ月の間にウーバー・テクノロジーズ(UBER)などIPOの大型案件が幾つか見込まれることなどから、4-6月については楽観視する向きが多い。(増渕)
1-3月期は商業銀行が好調に推移〜投資銀行は4-6月期に復調化
米国市場では半導体株が大幅上昇〜市況見通しの改善が背景
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