“悪材料への抵抗力をテストする局面か?”
- 中国の春節(旧正月)を前にして武漢で発生した新型コロナウイルスによる肺炎の拡大が想定外の速度で進んだ。1/27現在、中国本土の死者数は武漢市中心に56人以上に達し、日本で4例目の感染が確認され、米国でも3人の感染が確認された。このほかにも香港、タイ、韓国、台湾、マレーシア、オーストラリア、シンガポールなどでも感染が報告された。米国株式市場は、ダウ工業株30種平均株価(NYダウ)で1/17に29,373ドルの史上最高値を付けた後で下落に転じ、1/24に28,989ドルの週足安値を付けた。中国売上比率が高い銘柄、観光業への悪影響に伴う空運株やカジノ・ホテル株、安全資産の国債買いからの長期金利低下に伴う金融株、および燃料需要減少や景気先行き懸念からの原油先物価格値下がりを受けてのエネルギー株など、幅広い業種が売られた。
- FRBが短期金融市場への資金供給を年明け後も連日実施しバランスシートを拡大する中、割高な水準に買われ過ぎていると市場参加者が感じていたのだろうか。それでも機会損失に係る「買わざるリスク」が意識されて相場が上昇してきたのが直近の状況だったのかも知れない。相場が下落しても不思議ではないと思いつつも「まだはもうなり、もうはまだなり」という心境もあるだろう。2018年のNYダウが1月下旬から「VIXショック」によって1/26の26,616ドルから2/9の23,360ドルまで急落したのとタイミングが類似している。当時と現在とではFRBの資金供給やバランスシート拡大に係る状況が異なり、必ずしも当時のような相場の急落があるとは言えないだろう。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大は気候変動リスクという新たな状況に起因している面もあろう。2019年の世界の平均気温が観測史上2番目に高かったことが世界気象機関より1/15に発表され、地球温暖化の進展が裏付けられた。平均気温が上昇することで洪水や干ばつの頻度が増すと言われる。洪水後の水の衛生状態の悪化、および水が使えないための不衛生により、どちらの場合も感染症が流行する可能性に繋がる。今後も同様の感染症が発生するリスクは高まっているのかも知れない。ASF(アフリカ豚コレラ)のように家畜に流行して世界経済に大きな影響を与えることもあり得よう。
- 2019/10-12月期決算では、テキサス・インスツルメンツ(TXN)やインテル(INTC)などの半導体関連やIBM(IBM)などIT関連企業の業績見通しは概ね良好だった。1/27週に発表される主要企業決算に期待がかかる。1/29にはFOMC声明発表もあり、悪材料への株式市場の抵抗力が試される局面であろうか。
- 1/28号では、アボットラボラトリーズ(ABT) 、アメリカン・エキスプレス(AXP) 、インテル(INTC) 、ネットフリックス(NFLX) 、プロクター・アンド・ギャンブル(PG) 、テキサス・インスツルメンツ(TXN) を取り上げた。
ウィークリーストラテジー
S&P500業種別およびNYダウ構成銘柄の騰落率(1/24現在)
主要企業の決算発表予定
1月28日(火) | ストライカー、ザイリンクス、スターバックス、WRバークレー、マキシム・インテグレーテッド・プロダクツ、エクイティ・レジデンシャル、CHロビンソン・ワールドワイド、アップル、アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)、イーベイ、ボストン・プロパティーズ、NVR、Xerox Holdings Corp、ニューコア、パッカー、ペンテア、ユナイテッド・テクノロジーズ、ファイザー、A.O.スミス、ハーレーダビッドソン、3M、HCAヘルスケア、マコーミック、パルトグループ、アラスカ・エア・グループ、ロッキード・マーチン |
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1月29日(水) | モンデリーズ・インターナショナル、ホロジック、ラムリサーチ、パッケージング・コープ・オブ・アメリカ、サービスナウ、アライン・テクノロジー、ミッド・アメリカ・アパートメント・コミュニティーズ、フェイスブック、イルミナ、コルボ、アメリプライズ・ファイナンシャル、フォーチュン・ブランズ・ホーム&セキュリティ、アーチャー・ダニエルズ・ミッドランド、マイクロソフト、ユナイテッド・レンタルズ、バリアンメディカルシステムズ、ラスベガス・サンズ、ノーフォーク・サザン、ナスダック、インベスコ、エイブリィ・デニソン、Dow Inc、プログレッシブ・コープ、ゼネラル・エレクトリック(GE)、コーニング、マスターカード、マクドナルド、ヘス、AT&T、ローリンズ、スタンレー・ブラック・アンド・デッカー、ゼネラル・ダイナミクス、ロックウェル・オートメーション、アンセム、オートマチック・データ・プロセシング(ADP)、ボーイング、テキストロン、マラソン・ペトロリアム、ティー・ロウ・プライス・グループ、TEコネクティビティ |
1月30日(木) | アパートメント・インベストメント&マネジメント、イーストマン・ケミカル、エドワーズライフサイエンス、レスメド、エレクトロニック・アーツ、アーサー・J・ギャラガー、アムジェン、ビザ、ウエスタンデジタル、セラニーズ、バーテックス・ファーマシューティカルズ、ベライゾン・コミュニケーションズ、ユナイテッド・パーセル・サービス(UPS)、レイセオン、ドーバー、WWグレンジャー、バレロ・エナジー、ノースロップ・グラマン、インターナショナル・ペーパー、トラクター・サプライ、ダナハー、アメリソースバーゲン、エクセル・エナジー、ローパーテクノロジーズ、ハーシー、クエスト・ダイアグノスティクス、シャーウィン・ウィリアムズ、マーシュ・アンド・マクレナン、サーモフィッシャーサイエンティフィック、アライアンス・データ・システムズ、パーカー・ハネフィン、ウエストロック、デュポン・ド・ヌムール、MSCI、コカ・コーラ、アプティブ、トゥルイスト・ファイナンシャル、アレクシオン・ファーマシューティカルズ、アマゾン・ドット・コム、CMSエナジー、アイデックス、バイオジェン、アルトリア・グループ、イーライリリー |
1月31日(金) | イリノイ・ツール・ワークス、チャーター・コミュニケーションズ、キャタピラー、エクソンモービル、チャーチ・アンド・ドワイト、ウェアーハウザー、エーオン、シェブロン、ジョンソンコントロールズインターナショナル、アイデックスラボラトリーズ、ライオンデルバセル・インダストリーズ、ハネウェルインターナショナル、コルゲート・パルモリーブ |
2月3日(月) | アルファベット、シスコ、レゲット・アンド・ブラット、ハートフォード・フィナンシャル・サービシズ・グル― |
主要イベントの予定
1月28日(火) |
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1月29日(水) |
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1月30日(木) |
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1月31日(金) |
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2月3日(月) |
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- ※Bloombergをもとにフィリップ証券作成
銘柄ピックアップ
アボットラボラトリーズ(ABT)市場:NYSE ・・・2020/4/17に2020/12期1Q(1-3月)の決算発表を予定
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アメリカン・エキスプレス(AXP)市場:NYSE ・・・2020/4/16に2020/12期1Q(1-3月)の決算発表を予定
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インテル(INTC)市場:NASDAQ ・・・2020/4/23に2020/12期1Q(1-3月)の決算発表を予定
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ネットフリックス(NFLX)市場:NASDAQ ・・・2020/4/16に2020/12期1Q(1-3月)の決算発表を予定
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プロクター・アンド・ギャンブル(PG)市場:NYSE ・・・2020/4/23に2020/6期3Q(1-3月)の決算発表を予定
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テキサス・インスツルメンツ(TXN)市場:NASDAQ ・・・2020/4/23に2020/12期1Q(1-3月)の決算発表を予定
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