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米国10年国債利回りが上昇の兆しを示すなか、高PERのグロース株から景気循環のバリュー株へのシフト見通しが高まる一方、S&P500株価指数のグロース指数をバリュー指数で割った倍率(グロース/バリュー比率)は足元で2.0倍近辺の水準と、高止まりの傾向にある。
新型コロナ感染拡大前の昨年2月上旬は10年国債利回りが現在の利回りを下回る1.4-1.5%台、グロース/バリュー比率が1.6倍近辺だった。現在の10年国債利回り水準からすれば同比率が昨年2月上旬の1.6倍近辺を下回る余地もあろう。
グロース・バリューと米長期金利〜金利上昇でグロース/バリュー比率低下も
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米先物取引所運営のCMEグループと米パデュー大学が2月に発表した1月の米国農業経済バロメーター指数(米農家景況感指数)は167と高水準を維持するなど米国農家の経営状況が改善。中国の大量買いに伴う大豆やトウモロコシなど穀物の国際価格が高騰したことが背景にある。これを受けて、ディア(DE)をはじめ米国農家を顧客とする大手農機メーカーは製品の値上げ余地が大きくなり、利益率上昇を伴う増収傾向となっている。
国連食糧農業機関が算出する食品価格指数も2014年7月以来の高水準まで上昇。異常気象のほか、収穫などの人手を外国人労働者に多く依存することから移動制限の影響が大きい。農作業の人手不足は無人運転による省人化需要を高め、農機メーカーへ追い風となろう。
米国農家の経営状況が改善〜日米大手農機メーカーの株価は堅調に推移
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昨秋以降、中国から欧米に向かうコンテナ船の運賃が急騰。3月中旬の上海発ロサンゼルス向けの40フィートコンテナ単価は前年同期比2.5倍の水準となった。コンテナ不足などの混乱解消の目処が立たないなか、米経済対策による現金給付で個人消費が増えれば輸送需要が更に膨らみ、運賃上昇が加速しよう。それに加え、3/23に海運の大動脈であるスエズ運河で巨大コンテナ船が座礁。輸送コスト増が幅広い企業の業績に響く一方、海運会社への追い風が見込まれる。
海上輸送のコンテナ不足に伴う積み残しを航空機で運送する動きもあり、2月の日本発航空貨物輸出量は前年同月比29%増。特に米国向けは、車関連部品および住宅市場の活況を受けた建機の荷動きの伸びもあり、同1.8倍と急増。
海上コンテナ不足と航空貨物増〜スエズ運河の大型船座礁が問題に拍車
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米住宅市場はこれまでコロナ禍のなかでも底堅く推移してきたが、米商務省発表の2月の住宅着工件数(季節調整済み)が年率換算で前月比10.3%減、2月の新築一戸建て住宅販売件数(同上)が同18.2%減となった。寒波の影響のほか、記録的な木材価格高騰や労働力不足による建設業者コストの増加、2月以降の住宅ローン金利上昇など、住宅購入に対する不安要因が目立ち始めた。
一方、中古住宅価格は深刻な在庫不足とともに木材価格高騰により下支えされており、2月の中古住宅価格・中間価格が前月比3.1%上昇。経済対策の現金給付効果もあり改装費用をかけて中古住宅を高く売りたい需要が高まろう。ホーム・デポ(HD)やロウズ(LOW)などホームセンター大手への恩恵が見込まれる。
米新築住宅販売と木材価格〜木材価格の高騰で建設業者コストが増加
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3/29、米国の新型コロナ累計検査陽性者数が約3,033万人だったのに対し、新型コロナワクチン累計接種回数が約1億4,580万回に達した。バイデン大統領は就任100日後の4月末までに米国内で2億回のワクチン接種を目指すとした。これを受けて時価総額上位の航空関連企業で構成されるNYSE Arca航空株指数も3月中旬まで堅調に推移していた。
世界の国際空港で国際線増便が相次ぐなか、ボーイング(BA)の2月の旅客機の新規受注数が14ヵ月ぶりにキャンセル数を上回るなど航空機需要回復の兆しが見られる。航空機部品メーカーのハネウエル・インターナショナル(HON)、航空機エンジンを取扱うハウメット・エアロスペース(HWM)やゼネラル・エレクトリック(GE)などに対しても追い風となろう。
米のワクチン接種と航空機需要〜ボーイング・航空機部品メーカーへ恩恵
- 今年1月、中国の電気自動車(EV)メーカーのニオ(NIO)が1回の充電で千キロの走行を可能にする大容量バッテリーパックを発表。これはテスラ(TSLA)のモデルSにおける1回の充電による走行距離722キロを上回る。また、ゼネラル・モーターズ(GM)は2025年までのEVと電動自立走行車(AV)への総投資額を270億ドルとし、同年末までに米国でのラインナップの40%を同社開発のアルティウムバッテリー搭載のEVとする方針を示した。
アップル(AAPL)は自動運転EV開発を巡りレーザー光を利用し周囲の状況を把握するセンサー「LiDAR」を供給する業者と協議中と伝えられ、ルミナー・テクノロジーズ(LAZR)が有力候補とみられる。これに対し、テスラはカメラなどを自動運転の主体とし、LiDARは不要との立場だ
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テスラ1強と言えなくなってきたEV〜中国企業、GM追上げ、アップルカー
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