“米主要3指数は切り返して高値更新〜どう見るか?”
- 7月の景気指標で、6日発表の6月のISM非製造業景況指数および16日発表の7月のミシガン大学消費者信頼感指数(速報値)など景気減速の兆しを示すものが見られ始めたほか、欧州やアジアを中心とした新型コロナのデルタ変異株の感染増加の動きが米国にも広がってきた。そのようななか、米国株はNYダウ平均株価の終値が16日と19日の2営業日で約1,000ドル下落したことから、「いよいよ、米国株も調整局面入りか?」という見方が強まるやいなや、20日から23日までの4営業日で一挙に切り返して、NYダウ平均株価、S&P500、およびナスダック総合指数の米国主要3株価指数のすべてが、終値および取引時間中ともに史上最高値を更新した。
- このような動きを見て、米国株の強さに盤石の信頼を置いて買い進むことは妥当なのだろうか? 第1に、7/19の株価大幅下落は、WTI原油先物価格の下落が主導した面が大きいとみられる。WTI原油先物の当限取引は受渡月前月25日(25日が非営業日の場合はその前営業日)から3営業日前が取引最終日となることから、8月限の取引最終日を20日に迎えるなか、デルタ変異株の感染拡大を契機として大幅なポジション調整の動きが出たものと推察される。その動きが株式相場に飛び火し、短期的に売られ過ぎとみられて押し目買いが優勢となりやすい面があったと思われる。
- 第2に、米国の主要株価3指数が23日に史上最高値更新を果たした一方、米国上場の時価総額上位1,001位から3,000位までの銘柄で構成されるラッセル2000、およびNY証券取引所上場の全普通株を対象とするNYSE総合指数は最高値を更新しておらず、高値圏で上値が重い推移となっている。必ずしも米国株全体が堅調というわけではない点は重要だろう。
- 第3に、米国主要3株価指数の各々について見ると、株価指数は高値を更新しているものの、所定期間における終値の値上がり幅や値下がり幅に着目して計算されるテクニカル指標であるRSI(相対力指数)が日足、週足ともに高値を切り下げる形状となっている。このような価格とRSIのトレンドの逆行現象は、相場の転換を示唆しやすい面があることに要注意である。
- このような現状相場の位置付けの下、主要銘柄の4-6月決算発表が終わった後で更なる期待が残るのかが焦点となろう。7月末の米連邦政府債務の残高に対する法定上限適用停止措置の期限を前にして、米議会上院でインフラ投資計画における超党派の合意に向けて細部の詰めに入っていると伝えられた。この点は買い材料となり得よう。ただし、中長期の成長が見込まれる銘柄の押し目を狙う慎重なスタンスが望まれよう。(笹木)
- 7/27号では、アカマイ・テクノロジーズ(AKAM)、アメリカン・ウォーター・ワークス(AWK)、ビヨンド・ミート(BYND)、ハウメット・エアロスペース(HWM)、アイロボット(IRBT)、ジロー・グループ(ZG)を取り上げた。
ウィークリーストラテジー
S&P500業種別およびNYダウ構成銘柄の騰落率(7/23現在)
主要企業の決算発表予定
7月27日(火) | NOV、ジュニパーネットワークス、エクストラ・スペース・ストレージ、チャブ、マキシム・インテグレーテッド・プロダクツ、テラダイン、スターバックス、ノートンライフロック、AMD、アップル、アイデックス、ビザ、アルファベット、CHロビンソン・ワールドワイド、モノリシック・パワー・システムズ、マイクロソフト、ストライカー、モンデリーズ・インターナショナル、ラム・ウェストン・HD、3M、エコラボ、シリウスXMHD、パッカー、ファイサーブ、ペンテア、DTEエナジー、ロックウェル・オートメーション、レイセオン・テクノロジーズ、MSCI、IQVIA、インベスコ、ゼネラル・エレクトリック(GE)、コーニング、パルトグループ、シャーウィン・ウィリアムズ、ボストン・サイエンティフィック、ウエイスト・マネジメント、スタンレー・ブラック・アンド・デッカー、アーチャー・ダニエルズ・ミッドランド、ユナイテッド・パーセル・サービス(UPS)、センティーン |
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7月28日(水) | アフラック、エベレスト・リー・グループ、ペイパルHD、パーキンエルマー、コグニザント・テクノロジー・ソリューションズ、エクイニクス、ホロジック、サービスナウ、フォーチュン・ブランズ・ホーム&セキュリティ、ラムリサーチ、クアルコム、UDR、PTC、ユナイテッド・レンタルズ、フェイスブック、オライリー・オートモーティブ、ザイリンクス、ハートフォード・ファイナンシャル・サービシズ・グルー、フォード・モーター、アライン・テクノロジー、アンフェノール、ファイザー、オートマチック・データ・プロセシング(ADP)、CMEグループ、ノーフォーク・サザン、ムーディーズ、ガーミン、テレダイン・テクノロジーズ、ボーイング、TEコネクティビティ、サーモフィッシャーサイエンティフィック、ジェネラックHD、オールド・ドミニオン・フレイト・ライン、マクドナルド、ローリンズ、ゼネラル・ダイナミクス、ヘス、ブリストル マイヤーズ スクイブ、エイブリィ・デニソン、ヒューマナ |
7月29日(木) | リパブリック・サービシズ、エジソン・インターナショナル、シージェン、キャボット・オイル・アンド・ガス、フォーティネット、エドワーズライフサイエンス、デクスコム、KLA、スカイワークス・ソリューションズ、アトラシアン、バーテックス・ファーマシューティカルズ、モホーク・インダストリーズ、フォーティブ、バイオ・ラッド・ラボラトリーズ、アーサー・J・ギャラガー、ギリアド・サイエンシズ、TモバイルUS、サザン、S&Pグローバル、シトリックス・システムズ、インターコンチネンタル・エクスチェンジ、メルク、ティー・ロウ・プライス・グループ、バクスターインターナショナル、ノースロップ・グラマン、コムキャスト、ハンチントン・バンクシェアーズ、ニールセンHD、マスターカード、テキストロン、ラボラトリー・コープ・オブ・アメリカHldg、インターナショナル・ペーパー、ウェスティングハウスエアブレーキ・テクノロジーズ、ハーシー、メトラー・トレド・インターナショナル、ヒルトン・ワールドワイド・HD、エクセル・エナジー、アルトリア・グループ、テレフレックス、アマゾン・ドット・コム、Carrier Global Corp、A.O.スミス、マスコ、バレロ・エナジー、LKQ、キューリグ・ドクターペッパー、CMSエナジー、ヤム・ブランズ、ウエスト・ファーマシューティカル・サービシズ、マーチン・マリエッタ・マテリアルズ、CBREグループ |
7月30日(金) | WWグレンジャー、イリノイ・ツール・ワークス、Cboe・グローバル・マーケッツ、ウェアーハウザー、エクソンモービル、ジョンソンコントロールズインターナショナル、P&G、シェブロン、アッヴィ、サーナー、チャーチ・アンド・ドワイト、アイデックスラボラトリーズ、チャーター・コミュニケーションズ、ニューウェル・ブランズ、ライオンデルバセル・インダストリーズ、コルゲート・パルモリーブ、VF、キャタピラー、Linde PLC、Aon PLC |
8月2日(月) | ウィリアムズ・カンパニーズ、アリスタネットワークス、テイクツー・インタラクティブ・ソフトウエア、モザイク、パイオニア・ナチュラル・リソーシズ、NXPセミコンダクターズ、SBAコミュニケーションズ、レゲット・アンド・プラット、アメリカン・ウォーター・ワークス、イーストマン・ケミカル、グローバル・ペイメンツ、ロウズ |
主要イベントの予定
7月27日(火) |
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7月28日(水) |
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7月29日(木) |
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7月30日(金) |
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8月2日(月) |
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- ※Bloombergをもとにフィリップ証券作成
銘柄ピックアップ
アカマイ・テクノロジーズ(AKAM)市場:NASDAQ・・・2021/8/3に2021/12期2Q(4-6月)の決算発表を予定
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アメリカン・ウォーター・ワークス(AWK)市場:NYSE・・・2021/8/2に2021/12期2Q(4-6月)の決算発表を予定
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ビヨンド・ミート(BYND)市場:NASDAQ・・・2021/8/5に2021/12期2Q(4-6月)の決算発表を予定
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ハウメット・エアロスペース(HWM)市場:NYSE・・・2021/8/4に2021/12期2Q(4-6月)の決算発表を予定
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アイロボット(IRBT)市場:NASDAQ・・・2021/7/28に2021/12期2Q(4-6月)の決算発表を予定
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ジロー・グループ(ZG)市場:NASDAQ・・・2021/8/5に2021/12期2Q(4-6月)の決算発表を予定
(注)日足の始値と終値をローソク足で表示。「始値>終値(陰線)」なら緑、「始値<終値(陽線)」なら赤。 |
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- (※)決算発表の予定は7/23現在であり、変更される可能性があります。