“景気指標と米株価指数、「平成バブル」との比較”
- 9/3発表の8月の米雇用統計は、非農業雇用者数が前月比23万5千人増にとどまり、7月の同105万3千人増から大幅に減速。8/27に行われたジャクソンホール会議(年次経済シンポジウム)で、パウエルFRB議長がテーパリング(量的緩和の縮小)開始時期は年内が適切としながらも急がない姿勢を表明していたなか、米ドル安を伴って米国に留まらずにグローバル市場へと資金が流れ込む「グローバル・リスクオン」を後押しする展開となっている。雇用統計の数値が良ければ景気循環株へ資金が注入してNYダウ平均株価を押し上げ、雇用統計の数字が良くなくても金融緩和継続期待から過剰流動性マネーが「GAFAM」など時価総額が大きく外部環境に左右されにくい銘柄に資金が流入してナスダック総合指数が上昇するというパターンが定着しつつある。景気指標などの外部環境の如何にかかわらず、米国市場全体としては崩れることなく堅調に推移するという、投資家にとって「桃源郷」のような世界が現に目の前に広がっているかのようである。
- これを仮に「バブル」と呼ぶとしても、バブル相場は終焉に向けて上昇を加速しやすい面もある。冷静に状況を見極めつつ、投資チャンスを掴みに行くことは躊躇されるべきものではないだろう。参考までに「平成バブル」と言われた1980年代後半の日経平均株価では、1987年10月19日の「ブラックマンデー」翌日の10/20の日経平均株価終値が21,910円。その後、1989年12月29日の終値38,915円まで上昇し、平成バブルは終焉を迎えた。
- 日経平均株価のブラックマンデー翌日終値を100とし、同様に新型コロナ感染拡大第1波に伴う株式市場急落後の2020年3月23日終値を100とした相対指数で比較すると、1989年12月29日の日経平均株価が177.62であるのに対し、今年9/3の米主要株価指数は、NYダウ平均株価が190.23、S&P500が202.71、ナスダック総合指数が223.94と値上がり率では平成バブルの日経平均を上回っている。また、1989年12月29日が1987年10月20日から数えて541取引日目に対し、今年9/3は昨年3/23から数えて367取引日目。昨年3/23から数えて541取引日目は来年の5月に到来する。
- なお、平成バブル後の1990年以降の日本株相場は、主力株が軒並み下落するなかでも値がさ中小型株や現ジャスクダック市場の前身の店頭市場は東証1部や2部と比較して相対的に活況を呈し、IPO銘柄のパフォーマンスが相対的に良好な面もあった。そのような経緯からも、IPO銘柄ほか、GAFAM等と比較して時価総額が相対的に小さく、成長期待の高い銘柄に物色の対象をシフトすることも検討の余地があろう。(笹木)
- 9/7号では、フェア・アイザック(FICO)、WWグレンジャー(GWW)、MGMリゾーツ・インターナショナル(MGM)、コルボ(QRVO)、サイファイ・テクノロジーズ(SIFY)、テレダイン・テクノロジーズ(TDY)を取り上げた。
ウィークリーストラテジー
S&P500業種別およびNYダウ構成銘柄の騰落率(9/3現在)
主要企業の決算発表予定
9月8日(水) | コパート、ルルレモン・アスレティカ |
---|---|
9月10日(金) | クローガー |
主要イベントの予定
9月7日(火) |
|
---|---|
9月8日(水) |
|
9月9日(木) |
|
9月10日(金) |
|
9月13日(月) |
|
- ※Bloombergをもとにフィリップ証券作成
銘柄ピックアップ
フェア・アイザック(FICO)市場:NYSE・・・2021/11/10に2021/9期4Q(7-9月)の決算発表を予定
|
WWグレンジャー(GWW)市場:NYSE・・・2021/10/29に2021/12期3Q(7-9月)の決算発表を予定
|
MGMリゾーツ・インターナショナル(MGM)市場:NYSE・・・2021/10/29に2021/12期3Q(7-9月)の決算発表を予定
|
コルボ(QRVO)市場:NASDAQ・・・2021/11/4に2022/3期2Q(7-9月)の決算発表を予定
|
サイファイ・テクノロジーズ(SIFY)市場:NASDAQ/ADR・・・2021/10/22に2022/3期2Q(7-9月)の決算発表を予定
|
テレダイン・テクノロジーズ(TDY)市場:NYSE・・・2021/10/21に2021/12期3Q(7-9月)の決算発表を予定
(注)日足の始値と終値をローソク足で表示。「始値>終値(陰線)」なら緑、「始値<終値(陽線)」なら赤。 |
|
- (※)決算発表の予定は9/3現在であり、変更される可能性があります。