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米国株式相場失速懸念が市場に広がり始めた。ゴールドマン・サックスが「高いバリュエーションが市場の脆弱性を高めている」と指摘したほか、モルガン・スタンレーは10月末までに経済成長に「特大のリスク」があることを理由に米国株投資判断を「アンダーウェイト」に引き下げた。
米国株の時価総額を名目GDPで割った「バフェット指数」は、9/3に史上最高の229%に達した。また、消費者物価指数(CPI)に対して生産者物価指数(PPI)が急上昇しており、企業の利益率が縮小しやすくなっている点も要注意と言えよう。
噴出する米国株失速懸念〜バフェット指数、CPI-PPI較差が懸念材料
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昨年12月に先物取引所CMEが先物を上場した「ナスダック・べレス・カリフォルニア水指数」は今年に入って約8割上昇。CMEは「地球温暖化や人口増により世界人口の3分の2が2025年までに水不足に陥る」との見方を示している。また、「安全な水とトイレを世界中に」はSDGs(持続可能な開発目標)における目標の一つであり、きれいな水を供給する企業や技術への注目度が高まっている。
米インベスコ運用の「S&Pグローバル・ウォーターETF」およびその主要組入れ銘柄であるペンテア(PNR)やダナハー(DHR)などの昨年末以降の株価パフォーマンスはNYダウ平均を上回るものが多い。農業向けの干ばつ対策のほか半導体製造など工業用でも水供給・水処理企業の技術への期待が高まろう。
水関連の銘柄は「沸騰」か?〜「安全な水とトイレ」はSGDsの目標一つ
- 暗号資産でイーサリアムがシェアを拡大中だ。イーサリアムは「所有証明付き・偽造不可なデジタルデータ」を意味する非代替性トークン(NFT:ノン・ファンジブル・トークン)を発行するブロックチェーン(正確な取引履歴維持の分散型台帳)のプラットフォームとして、ビットコインには無い機能を有している。2021年初以降の価格上昇率ではビットコインを上回る。
このようなNFTの技術を活用して、中には数億円の価格が付くデジタルアート作品も登場している。アニメや漫画のキャラクターなどのIP(知的財産)はデジタルアート作品と相性が良いことから、イーサリアムの価格と、日本の東映アニメーションのようにアニメ・漫画のIPを数多く保有する企業の株価が連動する傾向が見られ始めている。
暗号資産イーサリアムとNFT〜アニメ・漫画のIPがデジタル資産化で流通
- 工場・工事用の間接資材のネット通販を営む日本のMonotaRO(3064)の親会社は、北米で業者を対象に作業用資材および関連情報の販売、メンテナンス、修理を手掛ける資材メーカー・オンライン販売のWWグレンジャー(GWW)であり、2020年まで48年連増配中。法人向けに特化したオンラインショップとしてMonotaROのほか、欧州のZoroがある。
パワー半導体のサンケン電気(6707)の米半導体子会社アレグロ・マイクロシステムズ(ALGM)は昨年10月に米ナスダック市場に上場し、今年9/28終値の時価総額は62.6億ドルと、親会社の約4.5倍に上る。電気自動車(EV)や自動運転システムの需要拡大が期待された株価とはいえ、企業統治上、親会社の時価総額が小さ過ぎる点には課題が残ろう。
日米を跨ぐ親子上場企業〜MonotaRO米親会社とサンケン電気米子会社
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8月の米消費者物価指数が前年同月比5.3%上昇と13年ぶり高水準だった7月(同5.4%上昇)に続き高い水準。消費者の購買力低下への影響が懸念されたなか、9/16発表の8月の米小売売上高は前月比0.7%上昇。その一方、ホームセンターの小売りチェーンの業績に影響する住宅関連でも、9/20発表の9月のNAHB(全米ホームビルダー協会)住宅市場指数が1年1ヵ月ぶりの低水準だった8月から1ポイント上昇に76にとどまった。
5-7月決算では小売最大手ウォルマート(WMT)が通年の既存店売上高予想を引き上げたが、ディスカウント大手ターゲット(TGT)はコロナ禍特需の鈍化の可能性を示唆した。ホームセンター大手のホーム・デポ(HD)は国内既存店売上高の伸びが2年ぶりに市場予想を下回った。
米大手小売・ホームセンター企業〜主要経済統計の外部環境は悪化傾向
- アフガニスタンのイスラム主義組織タリバンが9/7、暫定政権の組閣を発表。米国がテロ組織に指定する組織の幹部が閣僚入りするなど、米国とタリバン側との協力が難しい面が残った。タリバンが属するハナフィー派はスンナ派の一分派であり、シーア派との妥協を認めず、聖者崇拝の禁止のほか娯楽を否定するという厳格なもの。タリバンも1996-2001年まではコーランに記された原理原則を国民に強制して女性の権利を制限していたことから、その繰り返しが懸念されている。
アフガニスタンは大国からの干渉とイスラム勢力の独立を巡る歴史の繰り返しだった。タリバン政権が国際社会と友好関係を築けるかどうか次第で、テロのリスクなどを通じて金融市場の不透明感を強める可能性もあり、要注意だろう。
混迷を深めるアフガン情勢〜大国からの干渉とイスラム勢力独立の歴史
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