2017/03/22
提供:三菱UFJ国際投信
「投資環境ウィークリー」3月21日号より抜粋
先週の米国FOMC(連邦公開市場委員会)は米国景気・雇用の安定を強調も、年内利上げは3回との見方を維持、利上げ加速に身構えていた金融市場ですが、米株高(+米長期金利低下・米ドル安)で反応するなどリスク選好優勢となりました。
仮にFOMCが利上げを急ぎ、米金利上昇・米ドル高が速まれば、新興国からの資金流出や資源安を誘発、世界経済の回復機運に水を差しかねません。金融市場はリスク回避色が増し米国経済にも悪影響を及ぼすでしょう。米国財政政策を巡る議会審議や仏大統領選挙などもリスク許容度を動かす材料として注目されますが、FOMCが市場を驚かせることなく利上げを続けられるかが最大の焦点と考えます。
◆日本:春闘では、大手企業のベア(基本給底上げ分)が軒並み前年を下回るなど内需回復への楽観論は強まりにくい状況です。最近の株式市場は、内需関連の多い中小型株の好調が目立ちましたが、円高が一服し、22日の貿易統計(2月)から輸出回復基調が確認されれば、徐々に大型株が盛り返す展開も想定されます。
◆米国:3月の利上げ観測が急速に強まった一因に、本来利上げに慎重なハト派も利上げに前向きな姿勢を示した点があります。早期利上げの可能性を探る上で、23日のイエレンFRB(連邦準備理事会)議長に加え、ハト派かつFOMC投票権を持つカシュカリ・ミネアポリス連銀総裁(利上げに唯一反対)の講演に注目です。
◆ユーロ圏:ECB(欧州中銀)の金融緩和縮小観測やトランプ米大統領のユーロ安けん制などを背景に、ユーロ相場は対米ドルでじり高基調にあります。混戦模様の仏大統領選は相場の重石となりそうですが、23日の消費者信頼感指数、24日の製造業・サービス業PMI(すべて3月)が良好なら相場の下支えとなるでしょう。
◆オーストラリア(豪):直近10-12月期の住宅価格指数が3四半期連続で上昇、1月の投資住宅ローン許可件数が急増と、21日の金融政策決定会合(3月7日)議事録でも懸念された住宅市況の一部過熱を裏付けました。足元の原油安は豪ドルなど資源国通貨に逆風も、追加利下げ観測の後退が豪ドル高材料となるでしょう。
◆ブラジル:今年の穀物生産が記録的豊作となり食品価格下落を予想、 22日の消費者物価速報(IPCA-15:当月15日までの1ヵ月間集計、3月)を含め、インフレ率鈍化は続く見込みです。次回4月COPOM(金融政策委員会)での利下げ幅拡大(0.75→1.0%)観測が台頭、景気回復期待が同国への資金流入を促すと考えます。
◆原油:米国の原油増産や在庫高止まり、ロシアなど一部産油国の減産目標未達などに伴う需給悪化懸念が原油安の背景です。ただし、産油国は25・26日のOPEC(石油輸出国機構)・非OPEC監視委員会(減産遵守状況を点検)などを通じ、価格安定に向けた協調姿勢を強調、原油価格も早晩落ち着く見通しです。(瀧澤)
今週・来週の主要経済指標と政治スケジュール
3/20(月) |
---|
(米)エバンス・シカゴ連銀総裁 講演 |
3/21(火) |
(米)ジョージ・カンザスシティー連銀総裁 講演 |
3/22(水) |
(日)日銀金融政策決定会合議事要旨 |
3/23(木) |
(米)2月 新築住宅販売件数(年率) |
3/24(金) |
(米)2月 耐久財受注 |
3/25(土) |
(他)OPEC(石油輸出国機構)・非OPEC産油国による |
注)上記の日程及び内容は変更される可能性があります。
当資料に関してご留意頂きたい事項
- 当資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたもので、投資勧誘を目的としたものではありません。投資の最終決定はお客さまご自身の判断でなさるようお願いいたします。
- 当資料に示す意見等は、特に断りのない限り当資料作成日現在の三菱UFJ国際投信経済調査部の見解です。また、三菱UFJ国際投信が設定・運用するファンドにおける投資判断がこれらの見解に基づくものとは限りません。
- 当資料に示されたコメント等は、当資料作成日現在の見解であり、事前の連絡なしに変更されることがあります。
- 本資料は当社が信頼できると判断したデータにより作成しましたが、その正確性、完全性等について保証・約束するものではありません。