2017/04/18
提供:三菱UFJ国際投信
「投資環境ウィークリー」4月17日号より抜粋
先週は、週末の復活祭(イースター)休暇を控えて市場の出来高が低下する中で、地政学リスクが意識され、日米独で株価が下落し10年債利回りは低下、為替市場では円が対ドルで2.3%上昇しドル円相場は約5ヵ月ぶりに108円台を記録しました。先々週7日、米国は化学兵器の使用が疑われるシリアのアサド政権軍の基地を空爆し、同国を巡る米露対立が先鋭化。8日には米原子力空母が豪州近海より北上を開始したことが明らかとなり、挑発行為を繰り返す北朝鮮への軍事行動の憶測を招きました。先週13日には米軍がアフガニスタンの過激派拠点に強力な非核爆弾を投下。米大統領の迅速で予測不能な行動が市場の疑心暗鬼を招いています。
もっとも、NYダウと独DAX®の下落率はともに▲1.0%で、円高の影響を受けた日経平均も▲1.8%、複数の新興国通貨が対米ドルで上昇するなど(南ア:+2.4%、ロシア:+1.6%、メキシコ:+0.8%)、本格的なリスク回避相場とはなりませんでした。
先週12日、米大統領は「ドルは強すぎる」、「低い金利が好ましい」などと発言し、対円でのドル安が加速。また、中国は「為替操作国ではない」と今月公表の半期為替報告書での操作国指名を否定し、為替・貿易政策を巡る米中対立の懸念を和らげました。さらに、イエレンFRB議長を尊敬していると述べ、同議長の再任の可能性を否定せず。軍事面では予測不能な同大統領ですが、側近の交代などを契機に、より慎重で伝統的な経済政策にシフトしつつある可能性も指摘されます。
今週も、地政学リスクが意識されるでしょう。仏大統領選挙は左派候補の躍進等に伴って混迷しており、来週23日の第1回投票に向けて市場の変動性が増す可能性が高いと思われます。今週も株価の上値はやや重く、米独の長期金利も大きく反発はせず、為替市場では円が対ドルでじり高となる展開が予想されます。
◆日本:18日の日米経済対話にムニューシン米財務長官は不参加。為替が討議される可能性は低く、通商政策についても大きな動きはないと予想されます。
◆ブラジル:中央銀行は先週12日に政策金利を12.25%から11.25%に引下げ。5月以降も1%ポイントの利下げ幅を保つのか、17日の同会合議事録における議論に注目。市場参加者は、今年末に政策金利が8.5%まで低下すると予想しています。
◆中国:17日のGDP(1-3月期)は前年比+6.9%と前期の+6.8%より加速するなど堅調。インフラ投資と不動産投資がけん引役。もっとも、地方政府による不動産市場の引締策で不動産投資は減速し、成長率も今後緩やかに鈍化するとみられます。
◆インドネシア:19日のジャカルタ州知事選挙(決選投票)では、現職のバスキ知事(通称アホック)とアニス元教育相が対峙。ジョコ大統領が同知事であった際に副知事であったアホック氏が野党に支持されるアニス氏に敗れた場合、2019年の大統領選挙を睨み政局の流動化も。この場合、野党による政権への敵対姿勢や連立与党の離反、ジャカルタのインフラ建設の遅延などにも要注意か。(入村)
今週・来週の主要経済指標と政治スケジュール
4/17(月) |
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(日)黒田日銀総裁 あいさつ |
4/18(火) |
(日)日米経済対話(初会合) |
4/19(水) |
(日)3月 訪日外客数(推計値) |
4/20(木) |
(日)3月 貿易収支(通関ベース、季調値) |
4/21(金) |
(米)カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁 講演 |
4/23(日) |
(仏)大統領選挙(第1回投票) |
注)上記の日程及び内容は変更される可能性があります。
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