2017/05/23
提供:三菱UFJ国際投信
「投資環境ウィークリー」5月22日号より抜粋
世界経済は緩やかに拡大、米国金融緩和の正常化も慎重に行われ、投資環境は良好です。ただし、韓国パク・クネ前大統領の弾劾に続き、ベネズエラ政情不安、欧州政治の揺らぎ、トランプ米大統領のロシア疑惑、ブラジル大統領の汚職疑惑など国際政治に不透明感が強まっています。今週の焦点は、23日の米国税制改革公聴会と予算教書、24日のFOMC(連邦公開市場委員会)議事録、コミー前FBI長官の公聴会証言(下院24日迄を要請、上院30日以降)、25日のOPEC総会です。
◆米国:昨年の大統領選等にロシア政府が関与していた疑惑を捜査する特別検察官が任命され、今後のコミー前FBI長官証言でトランプ大統領による捜査妨害などの確証が得られれば、憲法二条四項に沿って大統領弾劾の可能性も浮上します。しかし弾劾には、下院出席議員の過半数で可決、上院で最高裁主席判事が議長となり弾劾審議のうえ上院出席議員の三分の二以上で罷免となるので、現段階では現実味は乏しいでしょう。ただ問題は、税制改革公聴会や予算教書が発表される一方、オバマケア修正法案の上院承認・減税を含む税制改革法案・インフラ投資法案の成立が一段と遅れ、来年の景気刺激期待が一段と後退する恐れがあります。
6月13-14日FOMCの+0.25%利上げは確実視されるものの、足元の政治不安で株安が進行した場合は見送る可能性も浮上しましょう。FOMC議事録からは、FRB保有資産の再投資停止による資産圧縮の時期と手法に関する議論が注目されます。
◆ブラジル:地元グロボ紙が先週17日、既に起訴されたクーニャ前下院議員が司法取引に応じないようにするため、食肉企業大手が同議員に口止め料を払い続けるようテメル大統領が要請していたと報道。証拠とされる録音記録が検察庁に提出されており、翌18日のブラジル株式・債券・通貨は急落しました。憲法改正が必要となる直接選挙ではなく、議会の間接選挙で弾劾が判断される見通しですが、テメル大統領自身が疑惑を否定しているうえ、下院三分の二かつ最高裁の有罪判決で弾劾となるため、依然ハードルは高いと思われます。それよりも、市場が期待する財政再建や年金改革法案などの審議が空転するリスクに注意が必要です。
◆欧州:24日のドラギECB総裁講演に注目です。ECBは、経済の下振れリスクが縮小しインフレ率も目標に沿って動き始めるなか、金融緩和の正常化に関する議論を進める時期にあると判断しているようです。市場とのコミュニケーションは非常に慎重かつ緩やかに実施すべきとしていますが、おそらく6月8日のECB理事会でリスクバランスを均衡に近づけるようなフォワード・ガイダンスの変更を行う見通しです。そして、来年から予想される利上げや資産購入額の縮小(テーパリング)などの方向性が、今年秋口頃の会合で示されると思われます。
◆OPEC総会:25日のOPEC総会では、今年1-6月に日量120万バレル減産、日量3,250万バレルと定めた生産枠合意を9ヵ月延長する可能性があります。 (荒武)
今週・来週の主要経済指標と政治スケジュール
5/22(月) |
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(日)4月 貿易統計(通関ベース、季調値) |
5/23(火) |
(米)ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁 講演 |
5/24(水) |
(日)黒田日銀総裁 あいさつ |
5/25(木) |
(日)桜井日銀審議委員 講演 |
5/26(金) |
(日)4月 消費者物価(総務省、前年比) |
注)上記の日程及び内容は変更される可能性があります。
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