2017/08/22
提供:三菱UFJ国際投信
「投資環境ウィークリー」8月21日号より抜粋
最注目は、24-26日のジャクソンホール会議(毎夏開催の経済シンポジウム)です。金融市場は米欧の金融政策について、FRB(連邦準備理事会)に対しては利上げ継続や保有資産圧縮の年内開始など十分織り込んでいるものの、ECB(欧州中銀)に対しては計りかねている節もあります。金融引き締め本格化とトランプ政権迷走で米国のけん引力にかげりが生じ、世界経済における欧州の重要性が増すなか、今会議に3年ぶり参加予定のドラギECB総裁の発言が注目されそうです。
◆日本:日経平均株価は6月20日終値の20,230円をピークに上値が重くなり、足元は2万円割れが定着しつつあります。ドル円相場は春頃から108-114円のレンジで推移、国内大企業想定の108円台は死守も、米国株安や北朝鮮問題などに伴うリスク回避の円高には要注意です。指標では25日の消費者物価(7月)で、日銀が重視する生鮮・エネルギー除く総合が再び前年比マイナスに転落するか注目です。
◆米国:8月に入り公表された景気指標は当初、ISM指数を始め予想比下振れとなるものが多い印象でしたが、先週は小売売上高やニューヨーク連銀指数などで上振れが続きました。景気の足腰の強さが確認されるなか、市場で見方が割れる年内の追加利上げ(翌日物金利スワップ(OIS)で見た確率は38%)の可能性を計る上で、ジャクソンホール会議における25日のイエレンFRB議長講演に注目です。
◆ユーロ圏:8月に入りユーロ高が一服、主因は来年の利上げ観測後退(OISで見た預金金利(現行▲0.4%)の引き上げ確率は、来年6月が今年7月上旬:70%弱→直近:26%、来年12月が同90%弱→61%に低下)ですが、前述のドラギECB総裁講演次第で波乱もありえます。また、23日の製造業PMI(8月)が一段と下振れた場合、春先以降のユーロ急騰がドイツを中心とした製造業に悪影響を及ぼしているとの懸念から、5月以降頭打ち感強まる欧州株式に逆風となる可能性もあります。
◆オーストラリア(豪):豪ドルは年初から7月末まで対米ドルで+11.0%と強含むも、8月は一転▲0.9%と軟調です。豪中銀が再び豪ドル高への警戒を強めたことが主因ですが、冴えない統計内容(消費者心理低下や賃金上昇率低迷)も重石となっています。早期利上げ期待(2018年5月の確率は7月19日:63%→直近:33%に低下)が強まらない限り、1豪ドル=0.8米ドルは容易に突破できないと考えます。
◆ブラジル:2日の下院本会議で、検察による汚職告発受理(263対227で否決)を免れたテメル大統領ですが、財政改革の本丸である年金制度改革実現には同院で3/5(308議席)以上の賛成が必須のため、政府が目指す10月末成立に向け視界は不良です。先週、2017・2018年の財政赤字削減目標を下方修正し市場の目が厳しさを増すなか、通貨レアルは神経質な相場を強いられる見込みです。(瀧澤)
今週・来週の主要経済指標と政治スケジュール
8/21(月) |
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(他)OPECとOPEC非加盟国 |
8/22(火) |
(独)8月 ZEW景況感指数 |
8/23(水) |
(米)カプラン・ダラス連銀総裁 講演 |
8/24(木) |
(米)7月 中古住宅販売件数(年率) |
8/25(金) |
(日)7月 消費者物価(総務省、前年比) |
注)上記の日程及び内容は変更される可能性があります。
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