2017/11/14
提供:三菱UFJ国際投信
「投資環境ウィークリー」11月13日号より抜粋
先週の金融市場では週前半は先々週と同様に世界的に株価が堅調に上昇したものの、週後半には米税制改革を巡る不透明感から株価が調整。前週比は独DAX®が下落、NYダウが小幅安、日経平均は上昇とまちまちな動きとなりました。
先々週には米大統領がFRBの次期議長にパウエル理事を指名。市場の関心は、米税制改革に関する議会動向にシフトしました。先々週2日に下院共和党案が公表された後、先週9日に下院歳入委員会が修正案を可決。今週は下院本会議での審議と採決が行われる見込みであり、市場の予想以上の早さでの進展と言えます。一方、先週9日には上院財政委員会も独自の税制改革案の概要を公表。しかし、同案には法人減税の1年先送り(2019年度より適用)などが含まれており、失望売りから米株価は大きく下落しました。今後は上下院がそれぞれの改革案を本会議で採決、多くの相違点を持つ両案を両院協議会で調整し、再度両院の本会議で採決を行うことが必要。感謝祭や年末年始の休会等から議会の審議日数も限られており、9月に延長された暫定予算の期日も12月8日に迫ります。複雑な利害調整を要する税制改革法案の年内成立は極めて難易度の高い作業となるでしょう。
先週は原油価格の上昇も目立ちました。NY原油先物は先週8日に一時1バレル57.92ドルと2年4ヵ月ぶりの水準まで上昇。今月30日のOPEC総会における減産延長が合意されるとの期待に加え、地政学リスクや政治リスクも意識されました。
イラク北部のクルド自治区やナイジェリアの情勢は依然不安定であり、ベネズエラでは政府の債務不履行に伴う石油関連資産の差押えの懸念も浮上。OPECの盟主サウジアラビアでは汚職関与等を理由に当局が王族らを一斉拘束、現皇太子の権力基盤強化に向けた動きとの見方も広まり、政情不安の連想を招きました。
世界的な景気拡大と依然緩和的な主要先進国の金融緩和環境を背景に今後も緩やかなリスク選好が継続するとみられるものの、今週の市場は引き続き米税制改革をめぐる議会動向に左右され、相対的に変動の大きいものとなるでしょう。
◆米国:15日の消費者物価(10月)は、ガソリン価格低下の影響で前年比+2.0%と前月の+2.2%を下回る見込みです。ハリケーン来襲後の自動車販売の急伸などを受けて、コア物価の前月比は+0.2%と前月の+0.1%を上回ると予想されます。
◆日本:15日の実質GDP速報(7-9月期)は、前期比年率+1.5%(前期:+2.5%)と7期連続のプラス成長を予想。天候不順による個人消費の落込みを輸出がカバーか。
◆中国:14日月次経済統計(10月)に注目。冬季の環境規制強化の影響で鉱工業生産の前年比は+6.2%と前月の+6.6%より低下するでしょう。10月の製造業PMI(政府)の生産指数は53.4(前月:54.7)、新規受注も52.9(同:54.8)と軟化。需要の弱さも目立ちます。都市部固定資本投資(年初来)も同+7.3%と前月の+7.5%より鈍化する一方、小売売上高は同+10.5%と前月の+10.3%より加速する見込みです。(入村)
今週・来週の主要経済指標と政治スケジュール
11/13(月) |
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(日)黒田日銀総裁 講演 |
11/14(火) |
(米)ブラード・セントルイス連銀総裁 講演 |
11/15(水) |
(日)7-9月期 実質GDP(1次速報、前期比年率) |
11/16(木) |
(米)ブレイナードFRB理事 講演 |
11/17(金) |
(米)ウィリアムズ・サンフランシスコ連銀総裁 記者会見 |
注)上記の日程及び内容は変更される可能性があります。
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