2018/02/14
提供:三菱UFJ国際投信
「投資環境ウィークリー」2月13日号より抜粋
2月の金融市場は株安・金利上昇・米ドル高(+円高)の流れです。2017年からの「景気良好もインフレ加速せず金融緩和修正は慎重に進み、金利上昇鈍く株高」という理想的なリスク選好相場に変調の兆しも見られます。一見、2016年の米大統領選後、いわゆるトランプラリー時の米金利・米ドル急騰にも似ていますが、①米国でインフレ期待以上に長期金利が上昇、②米国株安、の2点で異なります。
①は景気好調を反映した動きともいえますが、財政悪化懸念が加味されている可能性があり、景気を冷やす悪性の金利上昇との見方も浮上しています。②は市場のリスク許容度を左右する米国株の調整が長引けば、世界的なリスク回避(円全面高)を誘発しかねません。この悪循環を断ち切るべく、政策当局の冷静な対応が望まれますが、トランプ大統領が常にトランプ大統領である以上、パウエルFRB(連邦準備理事会)新議長の手腕に頼らざるを得ない環境が続くとみます。
◆日本:14日の実質GDP(2017年10-12月期、1次速報)は前期比年率+1.0%前後が予想されます。同+2%台となった前2四半期に比べ減速となりますが、個人消費(台風など悪天候で落ち込んだ反動も含む)や設備投資、輸出と内外需バランスの取れた回復を示す見込みです。ただし目先は、物価上昇(直近12月の消費者物価総合は前年比+1.0%まで上昇)による個人消費への影響がやや懸念されます。
◆米国:株式市場が金利上昇を嫌気する局面に移るなか、14日の小売売上高(1月)、15日の鉱工業生産(1月)、ニューヨーク・フィラデルフィア両連銀製造業景気指数(2月)などの景気指標が、金利上昇下でも安定を保っているか注目です。他方、株価と連動性の高い16日のミシガン大学消費者信頼感指数(2月速報)の下振れリスクには要注意です。また、14日の消費者物価、15日の生産者物価(ともに1月)が予想比上振れとなれば金利上昇圧力が強まる懸念があります。
◆ユーロ圏:先週7日、ドイツでメルケル首相所属のキリスト教民主・社会同盟(CDU/CSU)と社会民主党(SPD)の連立協議が合意。SPDの党員投票(3月に結果判明か)の承認後に正式成立となりますが、SPDが支持率を落とすなか反対票が増える懸念もあります。同首相は第1党でも過半数を持たない少数与党政権樹立に否定的なため、連立協議決裂なら再選挙となり市場の動揺を誘うとみます。
◆ブラジル:中銀は先週で利下げ(2016年10月に開始し累計▲7.5%)は終了との見方を示すも、物価動向にも影響する財政再建の行方に気を揉んでいる節もあります。ただし、19日の年金改革法案採決(下院)では可決困難との見方が大勢です。10月の大統領選挙は、支持率トップのルラ元大統領が有罪判決で出馬が絶望的となり大混戦、同改革は次期政権以降となる公算が高まっています。(瀧澤)
今週・来週の主要経済指標と政治スケジュール
2/12(月) |
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(米)2019財政年度 予算教書公表 |
2/13(火) |
(米)メスター・クリーブランド連銀総裁 講演 |
2/14(水) |
(日)10-12月期 実質GDP(1次速報、前期比年率) |
2/15(木) |
(米)1月 生産者物価(最終需要、前月比) |
2/16(金) |
(米)1月 住宅着工・許可件数(着工、年率) |
注)上記の日程及び内容は変更される可能性があります。
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