最新の豪ドルの相場状況
前回(6月3日)のRBA理事会ではややハト派に戻ったか?
6月3日に開催された前回のRBA理事会では政策金利は維持されました。声明文はオーストラリアの最大の資源輸出先である中国の成長について、「2014年初めにやや減速したが、政策当局者の目標におおむね沿った水準を維持している」と記しています。また、足元の為替相場について、概ねこれまでの表現が維持されたものの、豪ドル相場の下落が成長を支援する上で、「効果は低下している」と言及しています。2月4日以降、豪ドル高へのRBAの見方が徐々に変化してきている事を窺う事ができますが、次回以降の理事会で、相場に対する表現に更なる変化が見られた場合、豪ドル相場に変化が起こる可能性もあります。
鉄鉱石の輸出は堅調
オーストラリアが強く影響を受けることが多い中国の景気動向ですが、JETROの調査では2013年10月末時点でオーストラリアの総輸出金額の29.5%を占め、2位の日本は19.3%です。輸出品目別で総輸出金額に占める割合は、「鉱物・燃料」が63.2%、「鉄鉱石」に限っても22.0%を占めています。今後も中国や鉄鉱石価格の影響を強く受けることが考えられるほか、オーストラリア国内では炭素税廃止法案の議決動向による雇用や鉱工業への影響を注目する事が出来そうです。
RBA理事会の為替相場に対する表現の変化
(出所:ロイター記事を参考に、SBILMで作成)
豪ドル/米ドル 日足
(出所:総合分析チャート)
最新のNZドルの相場状況
6月12日にRBNZ(ニュージーランド準備銀行)金融政策委員会が開催予定
2014年に入り、3月および4月に開催された金融政策委員会で、それぞれ0.25%ずつ2度の利上げを実施しています。委員会の声明は、2014年末から2015年3月のGDP成長見通しが3.5%と予測されたことを受けた良好な経済成長見通しを示しました。震災復興は低い金利と建設セクターにおける高い成長に支えられているとし、ニュージーランド国内の信頼感は家計・ビジネス・投資のセクションで特に高く、雇用意欲も前向きであるとしています。また、住宅価格を中心に総合インフレ率は上昇傾向にあり、この傾向が今後2年間続くと予想すると述べています。
ブルームバーグの調査では、2014年度末までにRBNZは3.50-3.75%まで利上げすると見込んでいる市場参加者が多いようです。次回の委員会は6月12日開催予定で、市場予想ではさらに0.25%利上げを行い、政策金利を3.25%とする事が見込まれています。
クライストチャーチ地震からの復興投資は住宅投資がけん引
震災からの復興関連投資額は、公的部門・民間部門合計で約400億NZドル(約3.4兆円)とされ、GDPの約20%に相当すると試算されています。NZ財務省の試算では、2016年には住宅投資はGDP比で5.9%に達するとの見方も示されています。
物価上昇は人口増加による可能性も
IMFの調査では、1980年から2014年までにニュージーランドの人口は約1.5倍に増加する見通しを示し、移民増加と高い出生率を理由とした人口増加は今後も継続するとしています。労働人口も増加傾向にありますが、失業率はリーマンショック後に記録した7%を超える水準から減少傾向にあり、2014年第1四半期では6.0%となっています。
以上から、ニュージーランドの物価上昇は一時的な震災復興の影響はあるものの、人口増加と需要拡大に伴う健全な物価上昇と考えることも出来そうです。
NZドル/円 日足
(出所:総合分析チャート)