米3月雇用統計 (非農業部門雇用者数前月比/失業率 等) |
発表時間 |
4/3(金)21:30(日本時間) |
前回値 |
+29.5万人 / 5.5% |
事前予想 |
+25.0万人 / 5.5% |
3月6日に発表された2月の米雇用統計では、景気動向を敏感に映す非農業部門雇用者数が+29.5万人となり、市場予想の+23.5万人を大きく上回る結果となった。一方、失業率も5.5%と市場予想の5.6%から0.1ポイント改善し・・・
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前回発表時(3/6)の主要通貨の動きをチャートで振り返る
米ドル/円
- ※出所:FX総合分析チャート 15分足
ユーロ/米ドル
※出所:FX総合分析チャート 15分足
ポンド/米ドル
※出所:FX総合分析チャート 15分足
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雇用統計直前予想レポート
3月6日に発表された2月の米雇用統計では、景気動向を敏感に映す非農業部門雇用者数が+29.5万人となり、市場予想の+23.5万人を大きく上回る結果となった。一方、失業率も5.5%と市場予想の5.6%から0.1ポイント改善し、2008年5月以来6年9ヵ月ぶりの低水準となり、力強い雇用改善が続いていることが示される結果となった。
この結果を受けて、マーケットでは、米FRB(連邦準備制度理事会)による利上げ開始が早まるとの観測も強まり、ドルは主要通貨に対して上昇となり、ドル/円は119.98から121.27まで上昇する動きとなった。ただ、注目されていた賃金は、上昇傾向を維持したものの、前月から伸び幅が縮小となったことや、FRBが重視する指標の一つである労働参加率がやや低下したことから、一部で懸念の残る内容となった。
図:米ドル/円 5分足
※出所:FX総合分析チャート
民間部門雇用者数は+28.8万人、サービス部門は+25.9万人となり、業種別では、観光・娯楽が大きく伸び、教育・健康、一時雇用を含む企業向け専門職、小売りも好調だった。また、政府雇用は+0.7万人(前月+0.2万人)と伸びたものの、建設は+2.9万人(前月+4.9万人)、製造業は+0.8万人(前月+2.1万人)と伸び幅が縮小した。
非農業部門雇用者数は、12ヵ月連続で+20万人を超える伸びとなり、直近の6ヵ月平均は+29.3万人(前月+27.9万人)と前月から大きく伸びたものの、1月の結果が+25.7万人から+23.9万人に下方修正されことで、直近の3ヵ月平均は+28.8万人(前月+33.0万人)と、やや縮小している。一方、失業者数は、前月から-27.4万人と大きく減少し、職に就けない期間が半年以上に及ぶ長期失業者も-9.1万人の270.9万人となり、失業者全体の占め割合が31.1%(前月32.5%)に低下した。
表:統計結果と今回の市場予想
|
3月市場予想 |
2月 |
1月 |
12月 |
11月 |
10月 |
9月 |
8月 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
失業率(%) |
5.5 |
5.5 |
5.7 |
5.6 |
5.8 |
5.7 |
5.9 |
6.1 |
非農業部門雇用者数(万人) |
25.0 |
29.5 |
23.9 |
32.9 |
42.3 |
22.1 |
25.0 |
21.3 |
民間部門雇用者数(万人) |
24.0 |
28.8 |
23.7 |
31.9 |
41.4 |
21.8 |
23.5 |
20.9 |
製造業部門雇用者数(万人) |
1.0 |
0.8 |
2.1 |
1.9 |
4.5 |
2.3 |
0.9 |
1.4 |
※出所:SBIリクイディティ・マーケット作成
※市場予想は3月31日現在の予想平均値
直近3ヵ月の雇用者数の伸びがやや縮小したものの、季節要因や天候要因で一時的に雇用者数の伸びに影響が出ることは想定内であり、むしろ、長期で見れば増加傾向が続いていることから、雇用者数の伸びに関しては、懸念される要素はほぼ見当たらない。また、失業率も、景気回復の兆しを受けて、職探しを諦めていた人たちが職探しを再開する動きも見られ、一時的に失業者数が増加するケースも多くなっている。そのため、単月ベースで失業率が悪化する可能性もある程度想定できることから、これらの数値が多少悪化しても大きな問題とはならないだろう。
このことから、雇用者数の伸びは、安定的な水準とされる+20万人を下回らなければ大きな問題とはならず、+20万人台後半の伸びとなるようなら、前回同様の動きとなる可能性も期待できるだろう。ただ、最近では、利上げ期待の高低が相場に影響しており、低迷が続く賃金の伸びが弱いことや、FRBが重視する指標の一つである労働参加率の伸びが低いことの方が懸念されている。特に、賃金の伸びが弱いことから、インフレ圧力も低く、FRBが利上げの条件としているインフレ見通しにも影響している。そのため、賃金の上昇がポイントとなっており、利上げ開始のタイミングを予測する上で特に重要視されている。
米雇用統計 非農業部門雇用者数月次推移(米労働省発表)
- ※乖離=実績値-予想値
- ※左軸:実績値、予想値 右軸:乖離
- ※Market Win24のデータを元にSBI証券が作成