米3月雇用統計 (非農業部門雇用者数前月比/失業率 等) |
発表時間: |
4/7(金)21:30(日本時間)
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前回値: |
+23.5万人 / 4.7% |
事前予想: |
+18.0万人 / 4.7% |
前回 結果のふり返り
3/10(金)に発表された2月の米雇用統計では、景気動向を敏感に映す非農業部門雇用者数が前月から+23.5万人となり、市場予想(+20.0万人)を上回り、安定的な伸びとされる+20万人を2ヵ月連続で上回りました。また、失業率も0.1ポイント低下の4.7%に改善したことで、FRBが示す利上げの条件が整ったとの見方が広がりました。
ただ、前月比の賃金が伸び悩んだことや、3/8(水)に発表されたADP雇用統計が大幅増となったことで雇用統計結果にも予想以上に期待が高まっていただけに、期待を上回るほどの内容ではなかったとの見方から、ドルは軟調な動きとなりました。
また、翌週に控えていたFOMCでの利上げ予想確率がほぼ100%に達しており、伸び代が少なかったことに加え、原油価格が大きく下落したこと、また米債券利回りが低下したことも加わり、ドル/円は軟調な動きが続きました。
前回 雇用統計発表時のドル/円(10分足)
- ※出所:FX総合分析チャート
今回の予想と注目ポイントを確認!
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10月 |
11月 |
12月 |
1月 |
2月 |
3月市場予想 |
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非農業部門雇用者数(万人) |
12.4 |
16.4 |
15.5 |
23.8 |
23.5 |
18.0 |
失業率(%) |
4.8 |
4.6 |
4.7 |
4.8 |
4.7 |
4.7 |
時間給賃金 前月比(%) |
0.3 |
0.0 |
0.3 |
0.2 |
0.2 |
0.2 |
時間給賃金 前年比(%) |
2.7 |
2.7 |
2.9 |
2.6 |
2.8 |
2.7 |
労働参加率(%) |
62.8 |
62.9 |
62.7 |
62.9 |
63.0 |
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※出所:SBIリクイディティ・マーケット
※市場予想は4/7現在の予想平均値
今回の雇用統計注目ポイントは?
【1】 就業者数の鈍化が予想される中、結果を受けたFRBの金融政策に対する影響
【2】 時間給賃金の結果を受けて、6月FOMC での利上げ観測が高まるか
【3】 NY連銀総裁の発言『景気は過熱しておらず利上げを急ぐ必要なし』を覆す結果となるか
【4】 ドル円 110円割れ回避を確認できるか
今回発表される米3月雇用統計が、6月FOMCの追加利上げ観測に向けて今後4月と5月の雇用統計発表にも期待を繋ぐ内容になるのか注目です。
1月、2月の暖冬の影響から、建設業の就業者数(1月:4万人増、2月:2007年3月以来の5.8万人増)が大きく伸びたほか、製造業分野の就業者数(2月:2013年8月以来の2.8万人増)も予想を上回る増加となりました。
この暖冬の影響が剥落する中で、2月の住宅着工件数は年率換算128.8万件と前月(124.6万件)を上回ったほか、2月の新築住宅販売も年率換算59.2万件(前月:55.5万件)と好調だったことから、建設業の就業者数の堅調地合いが続くものと期待されます。
さらに3月のFOMCでは0.25%利上げされたにもかかわらず、米10年債利回りは3/13の2.60%台のピークから先週末には2.40%を下回る水準まで低下しており、住宅ローン金利についても大幅に上昇していないことが推察され、住宅建設の好調持続が建設関連の雇用増に貢献していると考えられます。
米住宅関連指標(2016/10〜2017/02)
- ※出所:米商務省
失業率については、完全雇用と推定される4.75%に達している(2月結果は4.70%)ことなどから、今後FRBがより注目するのは賃金の伸びと物価の上昇と考えられています。
その中で、FRBが金融政策の目安とする個人消費支出(PCE)価格指数が、FRBの目標とする2%を先週上回った(2.1%)ことで、利上げペースの加速も意識されています。
そして、今回の米雇用統計での賃金の伸びが、FRBの追加利上げ回数を引き上げるほどの高い結果となるようなら、年3-4回の利上げ期待が高まる可能性も考えられます。