米2月雇用統計 (非農業部門雇用者数前月比/失業率 等) |
発表時間: |
3/8(金)22:30(日本時間)
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前回値: |
+30.4万人 / 4.0% |
事前予想: |
+18.5万人 / 3.8% |
3/8(金)発表の米雇用統計 予想を確認!
9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 1月 | 2月予想 | |
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非農業部門 雇用者数(万人) | 10.8 | 27.7 | 19.6 | 22.2 | 30.4 | 18.5 |
失業率(%) | 3.7 | 3.8 | 3.7 | 3.9 | 4.0 | 3.8 |
時間給賃金 前月比(%) | 0.3 | 0.2 | 0.3 | 0.4 | 0.1 | 0.3 |
時間給賃金 前年比(%) | 3.0 | 3.3 | 3.3 | 3.3 | 3.2 | 3.3 |
- ※出所:SBIリクイディティ・マーケット
※市場予想は3/5現在の予想平均値
米GDP 前期比(%)
- ※出所:US Bureau of Economic Analysis
減税効果が徐々に剥落・・・
2/14に発表された米12月小売売上高は、前月比-1.2%と9年3ヵ月ぶりの下落率を記録しました。
一方、2/28に発表された米10-12月期GDP速報値は、前期比+2.6%と前期(+3.4%)から減速しましたが、市場予想(+2.2%)を上回り、米国経済の堅調さが確認できました。
内訳をみると、個人消費は+2.8%(前期:+3.5%)と減速した一方、企業の設備投資は+6.2%と前期(+2.5%)から大きく改善、住宅投資(前期比-3.5%)をカバーする結果となりました。また、2018年の米年間の成長率は、+2.9%と2015年以来3年ぶりの高成長に達しました。
こうした米国経済の堅調を支えているのは、トランプ政権による大型減税を背景にした企業の設備投資と堅調な労働市場が牽引したと言えますが、今年は減税効果が徐々に剥落しています。
先のメキシコ国境を巡る議会共和党と民主党との対立による政府系機関の長期化に至った経緯を見ても、予算協議が進展するのか懸念される状況です。
3/1に発表された米1月個人所得が、前月比-0.1%と3年2ヵ月ぶりのマイナスへ転じたほか、米2月ISM製造業景況指数も昨年12月(54.3)を下回る54.2と、2年3ヵ月ぶりの低水準となりました。また、内訳の雇用指数も、前月(55.5)から2017年4月以来の低水準となる52.3へ低下しました。
1月は政府系機関の閉鎖や、寒波の影響から個人消費に影響を及ぼした可能性があるだけに、住宅関連指標の低迷も含めて一時的な減速につながったかもしれません。
少なくとも、労働市場の改善が続くことが確認されれば、景気減速は一時的に収まる一方、労働市場にまで減速の影響が懸念されることになれば、2019年の成長率見通しが民間調査機関による年率2.5%成長、もしくはFRBの予想する2.3%を下回ることにつながりかねないだけに、3/8発表の米2月雇用統計の結果が注目されます。
非農業部門雇用者数(万人)の推移
- ※出所:米労働省
米時間給賃金 前年比(%) 、 前月比(%)
- ※出所:米労働省
失業率(%)の推移
- ※出所:米労働省
切り札は朝鮮戦争の終結宣言!?
来年の大統領選再選に向けて、トランプ大統領は、米国経済の成長持続、NY株式市場の上昇を最優先事項としている様子です。財政面からの支援材料が限られる中、米中通商交渉への対応でも制裁関税引き上げを棚上げ、3月半ばにも習近平国家主席を別荘に招き、通商交渉の合意文書に署名するとみられています。
先週の米朝首脳会談では、平壌の連絡事務所設置をはじめ、具体的な進展は見られず、北朝鮮の非核化への合意文書の署名も見送られる事態となりました。
しかし、米朝の交渉は今後も続けることを確認しました。トランプ大統領は、大統領選再選に向けて、今後の進捗状況を見守りながら、朝鮮戦争の終結宣言を切り札として残す形になったのかもしれません。
さらに、米中通商合意によってNYダウが昨年10/3の史上最高値(26,951ドル)を更新すれば、リスク選好の動きが一段と進む可能性もあるだけに、今後の米中通商交渉の行方が引き続き注目されます。