政策金利見通しは見方が割れる
6/18のECBフォーラムで、ドラギECB総裁は「さらなる利下げは、ECBの政策手段の一部」「見通しが改善しなければ、追加緩和が必要になる」との認識を示しました。
また6/18-19のFOMCでは、成長率見通しは3月時点から上方修正された一方、物価見通しは3月時点から下方修正されるなど、強弱交錯の状況となりました。
さらに、FOMCメンバーが示した政策金利見通し(ドットチャート)では、過半数のメンバーが年内の利下げはないと予想した一方、8名のメンバーが年内の利下げ、さらに7名のメンバーが年2回の利下げを予想するなど、見方が割れていることが示されました。
- ※出所:SBIリクイディティ・マーケット
明確な対抗策が見えない日銀
FOMC声明文では、「今後の情報(経済指標や貿易問題などの政治的動向も含め)が米国経済の先行き見通しに及ぼす影響を注視し、景気拡大を維持するために適切な行動をとる」としたほか、前回まで見られた「辛抱強く」との文言が削除されたことも含め、次回7月のFOMCで利下げの用意があると市場は捉えました。
先週の米債券先物市場で10年債利回りが一時2016年11月以来となる2.0%割れへ低下、FF金利先物は次回7/30-31のFOMCの利下げを完全に織り込む水準となりました。
しかし、FRBの利下げの根拠となるのは、あくまでも景気減速に備えるための予防的利下げとの理解であり、明らかに景気後退のテコ入れ策としての本格的な利下げではない点がポイントで、先週一週間のNYダウは2.41%上昇したほか、ナスダックも3.01%上昇しました。
先週末こそ34ドル安と反落したNYダウですが、一時154ドル高の26,907ドルへ上昇し、昨年10/3の終値ベースでの史上最高値(26,828ドル)を上回る場面が見られるなど、堅調な地合いを維持しています。
FOMCを終えた6/20の日銀政策会合では、現状維持を決定しました。黒田日銀総裁は「物価安定に向けた勢いが損なわれる状況になれば、躊躇なく金融緩和を検討する」との認識を示したものの、為替市場では限定的な反応に留まりました。
ECBやFRBの相次ぐ金融緩和に向けた動きの中、日銀が一段のマイナス金利の拡大に動けば銀行の収益に悪影響が及びかねず、日銀が繰り出すことのできる緩和策はFRBに比べインパクトもないだろうという冷ややかな見方が聞かれます。
円高圧力が徐々に高まることに対して明確な対抗策が見えないことも、ドル円の反発が限られた水準にまで留めている一因
となっています。
米製造業PMI サービス業PMI
- ※出所:Markit
重要な意味を持つ米中首脳会談
そうした観点から、6/28-29のG20サミットでの米中首脳会談を通じて、米中通商交渉に進展が確認され、米製造業を中心とした減速懸念に終止符が打たれる期待につながるかが焦点の一つとなりそうです。
FRBの利下げがあくまでも一時的な単発的な利下げに留まるか、来年以降も継続的に利下げが必要な状況に陥るのか、こうした点からも米中首脳会談は大きな意味を持つ重要なイベントとなりそうです。