前営業日トピックス
東京市場が休場となり、アジア市場では材料に乏しい中、米大統領選の世論調査で、トランプ氏とクリントン氏の支持率が拮抗していることから、結果をめぐる不透明感を背景に、投資家のリスク回避の動きが強まり、安全とされる円が買われる動きが優勢となった。円買い一巡後は値を戻す動きとなった。また、ロンドンの高等法院で、英国がEU離脱を正式に通知する前に英下院の承認が必要との判決が出たことを受けて、英ポンドが主要通貨に対して上昇となり、対円で大きく上昇となった。そして、円は対ドルでも軟調な動きとなり、ドル/円も堅調な動きとなった。米国市場では、経済指標が悪化となったものの、雇用統計や大統領選を控えて限定的な動きが続いた。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)米大統領選に関する一部の世論調査で、共和党のトランプ氏が民主党候補のクリントン氏をリードする結果が出たことで、米大統領選挙の結果をめぐる不透明感が引き続き材料視され、安全と見なされる円が買われた。
(2)102円台での値頃感の買い戻しの動きが見られ、ドル円は底固い動きとなった。また、英国のEU離脱を正式に通知する前に、英下院の承認が必要とのロンドンの高等法院の判決を受けて、円売り・英ポンド買いの動きが進み、円は対ドルでも軟調な動きとなった。
(3)米国市場では、週末の米雇用統計や、来週の米大統領選挙の投票を控えて様子見ムードも強まっており、限定的な動きとなった。午後には、プラス圏で推移していた米株価がマイナス圏に下落したことを受けて、円買い戻しの動きも見られた。
本日のトピックス
東京市場では、休み明けでさらに週末であること、また米雇用統計の発表を控えていることから、限定的な動きが予想される。そして、日本の経済指標の発表もなく、新規材料に乏しいことから、株価の動きには注目したい。ただ、米国の大統領選に絡む世論調査の結果などが出る場合には、思惑が交錯する可能性もあることから注意したい。米国市場では、米雇用統計の発表が予定されているが、今週発表された米国の経済指標(特に雇用統計に関連する指標)は、市場予想を下回るケースが続いていることから、米雇用統計の結果に対する懸念も出ており、予想を下回る結果となる場合には、ドルの下振れの可能性も想定しておきたい。
11/4の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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21:30 | 米国 |
10月失業率
労働力人口に占める失業者の割合で16歳以上の男女が調査対象。失業中の場合、就業が可能な状態か、過去4週間以内に求職活動を行ったかどうかで失業者かどうか判断される。
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4.9% | 5.0% |
今年5月には一時4.7%まで改善したものの、その後は上昇傾向が続いている。前回は市場予想を上回り、5ヵ月ぶりの5%台となった。今回は、4%台に改善するのか注目したい。完全雇用に近づいていることから、この近辺の失業率の動きで相場が左右される可能性は低いものの、印象的に4%台には改善しておきたいところ。 | ||||
21:30 | 米国 |
10月非農業部門雇用者数
非農業部門に属する事業者の給与支払い帳簿をもとに集計された雇用者数。農業以外の産業で働く雇用者であり、経営者や自営業者は含まれない。
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17.5万人 | 15.6万人 |
このところ、2ヵ月連続で市場予想を下回る結果となっており、3ヵ月連続で雇用者数の伸びの低下が続いている。今回は、前回から伸び幅が改善すると予想されているが、今週発表された雇用統計に関連する経済指標の悪化が続いたことから、予想を下回る結果となる可能性も考えられる。 |
本日のトレードポイント
※出所:FX総合分析チャート 日足
ドル/円は、一目均衡表の雲の中に入り込み、やや軟調な動きとなっている。そして、基準線を下抜けていることから、一段の下げとなる可能性も考えられる。現在、基準線は103.08に位置しているが、来週週央には104.03まで上昇する。ここを上抜けなければ、下げ継続となる可能性も考えられる。その場合には雲下限ラインが重要な下値ポイントとなる。一方、目先の上値のポイントは、基準線や雲上限ラインとなることから、方向性を見極めたい。
気まぐれ投資コラム
どうなる米雇用統計
前月の米雇用統計では、雇用者数の伸びが予想を下回る結果となったことや、失業率が5ヵ月ぶりに5%台に悪化したことを受けて、ドル売りが優勢となりました。また、週明けからドルが堅調な動きとなったことで、3連休を控えた調整の動きも加わり、統計発表後は軟調な動きが続きました。
今回の米雇用統計は、FOMCや米大統領選挙に挟まれていること、また12月のFOMCの前にあと1回雇用統計の発表が予定されていることから、通常よりやや注目度は低いと考えられます。ただ、結果によっては思惑が交錯する可能性も捨てきれません。今回の非農業部門雇用者数の市場予想は+17.5万人と前月から改善が予想されています。しかし、参考にされる米消費者信頼感指数の雇用指数が前月の+5.3から+2.2に低下、ISM非製造業景況指数の雇用指数が前月の57.2から53.1に低下、ADP雇用統計が前月の20.2万人から14.7万人に低下するなど、軒並み悪化が見られました。そのため、予想を下回る可能性も心配されます。
安定的な雇用の伸びとされる+20万人を上回る結果となる場合には、先日発表された第3四半期の米GDPと共に、12月の利上げの『更なる根拠』となり、利上げ期待が高まる可能性が考えられます。一方、市場予想を下回る結果となる場合(特に+15万人を下回る場合)には、ファーストアクションで下振れの可能性も考えられます。ただ、米大統領選の世論調査の結果が拮抗していることや、12月のFOMCの前にあと1回雇用統計の発表が予定されていることから、結果をそれほど材料視しないという可能性も考えられます。
※出所:FX総合分析チャート 10分足
※出所:SBIリクイディティ・マーケット作成