前営業日トピックス
東京市場では、序盤から小動きの展開が続いた。そして、米国のトランプ次期大統領による経済政策への期待感を背景に、ドル買い・円売りとなり、ドル/円は7月以来の107円台乗せとなった。また、日経平均株価が堅調な動きとなったことも、円売りを促進させた。その後は、もみ合いの展開が続いたが、欧州主要株価が堅調な展開で始まったことなどを受けて、投資家のリスク志向が強まり、円を売る動きが加速した。米国市場では、主要な経済指標の発表がなかったものの、引き続き、トランプ氏の経済政策への期待を背景にドル買いの動きが優勢となり、ドル/円は一時108.53まで上昇し、6月3日以来の高値を付ける動きとなった。その後は、利益確定の動きも見られたが、終盤には米当局者の発言もあり、再び堅調な動きとなった。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)序盤は、週明けで上値の重い動きとなったものの、前週抵抗となったポイントを上抜けて107円乗せとなると、107.50台まで上昇した。日本のGDPは、市場予想を上回る結果となったものの、反応は限定的だった。
(2)米国のトランプ次期大統領による経済政策への期待から円を売って、ドルを買う動きが強まった。また、米国の長期金利が上昇したことで、日米の金利差拡大を意識したドル買い・円売りも入った。
(3)欧州タイムで108円台乗せとなったものの、この近辺では短期筋のドル売りが優勢となり、ドル/円は反落となった。米国市場では、再び108円台に乗せ、ストップなど断続的な買いが入ったことから、108.53まで上昇し、6月3日以来の高値を付ける動きとなった。
(4)108.50近辺では、短期筋の利益確定の売りも入り、ドル/円はやや失速となった。ただ、引き続き買いも入り、底固い動きとなった。そして、ダラス連銀総裁が「近い将来に緩和を幾らか解除する可能性も」と発言したことも好感され、再び108.50台まで上昇した。
本日のトピックス
東京市場では、前日に2月2日以来の高値を付けた日経平均株価の動きに注目したい。引き続き堅調な動きとなれば、ドル/円の下支え要因となるだろう。ただ、ドル/円は前日の東京市場から1.5円以上の上昇となっており、利益確定の動きも予想される。米国市場では、主要な経済指標の発表が予定されており、結果が注目される。また、複数の米当局者の発言も予定されており、昨日米金利先物市場で織り込まれている12月の利上げ確率が92%まで上昇していることから、金融政策に関する発言には敏感に反応する可能性も考えられる。発言の内容にも注目したい。また、1月に発足する次期米政権の主要閣僚人事が少しずつ明らかになっており、これを受けた動きも予想されることから、こちらにも注目したい。
11/15の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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22:30 | 米国 |
10月小売売上高(前月比)
米国商務省が百貨店やスーパーの売上調査を基にして発表している指標である。個人消費はGDPの約70%を占めており、小売売上高は個人消費の動向を見る上で重要な経済指標の一つであり、米国経済に与える影響も大きいため注目されている。
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0.6% | 0.6% |
前回は、2ヵ月ぶりにプラスに改善し、6月以来の高い伸びとなった。今回は、前回から同様の伸びが予想されているが、このところ大きな伸びの後に失速してしまう傾向が続いていることから、市場予想を下回る可能性も想定しておきたい。 | ||||
22:30 | 米国 |
11月ニューヨーク連銀製造業景気指数
NY州の製造業の景況感などを指数化した経済指標である。製造業に関連した新規受注・雇用・在庫など、指数化された数値が発表される。数値はゼロが景況の判断の基準となる。
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-2.00 | -6.80 |
前回は、市場のプラス改善予想に反してマイナスとなり、3ヵ月連続のマイナスとなった。今回は、前回からの改善が予想されているものの、4ヵ月連続のマイナスとなるのか注目したい。特に、新規受注や雇用指数がプラス転換となるのかにも注目したい。 |
本日のトレードポイント
※出所:FX総合分析チャート 週足
ドル/円は、堅調な展開が続いている、複数の水色のラインは多重移動平均線であり、密集具合でサポートされたり抵抗となったりするポイントを見極める場面で有効である。価格帯の直下にラインが密集しており、ここにサポートされて上昇している。(1)の密集帯は108.20台から108.30台であり、ここを下抜ける場合には、(2)の密集帯である107.30台から107.70台がポイントとなる。(1)を下抜ける動きとなる場合には、(2)の密集度が縮まってくるので注目したい。また、サポートの107.22の下にはギャップが開いているので、下げる場合にはこの近辺が意識されるだろう。
気まぐれ投資コラム
ドル/円は重要なポイントを上抜け・・・今後の展開は?
ドル/円の週足ベースでは、安値を付けた後、もみ合いの展開が続いていました。もみ合い中の高値である107.48は、上値の重要なレジスタンスとなり、ここを上抜けたことで、チャート上では、底打ち完了の形となります。そして、次の上値のポイントは、2015年6月5日の高値125.85から2016年6月24日の安値98.96までの下げに対する38.2%戻しの109.23と考えられます。その上には、一目均衡表の雲下限ラインや、50%戻しのポイントが注目されます。オシレーターのMACDでは、両線の乖離幅が拡大中で両線上向きであることから、堅調な展開継続の形状となっています。目先、乖離幅が縮小する場合には、その後の動きに注意。ゼロポイントを両線が上抜ければ上昇継続のシグナルとなります。
※出所:FX総合分析チャート 週足
ドル/円の月足ベースでは、今年の年央以降2011年10月の安値75.67から2015年6月の高値125.85までの上昇の50%押しのポイント近辺で底固い動きが続いています。特に、50%押しのポイントは下ヒゲのみの下抜けであり、終値ベースでは抜けていないことが底固さを証明しています。ただ、50%押しまで下げたことから、ここから再び125.85の上値を抜ける展開となる可能性は低いと考えられます。そして、最新の下値は一目均衡表の雲上限近辺でサポートされており、ここからは上昇している雲上限ラインが下値のポイントとなります。ただ、雲上限ラインを下抜ける場合には、下げに転じてしまう可能性も考えられます。特に、週足でもポイントであった125.85から98.96までの下げに対する38.2%戻りのポイント近辺で失速し、下げに転じる場合には、長期的に98.96を下抜ける展開となる可能性は高くなります(半値押しの112.40まで戻せば確率は低下すると予測できる)。そのため、長期のドル/円相場を予測する上では、目先どこまで戻りがあるのかが注目されます。
※出所:FX総合分析チャート 月足