前営業日トピックス
東京市場のドル/円相場は、シリアや北朝鮮を巡る地政学リスクへの警戒感の高まりを背景にリスク回避の円買いが続き、上値の重さが意識された。仲値通過後に109.50円付近のストップロスを巻き込んで下げが加速し、一時109.35円まで下落した。
その後、日経平均株価の200円超の下落で109.30円台から109.50円台の間で上値の重い動きが続いたが、朝方下がっていた米国債利回りが午後に入って持ち直してきたことで、終盤には109.75円まで買い戻された。
海外市場では上値が重いものの、米国債利回りの下げ渋りなどを受けしっかりとした動きとなった。前日終値を挟んでの動きで、材料待ちで全体的には方向感の出ていない状況が続いた。
ラブロフ露外相とティラーソン米国務長官の共同記者会見が始まると、露外相が「米国務長官とプーチン露大統領は2時間以上会談し、オープンで実質的だった」などと述べたほか、米国務長官は「米ロはシリア問題で新たな提案を検討」、「米ロは北朝鮮の非核化が必要との認識で合意」などの見解と示すと、米露間の緊張緩和を背景にドルの買い戻しが入り、一時109.87円まで上昇した。
ただ終了間際にトランプ大統領の「ドルが強くなり過ぎていると認識している」、「低金利政策が望ましい」との発言が伝わると、ドルが急速に下落し109円近辺まで下落した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1) 仲値公示近辺で109.50円付近のストップロスを巻き込んで下げが加速し、一時109.35円となり昨年11月17日以来の安値を付けた。
(2) 朝方下がっていた米国債利回りが午後に入って持ち直してきたことで、終盤には109.76円まで買い戻された。
(3) 米国とロシアの外相会談が行われているが、プーチン・露大統領の「トランプ米大統領の下で特に軍事面での信頼関係が悪化した」との発言に市場はネガティブなムードとなり、ドル/円は上値の重い動きが続いた。
(4) ラブロフ露外相とティラーソン米国務長官の共同記者会見が始まると、ダウ平均が下げ幅を縮めドル買いが
じわりと強まった。ドル/円は日中の高値となる109.80円台まで値を上げた。
(5) トランプ米大統領が、ドルが強くなり過ぎていると認識していることや、低金利政策が望ましいと発言したことを受けてドル売りが進んだ。
本日のトピックス
NY時間にトランプ米大統領が、ドルが強くなり過ぎていると認識していることや、低金利政策が望ましいとの考えを明確に示したことで相場が大きく動揺したことを受けて、本日の市場の影響についても注目したい。
ただ、こうした発言を行ったのは今回が初めてではない。中国を為替操作国に認定すれば北朝鮮を巡る米中協議に影響が出る可能性があるとの発言も出ていた。トランプ氏は米国民に対し通商問題で譲歩しないと主張したかったに過ぎない可能性もあり、反応は過剰だったと見る向きもある。
4/13の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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10:30 | 豪州 |
3月 雇用者数 |
20.0千人 | -6.4千人 |
2月の雇用者数は1万6000人増の市場予想に反して6400人の減少となり、失業率も上昇した。オーストラリア準備銀行のロウ総裁が4日の定例理事会後に発表した声明で、軟調気味な雇用情勢に懸念を示しており、3月の統計で持ち直しが確認できるかどうかに注目が集まる。 | ||||
23:00 | 米国 |
4月 ミシガン大学消費者信頼感指数 |
96.5 | 96.9 |
3月の米消費者信頼感指数は前月から上昇した。家計の状況に対する見方は前月に比べ明るくなったものの、長期的な経済見通しに関する楽観は弱まった。 4月発表指数は過度な政策期待の剥落や株高一服などが重石となりそう。地政学的リスクの反映度合いも焦点になる。 また前回、インフレ期待値が下がったことで米長期国債利回りが低下しドル/円も下げたことから、こちらの注目度も高い。 |