前営業日トピックス
東京市場では、日経平均株価が下落して始まったことから、ドル円・クロス円はやや上値の重い動きとなった。ただ、その後は株価が下げ幅を縮小したことや、中国政府が前日の米債購入縮小、停止検討との報道を否定したことから、ドル買い・円売りが優勢となった。
欧州市場では、日本や欧州の株価下落などもあり、ドル円・クロス円は上値の重い動きとなった。ただ、ユーロはECB議事録を受けて上昇、ポンドはEU離脱に関する懸念から下落する場面もあった。
米国市場では、米経済指標の悪化を受けて、ドルは軟調な動きとなった。そして、終盤には円買いが強まり、上昇していたユーロやポンドなども対円で軟調となった。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)ドル売り・円買いの動きが一服し、底固い動きが続いているものの、下落して始まった日経平均株価が下げ幅を縮小したことから、ドル円・クロス円は序盤から堅調な動きとなった。一方、豪州の小売売上高が2013年2月以来の高い伸びとなったことから、豪ドルは主要通貨に対して上昇となった。
(2)中国当局が、米国債購入の縮小または停止を検討しているとの報道について、中国政府筋は、誤った情報に基づいている可能性があるとの見解を示した。これを受けて、ドルや米国債に買い戻しが入り、ドルは主要通貨に対して上昇した。ただ、上昇一服後は、日経平均株価や欧州主要株価がやや軟調な動きとなったことから、円が買われた。
(3)米国の雇用や物価関連の経済指標が市場予想より悪化したこと受けて、ドルは主要通貨に対して下落した。また、米国債利回りの低下も影響し、ドルは対円などで軟調な動きが続いた。一方、2016年の国民投票でEU離脱派の中心的な存在だった欧州議会議員が、国民投票を再度行うべきだとの考えを表明したことで、EU離脱を巡る不透明性が改めて意識され、英ポンドは主要通貨に対して下落する場面もあった。また、ECB理事会の議事録公開を受けて、早期の金融政策の指針が見直される可能性もあるとの見方からユーロ買いが優勢となった。ただ、終盤には円が買われ、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。
本日のトピックス
東京市場では、序盤に日本の主要な経済指標の発表が予定されており、株価への影響に注目したい。特に、前日の米国市場では、主要株価が再び最高値を更新する動きとなったこともあり、底固い動きが期待されている。 米国市場では、消費者物価指数、小売売上高が発表される予定である。物価上昇の期待が高かったが、前日に発表された生産者物価指数が市場予想を下回る結果となったことから、一部では結果を不安視する見方も出ている。ただ、クリスマス・年末商戦が例年以上に好調との結果が伝えられる中、引き続き小売売上高に対する期待感は維持されている。先週から、この2つの経済指標が注目されていたこともあり、良好な結果ならドルの戻りも考えられる。ただ、悪化する場合には、一段の下げとなる可能性もあり、結果に注目したい。
1/12の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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22:30 | 米国 |
12月消費者物価指数(前月比)
消費者物価指数(CPI = Consumer Price Index)は、消費者を対象とした小売やサービスの価格動向を示した指数である。特に、食品とエネルギーを除いたコア指数が重要視されている。そして、米国の金融政策を決定する上で重要な経済指標であり、為替市場への影響も非常に大きい。
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0.1% | 0.4% |
前回は、市場予想と一致し、伸びが加速した。ただ、エネルギーの上昇が影響し、食品とエネルギーを除いたコアは予想外の低下となり、昨年7月以来の低い伸びとなった。今回は、伸び幅の低下が予想されている。引き続きエネルギーの上昇が影響する可能性があるものの、前日の物価関連指標では、エネルギーの伸びが前月比変わらずとなったことから、やや懸念も残る。 | ||||
22:30 | 米国 |
12月小売売上高(前月比)
小売売上高は、米国商務省が百貨店やスーパーの売上調査を基にして発表している指標である。個人消費はGDPの約70%を占めており、小売売上高は個人消費の動向を見る上で重要な経済指標の一つであり、米国経済に与える影響も大きいため注目されている。
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0.5% | 0.8% |
前回は、市場予想を上回る結果となり、比較的高い伸びとなった。11月終盤から始まった年末商戦では、米信販大手が2011年以来6年ぶりの高い伸びと発表したことから、個人消費関連の経済指標に対する期待感が高まっている。そのため、予想を上回る結果を期待する向きも多い。 |
本日のトレードポイント
※出所:FX総合分析チャート 日足
豪ドル/円は、高値からやや軟調な動きとなっている。現状では、11/27の安値84.36から1/5の高値89.10までの上昇に対する38.2%押し近辺で下げ止まり、値を戻したものの、やや上値は抑えられている。目先の上値のポイントは、一目均衡表の転換線(88.17)近辺と考えられ、ここを上抜ける場合には一段の上昇も考えられる。
ただ、オシレーターのMACDでは、両線がクロスしていることから、両線の乖離幅が拡大するようなら、軟調な動きが続く可能性も考えられる。下値のポイントは、87.23(1/10安値)〜87.29(38.2%押しのポイント)近辺と考えられ、ここを下抜けると、86.71(一目均衡表雲上限ライン)〜86.73(50%押しのポイント)まで考えられる。
また、相場の方向性を示すとされる一目均衡表の基準線は週末までは横ばいが続くが、来週週明けから週末まで上昇が続く。(87.15〜87.52 月〜金)
価格帯が基準線の上側にある場合には、基準線の動きに連動しやすいが、基準線を下回る場合には、軟調な動きとなるケースが多いことから、基準線を下抜けるのかどうかにも注目したい。