前営業日トピックス
FOMC後に公表された政策金利見通しで、年内の利上げ回数が据え置かれたことを受けて、ドル売り・円買いが優勢となった流れを引き継ぎ、東京市場は序盤から軟調な動きとなった。また、トランプ米大統領が対中関税措置を決定する方針を固めたと伝わり、米中貿易摩擦が激化するとの懸念から、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。午後に入ると、日経平均株価が上げ幅を拡大したことから、ドル円・クロス円が上昇する場面もあったが、やや上値の重い動きが続いた。
米国市場では、引き続き利上げペースの加速期待の後退などが材料視され、ドルはやや上値の重い動きとなった。その後、トランプ米大統領が中国の知的財産権侵害を巡り、中国製品に対し関税を課す大統領令に署名したことを受けて、ドルが上昇する場面もあった。しかし、米主要株価が軒並み大幅下落となったことを受けて、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)FOMCで、米国の利上げペースの加速とはならず、現行のペースが維持されたことを受けて、序盤からドル売り・円買いが先行した。トランプ米大統領が、中国からの輸入品に対する関税措置を発表するとしたことを受けて、中国が報復措置を計画していると報じられたことで、米中貿易摩擦への懸念から一段のドル売りとなった。
(2)ドル売り・円買いの動きが一服したことや、日経平均株価が上げ幅を拡大したことを受けて、値を戻す動きが見られたものの、その後は米国の関税措置の発表を控えて上値の重い動きとなった。また、欧州主要株価が軟調な動きとなったことも影響した。
(3)米国市場では、年内の米追加利上げペース加速への警戒感が後退したことが引き続き材料視され、ドル売り・円買いが先行した。また、3/23に鉄鋼やアルミニウムの輸入制限を発動するが、これによる貿易摩擦への懸念も圧迫要因となった。そして、トランプ米大統領が約500億ドル規模の中国製品に関税を課す大統領令に署名したことを受けて、ドルが上昇する場面もあった。
(4)WTO(世界貿易機関)の中国大使は、米国の関税に対し、幅広い方策を用意しているとし、保護主義に立ち向かう考えを表明したこともあり、米中貿易摩擦激化への懸念が広がった。そして、米企業への影響なども懸念され、米主要株価が軒並み大幅下落となったことから、リスク回避の動きが強まった。
本日のトピックス
欧米の株価の大幅下落を受けて、日経平均やアジアの主要株価も大きく下落する中、終盤にかけて下げ幅を縮小するのか、また欧米の株価の下落が一服するのか注目したい。朝方、ドル/円は104円台まで下落したが、105円台に値を戻せない場合には、マーケットでも値頃感の買いが入り難く、来週の不安要因となる可能性が考えられる。本日、105円台に戻してクローズできるのかにも注目したい。
また、ムーディーズによる南アフリカの格付け見直しの発表が予定されており、結果が注目される。マーケットでは、現在のBaa3(投資適格級で最低)が維持されるとの見方が大半であり、格下げ(ジャンク級)の可能性は低いと見られている。仮に、ジャンク債に格下げされた場合には、最大1000億ランドの売りが出るとの指摘もあり、一応注意したい。
3/23の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
---|---|---|---|---|
21:30 | 米国 |
2月耐久財受注(前月比)
耐久財受注(Durable Goods Manufacture's Orders)は、米国の耐久財(耐久年数3年以上)の新規受注額を集計した指標であり、設備投資の先行指標として注目されている。特に、変動の大きい輸送用機器などを除いた受注額が民間の設備投資の先行指標として注目されている。
|
1.6% | -3.6% |
前回は、市場予想と一致し、2017年7月以来の低水準となった。航空機の大幅な落ち込みが大きかったことが影響した。また、コア指数は2017年4月以来のマイナスに落ち込んだ。今回は、前回の反動で改善が予想されているものの、特に変動の大きい輸送機器を除いた数値に注目したい。 | ||||
23:00 | 米国 |
2月新築住宅販売件数
新築住宅販売件数は、米国内で販売された新築住宅件数(売買契約締結時点)を集計した経済指標であり、地域別の販売件数や販売価格、一戸建やコンドミニアム、集合住宅を含めた数字も発表されている。そして、景気動向の先行を見る上で注目されている指標の一つである。
|
62.3万件 | 59.3万件 |
前回は、市場予想を大きく下回る結果となり、2017年8月以来の低水準に落ち込んだ。天候悪化が影響し、最大市場の南部が14%減、北東部が33%減となったことが影響した。今回は、前回からの改善が予想されている。天候要因は一時的だが、借り入れコストの上昇が続く中、予想通りの改善となるのか注目したい。 |