前営業日トピックス
トランプ米大統領が、中国に関税賦課を命じる大統領令に署名したことを受けて、比較的安全な資産とされる円が買われた流れを引き継ぎ、東京市場では序盤から軟調な動きとなった。また、トランプ大統領が、マクマスター大統領補佐官の更迭を事実上決めたことも加わり、ドル/円は、一時104円台まで下落した。その後は、値頃感の買い戻しや、実質的な五・十日で実需のドル買いも加わり、値を戻したものの、上値の重い動きが続いた。
海外市場では、底固い動きが続き、米経済指標が予想以上の伸びとなったことも影響し、堅調な動きとなった。ただ、米主要株価が大幅な下落となったことが影響し、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)米中貿易摩擦への懸念を背景に、米主要株が急落となったことが引き続き材料視され、序盤からリスク回避の円買いが先行した。また、トランプ大統領がマクマスター大統領補佐官(国家安全保障問題担当)を事実上の更迭としたことも影響し、ドル売り・円買いが強まり、クロス円も軟調な動きとなった。ドル/円は、一時104.64まで下落し、2016/11/9以来の安値を付けた。
(2)ドル/円は104円台の値頃から投機筋の買いに加え、実質的な五・十日で輸入勢の買いも入り、一時105円台まで値を戻した。ただ、日経平均株価が大幅下落となったこともあり、上値の重い動きが続いた。
(3)104円台での値頃感の買いに加え、米耐久財受注が市場予想を大きく上回り、昨年6月以来の高い伸びとなったことで、ドルは堅調な動きとなった。
(4)米中の貿易戦争への懸念や米政権運営に対する先行き警戒感が引き続き材料視され、投資家のリスク回避の動きからドル円・クロス円は上値の重い動きとなった。また、米主要株価が終盤に下げ幅を拡大したことも影響し、ドル円・クロス円は軟調な動きが続いた。そして、トランプ大統領が拒否権発動を検討していると思われた包括的歳出法案に一転して署名したものの、ドル安の流れは変わらず、主要通貨に対して上値の重い動きが続いた。
本日のトピックス
週明けで、新規材料に乏しく、米国の主要な経済指標の発表もないことから、やや限定的な動きが考えられる。また、先週後半に世界的な株価下落となったが、週替わりで株価下落の流れが一服するのかにも注目したい。引き続き株価が下落するようなら、投資家のリスク回避の動きが一段と強まる可能性も考えられる。
本日のトレードポイント
※出所:FX総合分析チャート 日足
ドル/円は、年初来安値の更新が続いており、ここから上値の重い動きが続くのか、底打ちとなるのかを見極めたい。現状では、重要なサポートを下抜けて、一段の下げとなっていることや、オシレーターのMACDで両線がデッドクロスしていることから、上値の重い展開を示唆するチャート形状となっている。また、方向性を示すとされる一目均衡表の基準線は、28日までは横ばいが続くものの、その後週末までやや低下が続く形となる。
そして、105.25を下抜けたことによる下値目標の計算値は104.635となり、ほぼ目標を達成していることから、ここから一旦値を戻すのか、注目したい。目先、105.25を上抜けるようなら、一旦値を戻す展開も考えられるが、再び年初来安値を更新するようなら、週足ベースの下値目標の計算値となる104.203がポイントになる可能性もあるだろう。
上値のポイント
(1)105.25(重要レジスタンス)(2)105.38(前日高値)(3)106.26(一目均衡表基準線)
下値のポイント
(1)104.63(前日安値)(2)104.20(下値目標の計算値)(3)104.00(サポート)