前営業日トピックス
東京市場では、米中の貿易問題や、中東情勢を見極めたいとの思惑もあり、ドル円・クロス円は序盤からやや小動きの展開となった。その後は、米長期金利の上昇を受けて、日米金利差の拡大を意識したドル買い・円売りが優勢となり、ドル/円は一時110.00まで上昇した。ただ、前回に続き、110円台で踏みとどまれず、上値の重い動きが続いた。
海外市場では、米長期金利の上昇に加え、米経済指標がまずますの結果となったこともあり、ドルは主要通貨に対して堅調な動きとなった。ドル/円は、一時2/2以来の高値となる110.45円を付けるなど堅調な動きとなった。ただ、株価が軟調な動きを続けたことや、北朝鮮関連の報道を受けて、ドル円・クロス円はNY市場の終盤にやや上値の重い動きとなった。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)米中通商協議を控えていることや、イランなど中東情勢の地政学懸念も燻っており、ドル円・クロス円は序盤からやや方向感に乏しい動きとなった。ドル/円は、109.66から109.79での狭いレンジ内の動きが続いた。
(2)米長期金利が上昇し、約3週間ぶりの高水準となったことを受けて、日米の金利差拡大観測からドル買い・円売りが強まり、110.00まで上昇したものの、上値の重い動きとなった。また、トルコ大統領が、自身が金融政策により責任を担うだろうと発言したことに反応し、トルコ・リラは、主要通貨に対して下落した。
(3)米小売売上高は、前月比で市場予想と一致したが、コアが予想を下回る結果となった。ただ、前月結果が上方修正されたことや、同時に発表されたNY連銀製造業景況指数が市場予想を上回ったことを受けて、ドルは主要通貨に対して堅調な動きとなった。また、米10年債利回りが2011年以来の高水準となったことも加わり、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。しかし、北朝鮮が米朝首脳会談キャンセルの可能性を示唆との報道を受けて、ドル円・クロス円はやや上値の重い動きとなった。
本日のトピックス
前日に続き、欧州の主要な経済指標の発表が予定されている。特に、ユーロ圏やドイツの消費者物価指数の発表が予定されており、ECBの金融政策に影響する指標であり、結果が注目される。また、21時頃にドラギECB総裁の発言も予定されている。金融政策に関する発言には敏感に反応する可能性があり、発言の内容に注目したい。
米国では、住宅関連の経済指標に加え、引き続き金融当局者の発言も予定されており、こちらの結果や発言にも注目したい。そして、米朝会談に関する報道があったが、マーケットでは駆け引きとの見方もあり、引き続き関連する報道には注意が必要だろう。
5/16の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
---|---|---|---|---|
21:30 | 米国 |
4月住宅着工件数
住宅着工件数は、建設が着工された民間住宅の着工件数を集計した経済指標で、家電製品などの個人消費との相関性も高いことから、景気動向を見る上で重要な指標である。また、天候の影響を受けやすいという面もある。
|
131.0万件 | 131.9万件 |
前回は市場予想を上回る結果となり、引き続き堅調な伸びを維持した。今回は、前回から減少が予想されているものの、大きな影響は出ないと考えられる。ただ、前回一戸建て住宅の建設許可件数が7年ぶりの大幅マイナスとなったが、その影響が表れる場合には、予想以上の減少となる可能性も考えられる。 | ||||
22:15 | 米国 |
4月鉱工業生産(前月比)
鉱工業生産は、鉱工業関連の生産動向を指数化したものであり、2002年を100として数値が算出され前月比で発表される。GDPに占める鉱工業部門の割合が約20%程度であることから重要な経済指標である。
|
0.6% | 0.5% |
前回は、市場予想を上回ったものの、2月からは低下となった。ただ、過去1年間の平均値である0.4%を2ヵ月連続で上回っており、好調が続いていることが示された。今回は、前回からの伸びが予想されており、好調が続いていることが示されるか注目。特に、前回減速した製造業の生産指数の改善が見られるのか注目したい。 |
気まぐれ投資コラム
今後のトルコリラの動きに注目
昨日、トルコのエルドアン大統領は、「より低い金利がインフレ率の鈍化もたらすだろう」、「中央銀行は選挙後に大統領のシグナルを無視できない」、「自身が金融政策により責任を担うだろう」と発言しました。この発言を受けて、来月の選挙で自分が勝利すれば金融政策への関与を強める可能性を示したことから、今後利上げを阻止するとの懸念が強まり、トルコ・リラは主要通貨に対して軟調な動きとなりました。特に、ドルや円に対しては過去最安値を更新しました。
米国の政策金利が上昇基調を強まる中、トルコ・リラは今年、ドルや円に対して約18%下落しています。トルコ・リラ安定のためには利上げが必要となりますが、トルコでは6/24に大統領選と議会選挙が行われる予定であり、選挙が近いことから、次回の政策金利発表(6/7)で利上げは難しいとの予想も出ています。このことから、トルコ・リラ売りが出やすいとの見方もあり、今後の動きには注意が必要です。
※出所:データを基にSBILMが作成