前営業日トピックス
東京市場では、日経平均株価が序盤に下落したことを受けて、円を買う動きが優勢となる場面もあったが、その後株価が下げ幅を縮小すると、買い戻しが優勢となった。また、時間外取引で米長期金利が上昇したことも加わり、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。
海外市場では、欧州主要株価が下落したことなどが影響し、ドル円・クロス円は上値の重い動きとなった。そして、米GDP、個人消費がいずれも改定値から下方修正されたことを受けて、ドル売りがやや優勢となった。その後、下落して始まった米主要株価がプラス圏まで反発したことや、米当局者の発言を受けて、米長期金利が上昇したことも影響し、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。ドル/円は、一時1週間ぶりの高値を付けた。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)海外市場の動きが一服し、やや新規材料に乏しい中、日経平均株価が序盤から下落したことを受けて、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。一方、対米貿易摩擦やドイツの政治危機、移民・難民問題など、EU首脳会議を巡る先行き不透明感を背景に、ユーロは海外市場の流れを引き継ぎ、軟調な動きとなったことも影響した。
(2)110円台割れ近辺では値頃感の買い戻しに加え、日経平均が下げ幅を縮小したことから、ドル円・クロス円は底固い動きとなった。また、中国人民銀行の対ドル基準値が元高方向に設定されたことで、人民元の切り下げの可能性は少ないとの見方も安心感につながったとの指摘もあった。そして、期末であり資金の本国送金に伴うドル買い需要などもあり、堅調な動きが続いた。
(3)欧米の株価下落が影響し、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。また、米GDP、個人消費がいずれも改定値から下方修正されたことを受けて、ドル売り・円買いがやや優勢となった。
(4)ナバロNTC(国家通商会議)委員長が、トランプ大統領は自身が自由貿易主義者であるが、公正な競争の場を望むと明言したことや、ボスティック・アトランタ連銀総裁が企業は貿易摩擦を懸念している、利上げペースの減速に違和感がないと発言。これを受けて、米10年債利回りが上昇となり、また株価が上げ幅を拡大したことも加わり、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。
本日のトピックス
週末・月末・期末であることから、実需のフローも考えられる。ただ、前日に大半が出ていたと見られることから、大きな影響で出るほどではないだろう。また、ドイツの政局の行方が注目されており、本日まで続くEU首脳会議の結果を見極めたいとの思惑が強まり、やや限定的な動きも考えられる。ただ、週明けに移民政策を巡る問題を連立与党内で協議したものの、結局対立が解消ないままEU首脳会議に突入していることから、ドイツの出す移民政策次第では政局不安が高まる可能性もあるだろう。
一方、EU首脳会議では、欧州委員会のユンケル委員長が英政府内でコンセンサスが欠如していると指摘、またアイルランドのバラッカー首相は、合意のない離脱について、公算は小さいが可能性はあると発言するなど、EU当局者が英国の離脱に関して不満の声を強めている。英国がEUから強硬離脱するとの懸念が強まっており、EU首脳会議の結果や声明などにも注目が集まっている。
米国では、主要な経済指標の発表が予定されており、昨日のGDPや個人消費の下方修正もあり、結果が注目されている。引き続き冴えない結果となるようなら、一時的にドル売りに反応する可能性もあるだろう。
6/29の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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21:30 | 米国 |
5月PCEデフレーター(前年比)
なし
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2.2% | 2.0% |
FRBがインフレ指標として重視する当該指数は、前回市場予想と一致した。先のECBフォーラムでは、パウエルFRB議長が2%(FRBの目標とされる)到達をまだ目にしていない(正確には前回結果は1.967%)としており、今回の結果が注目される。今回は、2.2%が予想されており、予想通りの結果となるようなら、2012年3月以来の高水準となり、FRBの目標も上回る。 | ||||
23:00 | 米国 |
6月ミシガン大学消費者信頼感指数
ミシガン大消費者信頼感指数は、ミシガン大学が消費者にアンケート調査を行い、現況指数(現在)、期待指数(将来)など消費者マインドを指数化した経済指標である。速報は300人、確報は500人を対象に調査を実施し、1964年の指数を100として算出する。コンファレンス・ボード(CB)が発表する消費者信頼感指数と共に消費者マインドを見る上で重要な経済指標である。
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99.0 | 99.3 |
前回は、市場予想を上回る結果となった。現況指数は大きく上昇し、2000年以降で2番目の高水準(117.9)となったが、期待指数は5ヵ月ぶりの低水準に落ち込んだ。今回は、前回から若干の低下が予想されているが、大きな影響はないと考えられる。特に、現況指数が3月以来の高水準(121.2)に迫るのか注目したい。 |