前営業日トピックス
東京市場では、前日の海外市場で堅調な動きが続いた流れが一服し、序盤から軟調な動きとなった。日米通商協議を控えて円高警戒感が広がっており、ドル売り・円買いが優勢となった。ただ、仲値にかけては実需のドル買いも見られ、値を戻す動きが見られたものの、上値は限定的となった。午後に入り、堅調な動きが続いていた日経平均株価がマイナス圏に下落したことから、円を買う動きが優勢となった。さらに、円高に対する警戒感から、欧州勢が円買いを先行させたことも加わり、ドル円・クロス円は軟調な動きが続いた。その後は、米長期金利の上昇や値頃感の買い戻しも入り、ドルは値を戻す動きとなった。米国市場では、中国が対米報復関税措置の発動を発表したこと受けて、貿易摩擦への懸念が意識され、相対的に安全な通貨とされる円を買ってドルを売る動きが優勢となった。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)日米通商協議に対する警戒感を背景に、ドル円・クロス円は序盤から軟調な動きが続いた。仲値公示にかけて実需のドル買い・円売りフローが流入したことから、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。ドル/円は一時111.44円まで上昇した。
(2)仲値公示通過後は、米国の貿易問題に対する懸念から再びドルは主要通貨に対して軟調な動きとなった。そして、底固い動きが続いていた日経平均株価がマイナス圏まで下落したことや、中国株が大きく下落したこと、また欧州株も連れ安となったことでリスク回避の動きが強まり、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。
(3)米長期金利の上昇を受けて、ドル買い円売りが優勢となった。一方、中国や欧州株の下落などもあり、クロス円は上値の重い動きが続いた。また、ポンドは、英国のハーブブレグジットへの懸念が改めて材料視され、対円で2017年9月11日以来、対ドルで2017年8月31日以来の安値を付ける動きとなった。
(4)米主要経済指標の発表もなく、日米通商協議を控えて積極的な売買が手控えられている中、米国の輸入制裁に対し中国も同規模の報復関税措置を23日に発動すると発表したこと受けて、米中の貿易問題が長期化するとの懸念からリスク回避の動きから、ドルは主要通貨に対して下落した。
本日のトピックス
日米の新通商協議(FFR)の初会合がワシントンで開かれ、茂木経済再生担当相とライトハイザー米通商代表部代表が交渉責任者として話し合いに臨む。ここまで、日米通商協議を控えて、米国が日本に対して圧力をかけてくる可能性が懸念される一方、大きな対立にはならないとの見方もあり、協議の内容によって動きが出る可能性が考えられることから、結果を見極めたい。日米通商協議までは、様子見ムードから積極的な売買が手控えられる可能性も考えられるが、昨日中国が対米報復関税措置の発動を発表したことで、やや米中貿易問題に対する懸念も高まっていることから、要人発言などには注意したい。また、本日は米30年国債の入札も予定されているが、昨晩の米10年債入札が堅調だったこともあり、こちらの結果にも注目したい。
8/9の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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21:30 | 米国 |
7月生産者物価指数(前月比)
生産者物価指数(PPI=Producer Price Index)は、米国内の販売業者の販売価格を調査し、算出した物価指数。特に、振れ幅の大きい食品とエネルギーを除いたコア指数が重要視されており、消費者物価指数(CPI)と同様にインフレ圧力を測る指標として注目されている。
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0.2% | 0.3% |
前回は、市場予想を上回る伸びとなったものの、5月からは低下した。ただ、前年比では2011年11月以来の高い伸びとなった。需要の高まりに加え、鉄鋼などの課税が影響し、インフレ圧力が増していることが示唆された。今回は、前月比で前回から伸び幅の低下が予想されているものの、前年比では前月を上回る伸びが予想されており、結果が注目される。 | ||||
21:30 | 米国 |
新規失業保険申請件数
新規失業保険申請件数は、労働省が失業保険を申請した人(失業者)の数を毎週発表する経済指標。毎週(木曜日)発表されるため、雇用情勢の速報性に優れており、雇用統計の先行指標として注目されている。ただ、米国の祝祭日や天候などの影響を受けやすいという点もある。
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22.0万件 | 21.8万件 |
前週は市場予想を下回る結果となったものの、2週連続の増加となった。今回も前回からの増加が予想されているが、引き続き低水準が続くが、増加が続く場合には若干反応が見られる可能性もあるだろう。 |