前営業日トピックス
東京市場では、海外市場の軟調流れが一服し、序盤はやや小動きの展開で始まった。日米首脳会談終了後にそれぞれ声明を発表したが、マーケットへの反応は限定的となった。その後、日経平均株価が上昇に転じたことや、実需のドル買いを受けて、仲値公示にかけて堅調な動きとなった。しかし、午後には株価が再び下落に転じたことに加え、イタリア政府が2019年の予算案を巡る会合を延期する可能性との報道を受けて、ユーロを中心にドル円・クロス円は軟調な動きとなった。
米国市場では、序盤に発表された米GDPが3年9ヵ月ぶりの高い伸びとなったことや、耐久財受注が市場予想を上回ったこと、また米主要株価の上昇も加わり、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。そして、米国の利上げペースの継続も下支え要因となり、ドルは主要通貨に対して堅調な動きとなり、特にドル/円は年初来高値を更新した。ただ、その後は米株価が上げ幅を縮小したことが影響し、ドル円・クロス円は終盤にかけて上値の重い動きが続いた。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)FOMCの声明を受けて、利上げサイクルが終息に向かうとの見方が広がったことや、トランプ大統領が、カナダとの通商交渉がうまく言っていないとし、カナダ首相との1対1の会談を拒否したことなどが影響した海外市場の流れが一服し、序盤は小動きの展開となった。日米両政府が首脳会談終了後に共同声明を発表し、日本に対する自動車関税がなかったことがやや好感されたが、反応は限定的となった。
(2)仲値公示にかけて月末・期末を控えた輸入企業のドル買いが入ったことや、下落して始まった日経平均株価がプラス圏まで持ち直したことが好感され、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。
(3)午後に入り、日経平均株価が再び下落に転じ、結局約1%の下落となったことに加え、イタリア経済・財務相が辞意を表明したと伝え、本日予定されていた予算協議が延期になるとの報道を受けてユーロが下落となり、ドル円・クロス円は一段の下落となった。
(4)米国市場では、序盤に発表された米GDPが3年9ヵ月ぶりの高い伸びとなり、米国経済が堅調に拡大していることが確認されたことで投資家のリスク志向が強まり、相対的に安全な通貨とされる円を売る動きが優勢となった。特に、米国の利上げペースの継続も意識されて、ドル/円は年初来高値を更新した。ただ、株価が上げ幅を縮小したことが影響し、ドル円・クロス円は終盤にかけて上値の重い動きが続いた。一方、イタリア政府が2019年の財政赤字目標をGDP比2.4%に設定したことで、財政管理やEU全体への影響が懸念されたことから、ユーロが主要通貨に対して下落した。
本日のトピックス
ドル/円は、東京市場で年初来高値を更新している。FOMCの声明文から『緩和的』との文言が削除されたが、パウエルFRB議長の会見では『政策はなおも緩和的』としたことや、利上げが今年あと1回、来年3回とされていることを考えれば、事実上は依然として緩和的と言える。政治的な配慮から文言を削除したとも考えられる。マーケットでは、利上げペースは継続されるとの見方からドル買いが優勢となっているが、昨晩からの急速な上昇などから調整を見込む向きもあり、売り買いの攻防戦が続く展開も考えられる。東京市場では、株価が堅調であることから底固い動きが続いているが、内外の株価が注目される。また、週末・月末・半期末であることから、やや値動きの荒い展開となる可能性にも警戒したい。
9/28の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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23:00 | 米国 |
9月ミシガン大学消費者信頼感指数
ミシガン大消費者信頼感指数は、ミシガン大学が消費者にアンケート調査を行い、現況指数(現在)、期待指数(将来)など消費者マインドを指数化した経済指標である。速報は300人、確報は500人を対象に調査を実施し、1964年の指数を100として算出する。コンファレンス・ボード(CB)が発表する消費者信頼感指数と共に消費者マインドを見る上で重要な経済指標である。
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100.5 | 100.8 |
前回は、市場予想を上回り、3月以来の高水準となった。現況指数、期待指数ともに前月から上昇し、特に期待指数は14年ぶりの高水準となった。今回は、若干の低下が予想されているが、前回大きく上昇した現況・期待両指数の結果が注目される。 |