前営業日トピックス
東京市場では、先週末にサウジアラビア人記者が死亡した事件で、トランプ大統領がサウジに対する制裁を示唆したことを受けて、米国とサウジアラビアの関係悪化に対する懸念を背景に、序盤から上値の重い動きとなった。また、米国が旧ソ連との間で結んだ中距離核戦力廃棄条約の破棄を表明したことも、リスク回避の動きが意識された要因となった。しかし、その後は日経平均株価やアジア市場の株価が堅調な動きとなったことが影響し、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。
米国市場では、序盤に発表された米経済指標が市場予想を下回る結果となったことや、米長期金利の低下を背景に、ドルは序盤から上値の重い動きとなった。また、ダウ平均株価が下落したことも影響し、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。その後、ドルは底固い動きとなったが、イタリア政府の予算案や、英国のEU離脱問題に対する懸念を背景に、ユーロやポンドなどは上値の重い動きが続いた。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)週明けで新規材料に乏しい中、米国経済の先行きに対する不安感が広がっていることに加え、トランプ大統領がサウジアラビアの反政府記者の死亡問題で、サウジに対する制裁を検討する可能性があると語ったことなどが嫌気され、ドル円・クロス円は序盤から軟調な動きとなった。また、日経平均株価が下落して始まり、一時260円安まで下落したことも影響した。
(2)日経平均株価の下落が一服し、下げ幅を縮小したことや、仲値公示にかけて実需のドル買いフローが流入したことを受けて、底固い動きとなった。さらに、上海株が4%以上の上昇となるなど、アジア株が好調だったことから、日経平均もプラス圏まで上昇となったことが好感され、ドル円・クロス円は堅調な動きが続いた。
(3)シカゴ連銀全米活動指数が市場予想を下回る結果となったことを受けて、ドルは軟調な動きとなった。一方、イタリア政府が予算案を修正しなかったことで、財政問題が引き続き懸念されたことや、ドイツ連銀がドイツの第3四半期成長が失速した可能性に言及したことからユーロは下落した。また、メイ英首相がEU離脱交渉の合意は間近だが、北アイルランドを関税同盟に留めるというEU側の提案を拒否したことから、問題への懸念を背景にポンドはドルや円に対して上値の重い動きが続いた。
(4)中国人民銀行が民間企業の支援策を表明したことや、トランプ米大統領が中間所得層向けの減税案を検討していると発言したことがドルの下支え要因となり、ドルは底固い動きとなった。さらに、欧州通貨に対してドル上昇したこともあり、ドル/円も底固い動きとなった。ダウ平均株価の下落や米長期金利の低下もあり、上値の重い動きとなった。
本日のトピックス
このところ、やや楽観的な見方も出ていたイタリアの来年の予算案問題や、英国のEU離脱問題に対する懸念が高まったことから、ユーロやポンドが主要通貨に対して下落しており、引き続き関連する報道や要人発言には注目したい。一方、米国は中国との貿易問題に関する協議再開に加え、首脳会談の可能性も示唆されたことから、米中の貿易問題に対する懸念がやや後退した。しかし、サウジアラビアやロシアとの関係に対する懸念が広がっており、関連する報道や要人発言があるようなら、リスク回避の動きが意識される可能性もあるだろう。また、サウジアラビア人記者の失踪問題に関して、トルコ政府が調査結果を公表すると発表しており、こちらの内容も注目されている。
10/23の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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23:00 | 米国 |
リッチモンド連銀製造業指数
リッチモンド連銀製造業指数は、米国の12連邦準備銀行の1つであるリッチモンド地区連銀が発表している製造業指数。1993年から算出が開始されており、NY連銀、フィラデルフィア連銀が発表する指数と合わせて製造業の景況を確認できる。管轄はウェストバージニア州、サウスカロライナ州、ノースカロライナ州、バージニア州、メリーランド州、ワシントンDCなど。管轄地域は米国内生産の9.1%を占める。
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24 | 29 |
前回は、市場予想を大きく上回り、過去最高を記録した。今回は、前回の反動からやや低下が予想されているものの、依然として高水準を維持すると見られていることから、大きな懸念にはならないだろう。ただ、20を下回る場合には、やや反応が大きくなる可能性もあるだろう。 |