前営業日トピックス
東京市場では、新規材料に乏しく、序盤から狭いレンジ内の動きとなった。そして、日経平均株価が上げ幅を拡大したことから、投資家のリスク志向の動きが強まり、ドル円・クロス円は堅調な動きが続いた。
米国市場でも底固い動きとなり、ドル/円は113円台を伺う動きとなった。しかし、米長期金利が低下したことも加わり、113円台手前で押し戻された。その後、米長期金利の低下に加え、欧州通貨下落も加わり、ドル円・クロス円は上値の重い動きが続いた。終盤には米主要株価が上げ幅を拡大したことが好感され、ドル円・クロス円は堅調となった。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)序盤は小動きの展開が続いたが、下落して始まった日経平均株価がプラスに転じ、上げ幅を拡大したことが好感され、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。また、月末の五・十日であり、実需のドル買いフローがあった模様。
(2)トランプ米大統領が、インタビューで対中貿易に関して素晴らしい取引を見込んでいると発言したことを受けて、リスク回避の動きが後退し、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。さらに、日経平均株価が前日比400円以上の上昇となったことも押し上げ要因となった。
(3)米長期金利の上昇もあり、ドルは堅調な動きとなったが、ユーロ圏の第3四半期GDP速報値が予想を下回ったことから、ユーロはやや軟調な動きとなった。その後、米長期金利の低下を受けて、ドルは軟調な動きとなったが、米消費者信頼感が2000年9月以来18年1ヵ月ぶりの高水準となったことから底固い動きも見られた。
(4)欧州委員会が、「イタリアの公的債務はユーロ圏全体における懸念だ」との見方を示したとからユーロ売りとなった。一方、「英国の合意なきEU離脱の可能性は、英国の信用格付けに影響するほど十分に高まった」と格付け会社が指摘したことから、ポンドも下落した。ただ、終盤にかけては、低下していた米長期金利が上昇に転じたことに加え、米主要株価が上げ幅を拡大し、軒並み大幅上昇となったことが好感され、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。
本日のトピックス
依然として世界的に株式市場の不安定さが続いており、上げ下げの幅も大きくなっている。為替市場でも、懸念される材料が多いことから、ポジションを傾け難い状況でもある。そのため、比較的判断しやすい株価の動きを見ながらの展開が続いており、通常時(要人発言や経済指標発表以外の時間帯)は当面は株価主導の動きが続く可能性が考えられる。
そして、昨日、雇用統計(失業率)との相関性が高い消費者信頼感指数が好調な結果となったことから、失業率の良化の可能性が考えられる。また、本日のADP雇用統計、雇用コスト指数、明日のチャレンジャー人員削減数、ISM製造業景況指数、新規失業保険申請件など、週末の米雇用統計まで雇用に関連のある米経済指標の発表が続くことから、結果が注目される。
10/31の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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21:15 | 米国 |
10月ADP雇用統計
ADP雇用統計は、民間の給与計算代行サービス会社であるADP(Automatic Data Processing)社のデータを用いて、マクロエコノミック・アドバイザーズ社が発表している雇用統計。2200万人の支払い給与の動向に基づき算出される。通常、米国雇用統計が発表される2営業日前に発表されるため、米国雇用統計の結果を予想する上でよく参考にされる。
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18.7万人 | 23.0万人 |
前回は、市場予想を上回り、7?月ぶりの大幅増加となった。建設・製造業などの財政生産部門が3月以来、サービス業が1月以来の大幅増となったことが下支え要因となった。今回は、前回の反動から伸び幅の縮小が予想されているが、引き続きサービス業の増加が見込まれており、大きく減少する可能性は低いと見られている。 |
気まぐれ投資コラム
米賃金の伸びは、前年比ベースで2009年4月以来の3%以上の伸びとなるか
10/5に発表された9月の米雇用統計では、失業率が1969年以来の水準に低下しましたが、景気動向を敏感に映す非農業部門雇用者数が市場予想を下回る低い伸びとなったことが影響し、ドルは上値の重い動きとなりました。特に、悪天候により就業不能となった労働者数が29.9万人(過去の月平均は8.5万人)となり、9月に上陸したハリケーンの影響が色濃く出る内容となりました。また、注目された賃金の伸びはやや鈍化し、依然として賃金の上昇が加速していないことが示される結果となりました。
今回発表の10月の米雇用統計の予想
失業率・・・・・・・・・・ 3.7% (前回 3.7%)
非農業部門雇用者数・・・+19.5万人 (前回 +13.4万人)
民間部門雇用者数・・・・+19.0万人 (前回 +12.1万人)
製造業雇用者数・・・・・ +1.6万人 (前回 +1.8万人)
平均時給(前月比)・・・・ 0.2% (前回 0.3%)
平均時給(前年比)・・・・ 3.1% (前回 2.8%)
今回の雇用統計では、非農業部門雇用者数の伸びは前回の反動から伸び幅が拡大すると予想されています。ただ、10月にもハリケーンが上陸しており、前月同様に伸び幅が縮小する可能性も指摘されています。ただ、前回も雇用者数の結果を受けても反応は限定的となり、むしろ失業率や賃金の伸びが影響したと考えられることから、今回予想外の低い伸びとなった場合でも下値は限定的と考えられる。
一方、雇用が労働力人口を上回るペースで伸びており、完全雇用を超える状況と言えるが、なかなか賃金の伸びが伴わない。そして、求人件数が過去最高となり、離職率も17年ぶりの高水準となっている。これは、より良い条件を求めて転職ができる状況となっており、その一方で企業側は人材確保や人材の繋ぎ止めのために賃金を上げざるを得ない状況である。そのような状況の中で、今回の平均時給は、前年比ベースで3.1%の伸びと予想されており、2009年4月以来の3%以上の伸びとなるのか注目されています。そして、3%以上の伸びとなるようなら、インパクトもありドルの下支え要因となる可能性も考えられます。
※出所:FX総合分析チャート
※出所:データを基にSBILMが作成