前営業日トピックス
東京市場では、海外市場で大きく動きが出た反動で、ドル円・クロス円は小動きの展開となった。特に、海外市場で2円以上の乱高下が続いたポンド/円は、上下30銭以内の狭いレンジ内の動きが続いた。一方、豪ドルは、豪州の雇用統計が良好な結果となったことから主要通貨に対して上昇した。その後は、新規材料に乏しく、ドル円・クロス円は小動きの展開が続いた。
欧州時間では、ラーブ英EU離脱担当相が辞任との報道を受けて、ポンドが急落となり、ドル円・クロス円も連れて下落となった。
米国市場では、序盤に発表された米経済指標が比較的良好な結果となったが、英国のEU離脱に関する政治的な混乱が引き続き材料視されたことや、欧米の株価が下落したこともあり、投資家のリスク回避の動きが先行し、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。その後、米中貿易摩擦緩和への期待感が高まったことから株価が上昇に転じたこともあり、ドル円・クロス円も堅調な動きとなった。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)米中貿易問題への懸念を背景に海外市場で軟調な動きが続いた流れが一服し、ドル/円は小動きの展開となった。一方、英国のEU離脱草案が英閣議で承認されたことを受けて主要通貨に対して大きく上昇したポンドも一服しており、序盤から小動きの展開となった。一方、オーストラリアの雇用統計が良好な結果となったことを受けて、豪ドルはドルや円などの主要通貨に対して急上昇となった。
(2)下げ幅を縮小していた日経平均株価が午後に再び下げ幅を拡大したこともあり、やや上値の重い動きとなったが、中国株が堅調となったこともあり、ドル円・クロス円は底固い動きが続いた。
(3)米小売売上高やNY連銀製造業景況指数、輸入物価指数が市場予想を上回る結果となったものの、英国ではEU離脱に関する草案が英閣議で承認されたが、ラーブEU離脱担当相など閣僚6人が辞任したことに加え、メイ首相の不信任決議案の可能性などの政治的懸念が高まったこと背景に、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。また、米主要株価が大きく下落して始まったことも影響した。
(4)G20首脳会議を前に米中当局者が通商合意成立に向けた取り組みを強化しているとの報道を受けて、米中貿易摩擦緩和への期待感を背景に米国株が上昇に転じたことから、ドル円・クロス円は堅調な動きが続いた。また、米長期金利が上昇したこともドルの下支え要因となった。しかし、ポンドはドルや円などの主要通貨に対して上値の重い動きが続いた。
本日のトピックス
英国とEUの離脱に関する草案合意、その後の英国の閣議での草案承認と、離脱に向けて進展が見られたものの、英国のEU離脱担当相など複数の閣僚が辞任したことや、今日にもメイ首相の不信任決議案が出される可能性もあり、依然として政治的な不透明感が燻っている。引き続き関連する報道には注意したい。なお、この後は、英国議会での採決に移るが、採決の予定がまだ示されておらす、EU首脳会議が11/25に予定されていることから、ここまでに採決があるとの見方もある。
米国市場では、経済指標の発表が予定されているものの、反応は限定的だろう。週末であることや、英国の政治的懸念も燻っていることから、様子見ムードが強まり、積極的な売買が手控えられる可能性も考えられる。ただ、英国の政治情勢で動きがある場合(メイ首相の不信任決議)には反応する可能性も考えられることから、注意は必要だろう。