前営業日トピックス
東京市場では、前日の米株式市場が大幅下落となり、リスク回避の動きが強まった流れを受けて、序盤から軟調な展開で始まった。そして、日経平均株価が一時405円安まで下落したことを受けて、ドル円・クロス円は軟調な動きが続いた。また、時間外取引で米国債利回りが低下したことから、ドルは主要通貨に対して下落した。
米国市場では、序盤に発表された米住宅着工件数が市場予想を上回ったことに加え、米主要株価が上昇したことを受けて、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。しかし、米共和党の歳出案を米民主党が却下したとの報道を受けて、米政府機関の閉鎖への警戒感が高まったことや、原油価格の大幅下落が影響し、米株価が一時マイナス圏まで下落となったことが嫌気され、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。しかし、FOMCの結果発表を控えて様子見ムードが強まっており、全般的に限定的な動きが続いた。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)海外市場の流れを引き継ぎ、ドル円・クロス円は序盤から上値の重い動きとなった。米株価下落を受けて、日経平均株価も下落して始まったことから、投資家のリスク回避の動きが意識され、円買いが優勢となった。しかし、新規材料に乏しい中、米FOMCを控えていることもあり、やや限定的な動きが続いた。
(2)午後に入り、日経平均株価が下げ幅を拡大し、一時前日比406円安まで下落したことに加え、欧州主要株価が軟調な展開で始まったことも影響した。そして、時間外取引の米10年債利回りが2.858%から2.819%まで低下したこともあり、ドルは上値の重い動きが続いた。
(3)米住宅着工件数が市場予想を上回り、3ヵ月ぶりのプラスとなったことに加え、米主要株価が上昇したことを受けて、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。また、低下していた米国債利回りが上昇に転じたことも押し上げ要因となった。
(4)共和党の歳出案を民主党が却下したとの報道を受けて、両党の対立が浮き彫りとなった。さらにトランプ米大統領が、これまで国境建設資金が認められなければ政府機関の閉鎖も辞さない構えを示していたことから、米政府機関の閉鎖への警戒感が高まったことが影響し、米株価が一時マイナス圏まで下落となり、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。しかし、FOMCの結果発表を控えて様子見ムードが強まっており、限定的な動きが続いた。一方、NY原油価格が2017年8月以来約1年4ヵ月ぶりの安値となったことが影響し、資源国通貨は軟調な動きとなった。
本日のトピックス
前日の海外市場では、共和党の歳出案を民主党が却下したとの報道を受けて、米政府機関の閉鎖への警戒感が高まったことがマーケットに影響しており、米議会の「ねじれ」の影響が出た形となっている。歳出案が通らなければ、年明けから政府機関が閉鎖となることから、それを避けるために調整が行われることが予想され、最終的にどのような結論が出されるのか注目される。
東京市場では、序盤から株価が下落となったが、欧米市場では株価の下げ過ぎ感もあることから、値を戻す動きが見られるのか注目したい。
米国市場では、米中古住宅販売件数の発表が予定されており、昨日に続き改善が見られるのか注目されている。また、その後はFOMCの結果発表が予定されており、マーケットでは0.25%の利上げが見込まれている。利上げは織り込み済みだが、来年の利上げのペースがポイントとなっており、9月のメンバー予想(ドット・チャート)がどう変わっているか注目したい。
12/19の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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0:00 | 米国 |
11月中古住宅販売件数
中古住宅販売件数は、所有権が移転した中古住宅の販売件数であり、米国の景気動向を見る上で重要視されている経済指標の一つである。所得やローン金利の動向に影響を受けることから、ローン金利動向やローン申請件数と関係も深い。
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520万件 | 522万件 |
前回は、市場予想を上回る結果となり、7ヵ月ぶりに増加した。最大市場の南部が8ヵ月ぶりにプラスに転じたことが影響した。また、ハリケーン上陸の影響で、2015年以来の低水準に落ち込んだ反動もあった。今回は若干の減少が予想されているが、最近発表されている住宅関連の指標の悪化が続いていることから、予想以上の悪化を警戒する向きもある。 | ||||
4:00 | 米国 |
FOMC政策金利
FOMC(Federal Open Market Committee 連邦公開市場委員会)は、米国における金融政策の最高意思決定機関で、公開市場操作の方針を決定する委員会である。メンバーはFRBの議長、副議長を含7名の理事と、ニューヨーク連銀総裁、地区連邦準備銀行の総裁4名の計12名から構成されている。
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2.25%-2.50% | 2.00%-2.25% |
今回は、0.25%の利上げが予想されているが、最近の米経済の失速懸念や株価下落などもあり、利上げ期待もやや失速している。また、メンバーの見通し(ドット・チャート)も発表されることから、来年の利上げのペースがどう変化しているのかにも注目が集まっている。 |
気まぐれ投資コラム
今回の利上げの有無、来年の利上げ回数はどう変化しているか?
本日の米FOMCでは、0.25%の利上げが予想されています。マーケットでは利上げがある程度織り込まれており、むしろ、3ヵ月ごとに発表されるメンバーの見通し(ドット・チャート)の方が注目されています。ただ、最近発表された米経済指標の冴えない結果が続いており、米経済の失速懸念が出ていることや、ダウ平均株価が10月の高値から約3500ドル下落しており、年初と比べてマイナス圏(18日現在-4.22%)まで下落していることを受けて、マーケットでは景気先行き不透明感や株価下落局面での利上げに対して懐疑的な見方も出ています。さらに、12/17にトランプ大統領が利上げを検討していることすら信じ難いとツイートしたことや、ナバロ米国家通商会議委員長が、政治的圧力からの独立を示すためだけに利上げすることは不当だと発言するなど、利上げを牽制したことも不透明感を高めています。そのため、米金利先物市場では、利上げ予想確率がやや低下しています。
現状の経済を勘案して金利据え置きを決定する場合には、ドルは一段の下げとなる可能性も考えられます。一方、利上げを決定する場合には、ドルの下支え要因となるものの、ドット・チャートで今後の利上げペースの減速が示されるようなら、ドルの上値は限定的となる可能性も考えられます。さらに、FOMCの声明やパウエルFRB議長の会見でハト派的となるようなら、ドルの上値の重い動きが続く可能性も考えられます。9月のドット・チャートでは、来年の利上げ予想は3回でした。しかし、米国の景気後退観測などもあり、最近では来年は1回との見方を示すハト派的な当局者も現れています。
注目のポイント
・予想通り0.25%の利上げ決定されるのか、または予想外の金利据え置きとなるのか
・声明やFRB議長の会見でハト派的な見解が示されるのか
・ドット・チャートで9月の時点の3回の利上げ予想がどう変化しているか
※出所:データを基にSBILMが作成